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日本からオランダ個人事業主ビザを自分で取得して渡航する為のマニュアル2024

(アップデート履歴)
* 24年8月10日更新    4月1日の手続き変更に伴いアップデート
*24年2月10日更新   申請見本を24.01版に更新(他フローは変更なし)
*23年8月14日更新    8/1より条約締結国は個別審査は不要に(加筆修正)
*23年6月3日更新:  配偶者、子どもの記入見本を最新版に更新
*23年3月1日更新:    許可取得後に注意すべき社会扶助給付制度について
*23年1月12日更新:  会計士情報/ビザ取得後の申請事項を追記

*その他の小さな加筆修正は日々行っています


こんにちはhiroimonoです。
わが家(夫婦、子8歳)は2022年7月21日に日本からオランダに移住しました。移住後すぐに住居を見つけて8月15日に市役所手続き開始、11月16日に無事ビザ取得しました。



オランダ個人事業主ビザは1912年の日蘭通商航海条約という協定で、日本人なら申請者はほぼ全員ビザが取得できます。(過去に犯罪履歴がある場合をのぞき)さらに2020年からその配偶者にも現地で企業雇用が可能な優遇されたビザ制度です。

わが家は移住するにあたり移民弁護士や専門業者に依頼はせず、渡航後の家探しからビザ取得までネットやブログを元に自力で行いました。理由は移住費用をなるだけ抑えたかったのと、これから現地でビジネスしていくのでここは自分で乗り越えたいと思ったからです。冒頭の通り無事ビザを取得することができ先人の方々の情報には本当に感謝しています。


しかし実際に手続きしていると更新日付は新しいが中身は古いままの有料記事もあり、役所手続きで数週間の遠回りをしてしまいました。難民増加などの大幅な人口流入があり行政が日々手続きを大幅に見直しているようです。また本来は不要なプロセスまであえて載せているサイトも多数あり、自力ビザはやはり難しいのかなと思ったこともありました。僕がそんな状況だったのでビザ手続きでは、最新の正確な情報がないと困るだろうとこの記事を書き、その後も変更の都度にアップデートしています。


知らないが不安のもと
日本から欧州に移住するのは大変な決意と不安を伴います。もし手続きで失敗したらどうしようという不安からオランダ移住を迷っている方もいらっしゃると思います。①オランダ移住は家探し(市役所)と②ビザ手続き(移民局)の大きく2つのプロセスです。振り返ると家探しは大変ですが、ビザ取得の手続きはとてもシンプルです。



僕がこれまでTwitterやnoteで移住前後の生活コストなどオープンに発信しているため100組を超える方からご相談をいただいてきました。最近では移住業者を通して渡航予定の方からもご相談をいただきます。ただ残念ながら僕は移住サポートは仕事としていません。それはこのnoteの後半に書いているように移住難易度が高いのはビザ取得ではなく住居契約だけだからです。


こういった背景から、個人事業主としてオランダに移住なされる方が「このマニュアルを見て手続きをすれば誰でもビザがとれる。あとから何度でも見返せる」ものを目的として書いています。

本文では目的地への行き方、持参物、申請書類(記入見本)を実際の写真とPDFを使って効率よくビザを取得できるPointを記載しています。また家ではPCで読み、外出先からはスマホで見てわかるようにタイムチャートとTodoリストを付録しました。


24.04からビザ取得までのフローが簡素化されました


このnoteで得られることは?

