背番号の贈り物

突然ですが、気になるハッシュタグを見つけたので。

#背番号のストーリー

ただ書きたいことを書きます。

背番号は重要じゃない。

そう自分に言い聞かせてきた。

良い番号を背負うことに価値が無いとは言わないけど、試合に出て良いプレーをすることの方がよっぽど重要。
例え10番を背負っていたって、ベンチに座っているようじゃ何の意味もない。

背番号に対してそれなりに強い拘りを持っている自分だからこそ、そう言い聞かせてきた。

サッカーにおけるエースナンバーは10番だから、「例え10番を背負っていたって」と書いたけど、自分は10番は好きじゃない。
自分には重すぎるし、自分が自信を持って10番を背負えるようなチーム(≒自分が一番うまいと自信を持って言えるようなチーム)でプレーしたいとは思わない。

選べるのなら、必ず11番を選ぶ。

小学校6年生のときに、初めて自分で選んだ背番号が11番だった。当時は7番とか10番に憧れてたけど、空いていなかったから11番を選んだ。ポジションやプレースタイルからすると、6番、8番、14番あたりの選手だという自覚はあったけど、11番を選んだ。

なんで?と聞かれても、明確な答えは持ち合わせていない。

憧れの選手がいたとかではない。漫画『俺たちのフィールド』の騎馬拓馬くんが11番を着けていたことは、少なからず影響を与えたのかもしれないけど。
実際騎馬くんの影響で11番×キャプテンマークに憧れてたし。キャプテンはやりたくないけど。

とにかく直感的に、空いている番号の中で一番かっこいいと感じたものを選んだ。

「自分は常に11番目の選手であって、ギリギリ試合に出ているんだという謙虚な気持ちを忘れたくないから」なんて後付けの説明をしていた時期もあったけど、
そもそもそんな謙虚な選手は11番なんか絶対に選ばない。ましてやボランチの選手だし。変な自信とか拘りみたいなものがない限り、普通のボランチならまず選ばないよね。

でも、だからこそ自分が11番を背負う意味は大きい。
ボランチでありながら11番を背負っているという事実こそが、自分がチームにとって重要な選手であることの証になると思ってる。
11番を背負えるぐらいにチームの中で重要な選手になりたいし、その価値を証明し続けることでチームを勝たせたいし、自分のポジションを守り続けたい。

適切な自信(と危機感)を持つことってものすごく大事なことだと思ってるんだけど、自分にとって11番は適切な自信と危機感を与えてくれる存在。

納得感のある説明ができてるか自信ないけど、
そんなわけで背番号には拘りを持っている。

だけど、絶対に忘れちゃいけないのは、どんな番号を背負っていようが、やるべきことは変わらないということ。どんな背番号だろうが、試合に出て、選手としての価値を証明し続けなければいけない。

この言葉は、大切な教え子たちに送った言葉でもある。

背番号のプレゼント

教え子が6年生になるタイミングで、自分が彼らの背番号を決めることになった。
本来であれば、自分より上の立場にいるヘッドコーチの仕事。

「おまえの方がこの子たちのことよくわかってるんだから、おまえがちゃんと決めてやれ」

そう言われた。

ちなみにこの言葉の裏には、ヘッドコーチから私への愛情が隠されている(と勝手に思っている)。なかなか良い話だと思うので、いずれ書き残しておきたい。

そんなわけで、誰にどの番号をあげるか、必死に考えた。
18人の教え子全員に一番似合う番号をあげたくて、必死に必死に考えた。
「おまえがちゃんと決めてやれ」っていう言葉が頭の中でずーっと響いてたのを覚えてる。
誰にも相談せずに、自分一人で答えを出した。

5年生としての最後の練習の日、帰り際に子供たちに来年度の背番号を伝えた。

与えられた番号に誇りと拘りを持って欲しくて、一人一人に手紙を書いて渡した。
なぜその番号なのか、その番号にどんな思いを込めたのか、ありったけの愛情を込めて書いた。

だけど、残念ながら全員の望みを叶えることはできない。良い番号をもらえる選手もいれば、欲しい番号がもらえずに、落ち込む選手もいるだろう。そう思ってみんなに伝えたのが、この言葉。

だけど、絶対に忘れちゃいけないのは、どんな番号を背負っていようが、やるべきことは変わらないということ。どんな背番号だろうが、試合に出て、選手としての価値を証明し続けなければいけない。

当時の子供たちの表情をよく覚えてる。
それなりに響いた顔をしてて、少し安心した。

ちなみに、一人一人に渡した手紙は保護者からも大好評で、10年以上経った今でも「あの手紙は本当に感動した。ありがとう」と言ってもらえる。

子供たちもそれぞれの背番号を気に入ってくれて、最終的にはみんな喜んでくれたと思ってる。「中学でも同じ番号になったよ!」っていう報告は本当に嬉しかった。

背番号なんてただの数字。

その通りだと思う。
だけど、ただの数字に拘りを持って、意味を持たせてやってきたからこそ、ただの数字が大切な教え子たちへの大切なプレゼントになった。
プレゼントって、贈る側の心を豊かにするモノだと思うんです。大切な人に贈ることができるということ、それ自体が十分幸せなこと。だけど、贈ったものを使ってもらえたり、喜んでもらえたらより嬉しいよね。

そんなわけで、自分が贈ったプレゼントが、今も彼らの背中にあることを願っています。

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