KADOKAWAランサムウェア報道に関するコメンテーターの専門性と論理の疑問

KADOKAWAのランサムウェア攻撃に対するNewsPicksの自称暴露記事がAMEBA Primeで議論され、その概要がAMEBA TIMESの記事になっています。そこで作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏が「記事の中に犯人を利するような情報はなかった」をはじめとしてコメントされているのですが、なぜサイバーセキュリティの素人にコメントさせたのでしょうか。

佐々木俊尚氏が実はサイバーセキュリティの専門家、あるいは素人の質問に専門家が答える場の素人役なら分かりますが、前者にしては氏のコメントはYahoo!ニュースのコメント欄で読んだ一般人コメントと記事上は類似で、記事が両者を対等に記していることから後者でもなかったようです。

報道論的にも、ランサムウェア(身代金ソフトウェア)被害の暴露を肯定する下記のコメントには疑問があります。過度な喩えですが、自分の家族が誘拐されて身代金を要求されたとき、それが全国報道されて冷静を保てるでしょうか。犯人を刺激すれば人質が傷つけられたり、殺されるかもしれません。そうならなくても、焦りだけで人は失敗します。それがサイバー攻撃者を利さないなら佐々木氏の論理は正しいです。

これに佐々木氏は「まっとうな報道の論理だ」と語る。「“サイバー攻撃を助長させかねない報道”と言い出したら、犯罪報道はできなくなる。私たちには社会の出来事を知る権利があり、それを代行しているのが報道機関だ。最近は“マスゴミ”呼ばわりして、やることなすこと全てに“けしからん”と言うが、今回の報道には正義があると思う」。

https://news.yahoo.co.jp/articles/05361ec8928620813d51e830ecef85297cd841f7

失敗の共有に価値があり、その意味で報道の存在意義は大きいです。ただ、AMEBA PRIMEで専門家が何度も触れられたようにタイミングが悪いと感じます。

「KADOKAWA「犯罪者を利する」と抗議 NewsPicksの身代金報道に専門家「タイミングが良くない。余計なリソースを割かせる」「犯人の情報にも違和感がある」」(6/27、AMEBA TIMES、Yahoo!ニュース)

追記:人と個人情報は後者が切り売りできるから違うというコメントもありましたが、前者も切り売りできます。

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