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ガンジーのスピリチュアルメッセージ

2022年も下半期に差し掛かった頃、上半期はいかがお過ごしだろう??

私は変化に溢れた上半期だった。

従来では出会うはずのなかった、人間色が溢れる方々との出会いより、
これまで認識することの無かった部類を知り、日常の解像度が上昇した。

その一つが、心の世界である。



現代を振り返れば、物質・化学や論理データ・合理的・真か偽かの二者択一・統計的に見て成功か不成功かが判断の指標に偏りがちである。

それゆえ、より人間的な部分、感情力や直感に従う心の在り方が廃れたからこそ重要価値であり、
未来を円滑に面白く生きるヒントだと考えた。



そのような経緯より、今年から哲学や信仰学(神道・宗教・精神)に関心を抱いた。


哲学や信仰に触れる事は興味深い。

人間一人を幸福に導く幸福論も面白いが、
時代の常識を根底から覆すような「時代にマッタをかけた系哲学者」の葛藤も読んでてアツくなる。


今回は、時代や風潮に対し、血を流さず人間の心に訴えたとある人物の思想を紹介したい。


その人物とは、マハトマ・ガンディーである。



武力行使でなく、内に宿る豊かさを相手に説く非暴力不服従の姿勢でイギリスからインドを独立に導いた父であるガンディー。 


生前は物を一切持たず、食事含めて質素の極みな生活をガンディーが貫けた要因は、外側からの刺激でなく身の内にある心に充足感を抱いてたからであろう。

そんなガンディーは、過去に「スピリチュアルメッセージ」と題するスピーチをイギリスで行なっている。





1930年代のインドは、文字通りイギリスの植民地に置かれた。

国民は奴隷のように低賃金で長時間の労働を課せられる動物より格下で、不当な扱いを受けられる。

国民の鬱憤は募りに募り、怒りの矛先はイギリス軍へと向けられ、ガンディー指揮の非暴力によって抵抗運動は過激さを増す。


ガンディーによる抵抗運動の影響力には、支配国イギリスすらも一目置く部分があり、やがてインドの新憲法草案を検討する議会に招待された。

会議に出席すべくイギリスへ渡航したガンディーは、インドと同じく現地でも社会的困窮者と衣食住を共にした。

そして彼等や市民を囲み、遥か天上に生きる霊的存在に題するスピーチを切り出した。  




「周囲のあらゆる物は、絶えず変化し、絶えず死滅する一方で、

変化するすべてのものの根底に、決して変わらず全てを結びつけ、

創造し、分解し、再び想像する生き方が存在するのが私には見えます。」



ガンディーは、創造も破壊も全てを司る存在、
その真実を諭す存在は霊的な神であると説いた。


神こそ純粋なる光であり慈悲である…
神こそ愛の根源であり至高の善である…


と、ガンディーは説く。


このスピーチは、資本主義の優等生であるイギリス社会に対する一種の皮肉である。

振り返れば、19世紀から20世紀にかけて、
かつての神や信仰心が社会の仕組みを規定する風習が廃れた時代。

化学や医療の教育が発達したり、物質が安易に手に入りやすくなった時代。

身分の縛りや飢えから解放された変化の時代と喜ばしい側面も多い。

確かに人類が豊かになったお陰で、深夜まで活動時間や伸びたり、40歳の平均寿命が80歳まで2倍に伸びるなどの恩恵は計り知れないだろう。





だが、資本主義のが定着してエスカレートすれば、企業が利益第一を掲げ、人間的な要素を犠牲にしてでも豊かさを追求する。


広くみればガンディーの出身インドも、世界の三分の一の陸地を治めたイギリスの領地であり、なおも領地を拡げる欲が止がやまず、その下で統計学的な人間が感情を犠牲にする必要があったのだろう。


人間、その中でも頂点に立つものこそが世界を司り、欲のために傍若無人に振るまう事も許される…

ガンディーはこの風潮にNoを唱え、人間よりも最上位に立つ神の存在に再び思いを馳せようと働きかけた。



古来こそ日常にみられた、神社や教会に出向き、
崇高なる魂に祈りを捧げる。
神を想像して祈りを捧げる行為も、本来は人間特有の営み、アニミズムの精神である。

神社や教会に向かえば、神に対して身近な関係であれ、地球全体であれ、誰かの幸福と平穏を祈るものだ。



さらにスピーチでは、一人一人の心にも神が宿ると説き、内の神に気づけば身の丈以上の欲求に左右される必要がないと説いた。



ガンディーはスピリチュアルメッセージを通し、
人間的な営みを再帰させる大切さを伝え語ったのだろう。




武力にかわって心に秘めた豊かさを独立まで説いたガンディーは、この事実を一人でも多くに知って欲しかったのだ。



私たちは既に全てが満たされた存在であり、
同時に全てがうまくいった存在でもある。

心の満足度を図る物差しにコップがあるとすれば、コップにそれ以上の快楽は注がす、コップから溢れた快楽は他者に分け与える。

それこそが強大存在である神に祈り、
同時に誰かの幸福を祈る余裕がある。

と、ガンディーは淡々と言葉にした。



このスピーチのイギリス市民には、
感動の声を上げる者と非難する者、それぞれに分断した。

特に中央の官僚には受けが悪く、インド帰国後に反逆罪で逮捕、収監される。



しかしながら、心の充足度が評価され、「よい学校・良い会社・素晴らしい家庭」の共通の豊かさを上へ上へと追い続ける必要も薄れた今だからこそ、90年前のスピーチに撃たれるモノがある。


個人や縦の服従社会から、横つながりの平等社会、他者を受容し、幸福を祈る社会もガンディーの長年の理想に近づいてると思えば感慨深い。

ガンディーの教えや生涯こそ、過去の産物でなく近未来の地球図を描いた姿であると認識し、まずは自分一人の行動より変革する必要があるだろう。

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