①手続きのTodoリストと全体像がわかるタイムーチャートが付録。
②各ステップ毎の所要時間・費用・効率よい詳細手順がわかる。
③最新ビザ申請書の記入見本(個人事業主とご家族分)を付録。
④僕のビジネスプラン失敗談と今だから言える移住ビジネスについて
⑤滞在許可が下りた後にやるべきこと(保険、免許更新、補助金et)
⑥ビザ取得後の手続き関連、及び知っておくべき注意点を掲載



タイムチャートとTodoリストを手元において、各項目の詳細を見ていきます。


~日本でやっておくこと編~

早速ですが日本にいる間にやっておくこと5つだけです。

□ 戸籍謄本を取得
一連の流れのスタートは戸籍謄本(抄本)をとることです。
日本の戸籍謄本を日本の外務省でアポスティーユしてもらい、さらに現地のオランダ大使館で英訳し、さらにオランダ外務省で認証(リーガライズ)します。後述しますがご結婚されている方はMarriage Certificateをオランダ大使館で発行してもらう必要があります。Family certificateと違い3ヵ月以内の戸籍謄本からしか発行してくれませんので、あまり早く取りすぎないようにご注意ください。

日数:1日
場所:各市町村によりコンビニや郵送で取り寄せも可能。
費用:400円程度

□アポスティーユ認証をする
日本の外務省へ郵送しアポスティーユ認証をもらいます。
アポスティーユとは戸籍謄本(抄本)の公的認証(これが正式な文章であると認める)という意味です。*戸籍謄本は3ヵ月以内に取得したものに限ります。

日数:郵送 所要3-4日
場所:外務省
期間:無料(返信用封筒を同梱すること)
取り寄せた戸籍謄本を送付して約4日後に郵送で届きます。
Webページ:
→アポスティーユ申請書案内リンク(クリックして詳細を確認ください)

□ 銀行の残高証明 英文

残高証明はビザ取得とは直接関係ありませんが、家探しで支払の能力証明のためにあった方が良いものです。あわせて収入証明ができるものがあれば用意しておきましょう(個人事業主なら銀行の直近3ヵ月の収入など)。これはちゃんと支払いできる人間だという事を大家さんに理解してもらう為です。英文であればなおさらよいですが、僕のやり取りしたいくつかの不動産屋は日本語であっても”正式なものと分かればOK”だったため、エクセルに英文補足をつけ提出しました。(金額も為替レートを用いて注釈)

また僕の場合ゆうちょ口座だったので近所の郵便局で取得しました。(所要時間も30分程度)銀行によっては郵送で7日ほどかかるところや、SBIネット銀行のようにWebから無料で即時発行できるオンライン銀行もあります。参考にゆうちょ銀行の説明リンクを貼っていますが、どの銀行も前日までの口座残高をもって証明書が発行されます。また3か月以上古いものだと最新版を求められる為、”出国の1-2週間前に取得しておく”のが理想です。

日数:1日~数日
場所:各金融機関
費用:1100円/通ほど




□ デビットカードを用意しておく

ビザ手続きとは直接関係しませんが作成をお勧めします。なぜかというとオランダはクレジットカード決済が普及していないからです。現金でももちろん支払えますが渡航後すぐにスーパーでのセルフレジなど、デビットカードが必要なシーンがあります。中でもWiseやRevolutなどの送金サービスが発行するデビットカードは、為替Rateが非常によいです。日本にいる間に口座だけは作っておくと日本から家の契約、デポジット送金などに役立ちます。

場所:オンライン申し込み
期間:即日(カードが要るなら受け取りまで14日間)
費用:無料(カードはRevolutは無料、Wiseは1200円)

またWiseのマルチカレンシー口座(EUR建て)は、IBANをもつベルギーの銀行口座になります。同じEU圏ということでオランダでの電気ガスの支払い口座としても登録可能です。

 →Wiseのサイト (送金手数料を節約したい方はこちらから)
 →Revoultのサイト

本来は現地の銀行口座を開くのがよいのですが銀行口座開設はオランダ市民番号(BSN)を取得してから可能となります。BSNが取得できるのは役所手続きを経てからになり、これはずっと先です。

*RevolutもWiseも日本での口座開設には有効なマイナンバーカードが必要でカード到着まで約2週間かかります。住民票を抜く方はマイナンバーカードが無効化する前、遅くとも出発1か月前には手配しておきましょう。


