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誇り高きなでしこ戦士たちに敬意を

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こんにちは。いつもコラムを読んでいただきありがとうございます。
S.C.P. Japanの井上です。

先日HEROs STARTUP 2020という賞を受賞することができました。
これもS.C.P.Japanをいつも支えてくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

今日は私の昔昔のお話をしたいと思います。とても個人的な話ですが、記憶が薄れてしまう前に書き留めておきたいと思ったのでどうかお許しください。

私は、元なでしこリーガーです。もう引退して何年も経つのでもうそろそろ期限切れと思っていて、自分で元なでしこリーガーですと言うのはとても恥ずかしいです。(笑)
中学2年生の時にジェフユナテッド千葉レディースというチームに入り、21歳までジェフ一筋でした。私が入団した当時は、年代別のチームもなく中学生から大人まで一緒に練習をしていました。

初めて練習に参加をした日のシュート練習での出来事。今でもこういう練習があるのかわからないですが、当時ゴールに向かって長蛇の列を作ってシュートするという「THEシュート練習」みたいな練習がありました。長蛇の列だったのか、私が初めての練習参加で不安すぎて待ってる時間が果てしなく長く感じたのかどちらかはわかりません。とにかく初めての練習参加で何をしてもドキドキしている私。

そんな私のお尻をいきなり先輩が触ってきました。

中学生男子みたいな遊びをしてキャッキャッしている20歳くらいのおばさん達。(20歳は決しておばさんではないですが当時14歳の私から見たらおばさんという表現になっています。)
初めての練習(もちろん初対面)で、いきなりお尻を触られたあの衝撃は今でも忘れません。

その当時のジェフにいたのは、とにかく変な大人の人たちばかりでした。

・小指が曲がっていて、頻繁に肩を脱臼してしまうGKコーチ(ときどき選手)、お昼は接骨院で働いているみんなのお母さん。

・元マラソン選手でいつも吐きそうになりながら死ぬほどチームのために走って、昼間はキャリアウーマンをしていた先輩。

・お弁当屋さんで働いていたチームのおしゃれ番長、お尻触ってくる先輩

・優しくて天然(半分計算らしい?)な看護師の先輩

・多分アパレル系の仕事をしていて、いつもTバック履いていた先輩

・夜はゴリゴリのFWだけど昼間は幼稚園の先生をしていた先輩

・感情を表に出さなくて怖い感じがするけど、滑舌悪くていじられちゃう先輩

・芸能人のマネージャーをしていて、年一の忘年会で失神するほど飲みまくる先輩

・失神する妹さんを優しく家へ連れ帰る日本一優しいお姉さんの先輩

・試合前の円陣の時に「ぶっ殺そうぜー!」と毎回相手を殺す勢いで戦う先輩

・「今月本当にお金やばい」と言いながら、払っていた食費の素をしっかり取れるように口いっぱいご飯を詰め込む先輩

中学生の頃の私はそれなりに悩みもあって、前のチームで居場所がなくてジェフというチームに入りました。でも私のそんな10年ちょい生きてきたくらいの悩みなんてちっぽけだと感じさせるくらいのぶっとんだ先輩たちがでっかい心で私を受け入れてくれました。

普通にフルタイムで働いて、20時から22時まで練習して、また働いて。とんでもなく大変で、一文にもならなくて、お金もなくて、休みもなくて、、、、
そんな日々なのに、輝いていて、楽しそうで、本気でサッカーに取り組む先輩達がいることを私は勝手に誇りに思っていました。

毎年チームから選手が去る時にはみんなで大泣きして、そんなのトップレベルの世界では当たり前なのに馬鹿みたいに一喜一憂してました。
みんな大人のくせに、まるで子供みたいに一緒に笑って、泣いて、怒ってくれた先輩達が大好きでした。

きっと今よりももっと「女なのに結婚もしないで」とか、「もういい歳なのに好き勝手して」とか言われる時代だったはずなのに、そんなことを気にしている素振りもなく好きなことに真っ直ぐだった先輩達は本当にかっこよかったです。

私は今あっという間にあの頃の先輩達の年齢になってしまいました。
多様な生き方が認められ始めた今の時代でも、「この歳でいつまでもふらふらしていていいのかな」と不安になることがしょっちゅうです。
でも、あの頃の先輩達のように私も輝いていたくて、今こうして好きなことを続けているんだなと思います。

これからWEリーガーの皆さんはたくさんの女の子達に夢を与えると思います。
でも、プロという名声がなくても、お金がなくても、好きなことを全力でして輝くことで夢を与えてきた「誇り高きなでしこ戦士達」のことを私は知っています。

私たちは誰もが誰かの道標になれるということです。

それを教えてくれた先輩達に心からの敬意を払って、そしてその先輩達が築いてきてくれた先にできた「.WEリーグ」で新たに多くの選手が輝かれることを心から祈っています。
私も誰かの道標になれるようにこれからも頑張ります。

私にたくさんの優しさと情熱とカッコ良さを分けてくださった先輩方、本当にありがとうございました。

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