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霧とリボン企画展|スクリプトリウムvol.3〜植物図譜

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オンライン開催|2021.9.16〜24 *9/19〜21休|「スクリプトリウム」とは修道院の写字室のこと。本展では、修道院の営みを彩る「植物|ハーブ」を題材に、13組のアーティ… もっと読む
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#カリグラフィ

スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《1》|丘へ

Text維月 楓  ヴァージニア・ウルフが1928年に書き上げた『オーランドー』。男性から女性へと変身し何百年の時を生きぬいた主人公の物語は、ウルフの先見性に驚かされる魅力に満ちた小説です。  今回の企画展では、オーランドーの少年時代がカリグラフィ作品となりました。果敢で早熟ながら少し不器用な少年が、「孤独」という人生の宿命を初めて味わった姿が瑞々しく描かれた一場面です。  まず目を引くのは、うねるような文字の流れと色の移り変わりでしょう。「ぼくはひとりきりだ」と呟

スクリプトリウムvol.3|DAY 2

本記事は、オンライン開催の霧とリボン企画展《スクリプトリウムvol.3〜植物図譜》DAY 2の配信記録です 最新の配信情報は霧とリボン ツイッターでお届けしています Text|霧とリボン  写字室を通り抜ける澄み渡った空気が植物を揺らした一日。DAY 2の本日も多彩な植物図譜の世界をお届け致しました。訪れて下さった皆様に感謝申し上げます。  布花アクセサリーにはじまり、カリグラフィや絵画、そしてガラス工芸品まで——植物からインスピレーションを得たアーティスト達が今日も美

スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《2》|GOLDEN GLORIES

Text|佐分利史子  キンポウゲ、マリーゴールド、デイジー、スイセン、ハリエニシダ、キバナノクリンザクラ・・・黄色の草花がたくさん登場するクリスティーナ・ロセッティの詩「GOLDEN GLORIES」を描きました。  書体は Compressed English Minuscules、イギリス版の圧縮された小文字、の名の通り詰めて書くことで美しさがあらわれる字だと思います。  書いていて楽しい書体で、繰り返し登場する ”golden” の連なりや p、e などのま

スクリプトリウムvol.3|DAY 3

本記事は、オンライン開催の霧とリボン企画展《スクリプトリウムvol.3〜植物図譜》DAY 3の配信記録です 最新の配信情報は霧とリボン ツイッターでお届けしています Text霧とリボン  降ったり止んだりの雨音が、菫色の写字室に響いた一日。お客様が訪れることでいっそう香り立つ植物園の風景——前半を締めくくるDAY 3の本日、可憐な植物が咲き誇ったスクリプトリウムへ、お越し下さいました皆様に御礼申し上げます。  開幕から三日間で、15本の記事を配信、作品とコラボ商品を約4

スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《3》|青色のリンドウとウイリアム・ロセッティの言葉

Text|佐分利史子  今の季節どこのお花屋さんに寄っても目に留まり、美しく見えたリンドウ。ただただ素直に描いて、好きなカリグラフィを添え、何のひねりもなくまっすぐな一枚にしたいなと思いました。  花びらの渦巻き、渦巻きの向き、時間を追って膨らみ綻んでくる蕾の形、大きな葉と小さな葉、花の周りにたくさんある小さな葉の付き方、一枚一枚の葉の模様、お花と葉のかたまり具合、葉と茎の繋がり、茎の太さ、一本の茎に階層のように「花と葉のかたまり」がついていること・・・植物の形には不