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チョコレートドーナツ ★4.1

この世はなんと救いのない世界なんだろうか。見終わった後に深い悲しみに包まれた。傑作だと思います

夜にゲイバーで女装してダンスを踊ることを生業とする男が、隣人で薬物中毒の母を持つダウン症の子供と偶然出会い、親として世話をしようと奔走するも、社会からの差別や偏見という超えられない壁に阻まれてしまう。

悪役として描かれている人も、悪気があるというか、ただ意地悪をしようと思っているのではなく、自分の「正義」に従い、ダウン症の子供であるマルコを主人公達に託すことがよくないと信じているという点が、本作の描く問題をより根深いものにしていると思う。

差別や偏見は人を殺す。多数派が考える「普通」や「異常」は、少数派をどこまでも追い込み、簡単に命まで奪ってしまう。そのことに多数派側の人間は無自覚であってはならない。

自分の物差しで測っただけの「正義」が罪のない人間を殺してしまうのであれば、その実は「正義」とは対極にあるものであろう。

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