□ ビザ申請書類の用意(印刷)
この後オランダ側で必要な手続きの項目にも書いてありますが、オランダは日本のコンビニのように印刷・カラーコピーができる場所はほとんどありません。申請書類は枚数が多く、またパスポートもコピーするページが沢山あるので渡航前に印刷してくることをお勧めします。



日本でやっておくことは以上5点になります。


~オランダ到着後にやること編~

オランダについてからが本番です。

□   現地電話番号の取得

まずはプリペイドSIMを空港で購入しましょう。空港で時間がなければ街中の大手スーパーでもプリペイドSIMは手に入ります。残金がなくなればスマホに届くSMSのリンクから追加チャージしましょう。

場所:到着ロビーのAlbert Heijn
費用:€5~ (Lebaraというキャリア)
事前にアプリをダウンロードしておくとよいです。SIMを入れたら1244に発信して有効化完了です。

実は、Lebara プリペイドSIMカードは無料でもらえます。すぐ使うなら10ユーロなど値段のついたプリペイドを買いましょう。無料版はチャージ前発信はできませんが着信は可能。後でネットからプリペイドからチャージしたり月額への変更できるのでもらっておくだけでもよいでしょう。またオランダでは例えばLebaraからVodafoneなどのキャリア変更もオンライン&郵送で可能。取り合えず行政手続きにはずっと使える現地電話番号が必須なので、Lebara等のプリペイドSIMをもらいましょう。

到着ロビーのAlbert Heijn

□   Family Register Certificate申請

(日本で)アポスティーユ認証された戸籍謄本を、在オランダ日本大使館に証明してもらいます。これをFamily Register Certificate(戸籍謄本証明)と呼びます。
配偶者がいればMarriage Certificate(婚姻証明)、
子供が要れば・Birth Certificate(誕生証明)
を同時に申請します。各9€ずつ、受け取り時に支払います。
*戸籍謄本原本は先述の通り発行から3ヵ月以内のものを用意しておきましょう。

場所:在オランダ日本大使館(Tobias Asserlaan, 2517 KC Den Haag)
時間:申請は30分、受け取りは1週間後
持参:パスポート、アポスティーユされた戸籍謄本
費用:€9/通(結婚証明、誕生証明、家族証明で27€)現金可
行き方:Hague Central Stationからは24番のバスでLaan van Meerdervoortで降りて徒歩5分ほど。

日本から持参したアポスティーユと、その場でもらう申込書を記入して窓口に提出します。約30分で申請完了。次の受け取り日(1週間後)を教えてもらって終了です。大使館は予約もいらないので到着した当日もしくは翌日に申請してしまうと良いです。


*大使館の中にはスマホは持ち込めません。まず入門で目的を告げ守衛建屋で書類以外はセキュリティボックスに預けるので、現地の滞在先、自分の電話番号は紙にメモしておくことを忘れずに。

1週間後の日付を書いた引き換え証をもらえるので、再度大使館に行くと以下のような証明書がもらえます。これを次の外務省でリーガライズします。

Family Register Certificate原本 A4 1枚


在オランダ大使館リンク

https://www.nl.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html


□ 家探し(渡航後さがす場合)

住居が決まっていない場合は、家探しです。オランダ移住における最大の難関ですので、別noteに僕が実際に行った”家探し体験記”をまとめています。
渡航後に家探しをなされる方の参考になれば幸いです。

住所が決まると市役所の住民登録のためのアポイント予約”が可能になります。登録に必要な要項・書類は後の住民登録の項目に記載しておりますが、
アポが1ヵ月先などはよくあるため、状況にあわせて先に予約をいれておくと効率的です。


□ FamilyRegisterCertificateのリーガライズ(≒公証)

さて1週間後に大使館でFamily Register Certificate(配偶者のMarriage Certificate、子どものBirth Certificate)を受け取ったら、その足で外務省にリーガライズに向かうと効率的です。外務省は12時半で終了ですので日本大使館には朝早めに行き、その足で11時半までに外務省にいくと一度に終わります。外務省はHague Central Stationに隣接するビルの1Fにあります。日本大使館からは24番のバスに乗るか、歩いても40分ほどで着きます。

