「白くて黒くてネコではないクマのような草を食べる動物園にいる大きな動物」

たぶんパンダなんですけど。パンダを題材に概念を説明・特定する難しさについて感じたことです。

あるもの、特に知らないものを説明するとき、切り出す特徴は人によって異なります。パンダであれば「白い」「黒い」「ネコではない」「クマのよう」「草を食べる」「動物園にいる」「大きい」「動物」はどれも間違っていません。でもどれもパンダを特定できません。

特徴の組み合わせである「白黒」「白黒のクマ」「草を食べる大きなクマのような動物」にはもうパンダとしか言えないものもありますが、まだ「ネコ」「絵の具の付いたクマの人形」「ファンタジー世界の草食クマもどき」という候補がねじ込めます。「パンダ」という言葉を使わずにパンダを説明するのはかなり難しいです。

ではと「パンダ」と言ってみたなら剥き出しの「パンダ」はレッサーパンダも指します。「白黒のパンダ」は私の想像していたパンダですが、私の想像していたパンダは「パンダ」ではありません。冒頭でジャイアントパンダと書かなかったのはミスリードです。

つまるところ、私たちはジャイアントパンダを説明するために好き勝手な言葉を使い、同じジャイアントパンダを指しているつもりでパンダすれ違い、ジャイアントパンダという言葉がなければジャイアントパンダを特定することに苦労します。

言葉遊びで済めば良いのですが、生活と無関係ではないけど難しい概念、たとえばワクチン、ジェンダー、健康についても自分の中で同じことが起きています。特にパンダすれ違いについては表面上は会話が成り立ってしまい、事態がより複雑になります。

じゃあどうすれば良いのかと言えばコミュニケーションの難しさを理解して学びを深めるしか無いと思うのですが、それができたら今頃こんなことを考えていません。ひとまずパンダすれ違いを念頭において自分を疑うことは続けようと思います。

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