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【絵本】カンタのタンカ

『カンタのタンカ』

これは長男が9歳の誕生日の時に描いた絵本。

タイトルにあるように回分を意識して作っている。15ページの大作である。

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「カンタ、森の向こうの八百屋さんにおつかい行ってきて」

「はーい」

「ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎかー。今日の晩ごはんはカレーかな」

カレーはカンタの大好物です。

ワクワクしながら歩いていると、遠くのほうから奇妙な音が聞こえてきました。

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カカカカカ、コココココ

カカカカカ、コココココ

「あれ、何の音だろう?」カンタはあたりを見回します。

すると、木のかげから一羽の鳥が飛び出してきました。


鳥はカンタの前を横切ると、すーっと鏡の中に入っていきました。

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「あ、待ってー」

カンタは追いかけます。


ドテッ!

鏡を通り抜けたカンタは、つまづいて転んでしまいました。

「あいたたた」

カンタは起き上がろうと前を向くと、リスがカンタの財布を持っています。

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「あ、拾ってくれたんだね。ありがとう」

カンタが近づこうとしたら、リスは逃げ出しました。


「待ってー。お財布返して―」カンタは追いかけます。

リスは黒い幕の中へ入っていきました。

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ドシン!!

カンタも幕の中へ入ろうとしたら、何かにぶつかってしまいました。


黒い幕だと思ったのは、大きなクマでした。

お坊さんのようなケサを着ています。

よく見るとサケの形をしています。サケのケサです。

「痛いじゃないか、おいらのおしりにぶつかってきて」

「ごめんなさい。ぼくの財布を持って逃げたリスを追いかけてたんだ。クマさんのマタの間を通りぬけて行ったんだけど、どこに行ったか見なかった?」

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「あー、あれはリスのスリだよ。向こうのほうへ逃げていったぞ。よし、一緒に探してやろう。おいらはクマのロクだ。よろしくな」

「ありがとう。クマのロクさん。ぼくはカバのカンタだよ」


カンタとロクが歩いていると、キツネがいました。

「あ、キツネさん。リスのスリを見なかった?」カンタは話しかけながらキツネに近づきました。

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「あー、ダメだ。そいつはキツネのネツキだ。寝つきが悪いんだ。下手に起こしたらまずいぞ」ロクが声をかけました。


カンタはロクの忠告を無視してさらに近づきました。

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ガウガウガウ!

キツネのネツキはとても悪かったようです。

カンタはかみつかれてしまいました。

「イタたたた」

「だから言ったじゃないか、バカだなー」

「バカじゃないもん、カバだもん」


再びカンタとロクが歩いていると、シカがいました。

「ねぇシカさん、リスのスリを見なかった?」

カンタは話しかけながらシカに近づきました。

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「あー、ダメだダメだ」

またロクが声をかけました。

今度は何でしょう?


ロクはシカに近づいて、いきなり角をポキンと折ってしまいました。

「これはシカのカシだ。菓子だから話しかけたって返事しないぞ。この角がカリントウみたいでウマいんだ。ポリポリ」ロクはおいしそうに食べています。

「じゃあ、ぼくも」カンタも角をポキンと折って口にほおばります。

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「あイタッ!角が口の中に刺さっちゃった」

「口いっぱいにほおばるからだろう、バカだなー」

「バカじゃないもん、カバだもん」



カカカカカ、コココココ

カカカカカ、コココココ

「あれ、またあの音がするぞ」カンタが音のするほうを見上げると、鏡に入っていったあの鳥が木をつついています。

「あなたは誰?リスのスリを見なかった?」カンタはたずねます。

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「あー、ダメだダメだ!」ロクがあわてて声をかけました。

今度は何でしょう?


「わたしはキツツキ。逆さから読んでもキツツキよ。だから本当のことを知っているの」そう言ってキツツキはロクのケサを目がけて飛びたちました。

カカッ!

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キツツキの一突きでクマのロクのサケのケサは取れてしまいました。


なんということでしょう。

リスのスリはクマのロクのサケのケサの中にかくれていたのです。

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「ばれちまったら仕方がない。おいらが黒幕ってわけだ。クマのロクだからな」

「今まで気づかなかったなんてバカだなー」リスのスリもバカにしています。

「バカじゃないもんカバだもん。ゆるせなーい!」カンタは怒って黒幕のクマロクに突進しました。


ドン!(カバドンです。カベドンじゃなく)

黒幕のクマロクとリスのスリはカンタのカバドンでふっとばされました。

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「ごめんよ。友達になりたかっただけなんだ。カンタが面白い反応をするんで調子にのっちまった」クマロクは反省しています。

「わかったよ。ゆるしてあげる。友だちになろう」とカンタ。

「まったく甘いんだらか。財布も戻ったことだし、そろそろ帰ったほうがいいんじゃない?」キツツキは言います。


「じゃあ、おいらが案内するぜ」ロクはカンタと友だちになれて上機嫌。

カンタはロクの案内で鏡までたどり着きました。

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「じゃあね。バイバイ」

「またあそうぼうぜー」



「ただいまママ」

「おかえりカンタ」

「あのねママ おつかい途中の 森の中

サカサコトバで あそんだよ」

「あら良かったわね。カンタは短歌が上手ね」

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「ところで、お買い物は?」

「あ、忘れてたー。また行ってきまーす」

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再び買い物にでかけるカンタの絵で締める。


回文であそぶ。

いろんな動物を登場させる。

最後は『カンタの短歌』を表現する。

そんな構成で絵本を作った。

ずいぶん長くなってしまったけど、創作中も楽しめた絵本だった。

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