場所:The Ministry of Foreign Affairs(外務省)
    Rijnstraat 8, 2515 XP Den Haag
時間:2-30分程度
持参:Family Register Certificate
費用:€10/通

11時半までに申請すればその場で受け取りできる。


リーガライズはFamily Register Certificate(各証明)の裏面に以下のようにシールを張ってもらうだけの証明です。

Family Register Certificate の裏面シール
セントラル駅からみて手前が外務省、奥がINDハーグ

□ ビザ申請書類提出(郵送)

上の写真の外務省の隣に並ぶドアがIND(移民局)ですが、ここに来る事になるのはまだ先です。ビザ申請手続きは郵送のみです。訪問してもWebからの予約がないと中にさえ入れてもらえません。

場所:申請は郵送のみ
時間:記入は3~40ページほど×人数分
費用:この時点では不要(申請手数料は後述)


郵送提出に必要なものは3点。
(1) 外務省にてリーガライズされたFamily Register Certificateのコピー
(2) 申請書類(本人、配偶者、子の各一式ずつ印刷して同封)
(3) パスポートのコピー(入出国スタンプ記載面、過去分もすべてコピー)


Family Register CertificateはコピーでOKです。裏に外務省でラベルを貼られているので裏面もコピーします。ここで原本を送ると返ってこないのでご注意ください。

(2)申請書類は印刷してボールペン記入します。住所は仮の滞在先でもよいのですが、ビザ取得までの手続きの手紙が毎回この記載の住所に送られてくるのでホテルやAirbnbだと手紙の受け取りで困ります。家が決まっていない方は知人に住所を借りるなど確実に手紙が入手できる住所を書くことをおススメします。
*提出した用紙は返却されませんが、DigiDが有効になった後はすべて移民局のMyページにアップされるので便利です。

(記入用紙ダウンロード)
https://ind.nl/en/forms/7524.pdf(本人分2024.01版)
https://ind.nl/en/Forms/7518.pdf(配偶者、子ども2023.06版)

申請枚数が多いように思いますが、半分ほどは提出不要です。
家族分の申請書も72ページ中、50ページほどは提出不要です。(見本は不要ページは提出不要と記載しています)オランダは日本のようにコンビニで手軽に印刷できないので、できれば渡航前に印刷してくることをお勧めします。
どうしても現地についてから印刷する場合、大きな街にはPrinteretteという印刷屋さん(場所は後述します)がありそこで打ち出し可能です。僕は渡航してからこのPrinteretteで印刷しましたが、枚数が多いので時間も費用もかかります。

本人と家族分の記入見本ページ。氏名の順番はTARO→ORANDAの順でOKです。名字→名前と明記してある箇所はそれに倣います(日本政府は日本の公文書に名前をローマ字で書く際は「姓 → 名」の順番にすることを2019年に決定したが)英語が公用の国では名→姓です。外国人にとって日本人の氏名は分かりにくいので、名字を大文字にしてTaro ORANDAとしてもよいです。


またこのマニュアルを読めば済むので僕はビザ取得サポートはしておりませんが、日本から難しい内覧代行だけはココナラでお請けしております。

それから24年4月1日から日本人の個人事業主ビザはより簡素化されました。
ビザ業者に依頼はしないがミスや手間を減らしたいという方のみご購入ください。また内容にご不明なことがありましたらお気軽にメールでご相談ください。僕のわかる範囲でお答えしています。

また余談ですが、こちらに書いておりますようにnoteの売り上げ金はnoteの手数料を除いた全額をKivaというNPO団体への支援に使わせていただいております。この記事がオランダ移住を検討される方への手助けになることを心から願っています。

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noteの売り上げはKivaという支援団体への支援に使わせていただいております。(支援情報は定期的に記事更新してお知らせしています)