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ダンス・ダンス・ダンス書評〜世界の解像度を上げるために〜

こんにちは。
読書部部長の増田です。

今日は小説のレビューになります。
さっそくですがご紹介します。

◾️今回紹介する本

 今回はこちらの本です。

「ダンス・ダンス・ダンス」ー村上春樹

今回は超大物を取り上げます。
読んだことがなくても村上春樹さんはご存知だと思います。
代表作「ノルウェイの森」は1000万部を超え、世界中で人気があります。

またこのダンスダンスダンスも名作の一つとして知られています。

◾️あらすじと感想

主人公の僕は34歳のライター。
主人公は資本主義の世の中で人間らしい感情を失ってしまいます。
それは例えば音楽の楽しさだったり、人を愛することだったり。
そんな僕が繊細な少女「ユキ」をはじめとした様々な人間に触れ合うなかで、人間らしい感情を取り戻していく物語。
 
というのがあらすじでしょうか。
たしかに私たちは内面の感情を押し殺し”大人になる”ことをしがちです。

でもそれだけでよいのでしょうか?

”大人になる”をしたことで、自己矛盾を繰り返し辛い人生を結局歩んでいないか、まっすぐ歩くのではなく自分のステップで生きるーすなわちダンスすることで本当の人生が生きられるのではないか。
そういう読書体験ができる大変面白い本でした。

また、こんなことを村上春樹さんは過去に読者回答でおっしゃっています。

「年をとればいろんな感覚は変質していきますし、その鮮やかさは失われていきます。感動を受ける機会も少なくなってきます。しかし努力をすれば、そのような若い時の新鮮な感覚を持ち続けることは可能なのです。」
まさにダンスダンスダンスです。

◾️魅力

この本はそのストーリーの中で村上春樹さんの魅力が大変詰まっていると思います。
ー魅力とは何か。それは「言語化」です。

1つ紹介します。

【自分の仕事が面白いものではないという言語化(主人公はライター)】

「穴を埋める為の文章を提供してるだけのことです。何でもいいんです。字が書いてあればいいんです。でも誰かが書かなくてはならない。で、僕が書いてるんです。雪かきと同じです。文化的雪かき」

『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹 講談社 1988

どうですか。だれかがやらなきゃいけないけど、やりたくもない仕事を文化的雪かきと表現するセンス。ぼくにはこれがたまらなく楽しいと思えてしまいます。

◾️世界の解像度を上げるためには読書しかない

なぜ村上春樹さんの本はこんなにも楽しいと思えるのでしょうか。それは世界の解像度が上がるからだと僕は思います。

例えば笑顔一つとっても、「天使のような微笑み」なのか「そのへんにある何もかもをお盆に載せて持っていきたくなるような笑顔」(実際に書かれていた比喩)なのかで見える世界が変わります。

解像度を上げることは必ずしも幸せに生きることを助けてくれるわけではありませんが、世界をより深く味わえるようになります。

そのためにもこういった読書は大変良いと思います。もちろんダンスするためにも。

今回はここまで。
村上春樹さんの個人的に好きな本は「1Q84」です。
気になったら読んでみてください。

最後まで読んでくださりありがとうございます。
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