【声劇台本】079「真夜中テレパシー」
「真夜中テレパシー」
《人物》
少女
少年
《本編》
少女のMO「ただいま真夜中通信中。ビビビ、ビビビ。真夜中のつぶやきは誰も見ていないから自由に書ける。私のつぶやきタイムラインは静かだ」
少女「自由になりたい」
少女のMO「そうなのだ。私は自由に憧れていた」
少年のMO「知らないどこかの誰かの言葉が流れてきた。『自由になりたい』。それは、狭い世界に閉じ込められている今の僕の気持ちを表しているようで。僕は思わず言葉を返していた」
少年「自由はどこに行けばありますか?」
少女のMO「空が藍色に白んできた。ビビビ。ビビビ。私の静かなタイムラインに、どこかの誰からから、言葉が飛んできた。『自由はどこに行けばありますか?』。そんなこと私に聞くな。知らないよ。むしろ、私が知りたいくらいだよ。私は藍色の空を見上げて。返事を打った」
少女「自由は夜中の空の中にあると思う」
少年のMO「どこかの誰かはつぶやいた。『自由は真夜中の空の中にあると思う』。なるほど。と僕は思った。世界に心を閉ざしている僕の自由は、確かに夜の空にこそあるのかもしれない。そう思った。だから……」
少年「ありがとう」
少年「僕はそう返事を返して、瞳を閉じた」
少女のMO「もうすぐ夜明けだ。ビビビ。ビビビ。どこかの誰かに『ありがとう』と謎に感謝されてしまった。なんだろう。この気持ち。世界が闇から光に反転していく中で、私は最後のつぶやきを送信した」
少女「おやすみなさい」
(おしまい)
今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。