ヨーロッパ文化教養講座(藤田真央のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集 鑑賞記-1 K.279)
2023/02/27
第1番 ハ長調 K.279
作曲は、1775年(19歳)ミュンヘン
第1楽章 アレグロ 4/4 ソナタ形式
第2楽章 アンダンデ 3/4 ソナタ形式
第3楽章 アレグロ 2/4 ソナタ形式
演奏時間:
①真央君 2021年(23才)
I 4:47 II 4:41 III 3:10
②内田光子 1984年(36才)
I 4:48 II 5:43 III 3:13
③ブレンデル 未録音
④Klara Wurtz 1998年(33才)
I 4:53 II 5:08 III 3:16
注:Klara Wurtz 版は、Mozart Complete CD82
1.そもそも、ピアノ・ソナタの1番が、K.279という遅い番号になっているのは、フォルテ・ピアノが登場して、モーツァルトがこの楽器に興味を持ったから、とのこと。
つまり、フォルテ・ピアノは、Forte=強い Piano=弱い だから、ハープシコードと違って、強弱が出せるということ。
それが証拠に、第2楽章では数カ所重要な強弱記号が残されているとのこと。(内田光子版のライナーノートより)
2.1番から6番は、デュリニッツ男爵のために書いたので、「デュリニッツ・ソナタ集」と呼ばれている。このデュリニッツ男爵は、モーツァルトに報酬をちゃんと払わなかったという話がある。
感想:
1.真央君の演奏は、舞台に出てきてピアノの前に座った瞬間に音が鳴っているというスタイルを思い起こさせる立ち上がりの勢いの良い演奏。
2021年の最新録音だが、40年前の内田光子版より格段に録音が良いとは言い難い。もちろん、音の密度は濃いが、録音スタジオがデッド気味だったのか、響きが少ない。
2.シンプルな音の少ない曲なのに、真央君、内田光子版ともに、何回か聴くと耳に残る。これが名演奏の証なのだろう。
3.真央君の3楽章の終わり方は、COOLそのもの。内田光子氏は、かっこよくという演奏はしないのだろう、淡々と正確に終わる。
4.YOUTUBEで聴いた他の演奏
1)グレン・グールド: 第3楽章が爆速 これを耳なじみにすると他の演奏の演奏は聴けなくなると思う。
2)イングリッド・ヘプラー: 教科書的な演奏に聞こえる。録音は古い。
3)マリア・ジョアン・ピレシュ(2006):これは、音も綺麗で好きな演奏。
4)クリストフ・エッシェンバッハ(1970):第3楽章が小生には早すぎる。
5)デ・ラローチャ(1990):これは好き。録音も良い。
もし、モーツァルトのピアノ・ソナタ集をあと一セットと言われたら、聴ける範囲では、ピレシュかデ・ラローチャ版だが、ビレシュ版の方が音がいいので、こちらにするだろう。
でも、真央君と内田光子版があれば、必要ないかもしれない。
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