ヨーロッパ文化教養講座(フィガロの結婚シナリオ読破プロジェクト8)

2022/11/08 第1幕第7景

No.7 の続き
現在の位置関係のおさらい:
#椅子の上:ケルビーノ+部屋着でカバー
#椅子の近くに、スザンナとバジリオ、伯爵

スザンナ、バジリオ、伯爵の小三重唱の続き

伯爵:
Parta parta il damerino!
出て行け、出て行け、あの色男

スザンナとバジリオ:
Poverino!
可哀想に

伯爵:
(ironicamente) (皮肉をこめて)
Poverino! 可哀想に!
Ma da me sorpreso ancor. ->Ma (era' ) sorpreso da me ancora.
しかし、(彼は)私にも現場を取り押さえられたのだ。

スザンナ:
Come! Che! なんということか

バジリオ:
Come! Che! なんということか

伯爵:
Da tua cugina
L'uscio ier trovai rinchiuso;  ->Ieri trovai l'uscio rinchiuso
Picchio, m'apre Barbarina -> Picchio, mi apre  Barbarina
Paurosa fuor dell'uso. -> Pausora fuori dell'uso.
君(スザンナ)の従姉妹(=バルバリーナ)の家で、
昨日、ドアが閉まっているのを発見した。
私はノックする。パルバリーナはドアを開ける。
いつもとはかけ離れた、おびえた様子で。

Io dal muso insospettito, 
Guardo, cerco in ogni sito,
Ed alzando pian pianino -> Ed alzando piano pianino
Il tappeto al tavolino
Vedo il paggio ….
(Imita il gesto colla vestaglia e scopre il paggio.)
私は、その顔から疑いを持った。
観る、探す、すべての場所を
そして、静かにそっと、持ち上げると、
テーブルクロスを
あの小姓を見る。
(部屋着を持ってその様子をまね、小姓を見つけてしまう。)

(Con sorpresa)
Ah cosa veggio!
(驚いて)
ああ、何を見ている。

スザンナ:
(con timore)
Ah! crude stelle!
(恐れおののいて)
ああ! 残酷な運命!

バジリオ:
(con riso)
Ah' meglio ancora!
(笑って)
ああ さらに良い!

伯爵:
Onestissima signora!
Or capisco come va. ->ora capisco come va.
本当に正直なご婦人!
今、何が起きているか理解した。

スザンナ:
Accader non puo' di peggio -> non puo' accadere di peggio.
Giusti Dei! che mai sara'!
これ以上悪いことは起こり得ない。
正義の神さま(たち?) 一体どうなるのでしょうか・

バジリオ:
Cosi' fan tutte le belle;
Non c'e' alcuna novita'.
美しい女性達は、みんなこんなことをする。
目新しい話ではない。

(al Conte con malignita')
Ah del paggio quel che ho detto
Era solo un mio sospetto.
(伯爵に嫌みを込めて)
ああ、小姓について私がお話したことは、
ただの私の疑惑でした。

ここでの位置関係は、
#椅子の上:ケルビーノ+部屋着でカバーが取れた。
#椅子の近くに、スザンナとバジリオ、伯爵

Retitativo が続く
1.伯爵がスザンナとケルビーノが二人で部屋にいたことを、フィガロへ伝えるから呼んでくるように、バジリオへ依頼する。
2.スザンナは、開き直る。
3.スザンナは、ケルビーノがこの部屋に来て、スザンナに、自分のことを伯爵が許してくれるように、伯爵夫人へ頼んでくれという話をしたところ、
伯爵が現れたので、とっさに、椅子の後ろへ隠れたのだと説明
4.伯爵は、ケルビーノが、スザンナを口説いていたことを知られて、驚く。
5.人が来る気配を感じて、伯爵はケルビーノを椅子から引きずり下ろす。

感想:4人の複雑な位置関係の移動を歌だけは説明しきれず、Recitativoを多用せざるを得なかったのだろう。既にあるダ・ポンテの名作脚本のストーリーから逸脱させずに音楽を載せるのは、本当に難易度の高い職人芸なのだろうと思った。


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