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ヨーロッパ文化教養講座(フィガロの結婚 シナリオ読破プロジェクト16 第16曲 フィナーレの1)

2023/01/11 第2幕第5景 レチタティーヴォ  
*ケルビーノが窓から飛び降りて逃げ、スザンナがその代わりに化粧室へ入った後、伯爵と伯爵夫人が、化粧室の扉をこじ開けための工具を持ってかえってきた。
伯爵がこじ開けようとするのを、伯爵夫人は止めるが、結局、中にケルビーノがいることを白状せざるを得なくなる。

第2幕第6景 No.16  第16曲 フィナーレの1
*これから、前半の長いフィナーレに入るので、基本レチタティーヴォはなし。
 
伯爵:
(alla porta del gabinetto con impeto)
Esci omai garzon malnato  -> Esci ormai garzone malnato
Sciagurato, non tardar. -> Sciagurato, non tardare
(化粧室の扉で、興奮して)
出てこい 今すぐ 使用人 行儀の悪い
意地悪な、遅れずに
注:伯爵は、怒りのあまり、ケルビーノ(実際化粧室にいるのは、スザンナ)に対し、いきなり、esci と親称のtuの形を使っている。

伯爵夫人:
(ritirandolo a forza dal gabinetto)
Ah signore, quel furore
Per lui fammi' il cor tremar. -> per lui fammi' il cuore tremare.
(化粧室から力ずくで彼(伯爵)を遠ざけながら)
ああ 旦那様、そのようなお怒りは、
彼(ケルビーノ)のために、私の心を震わせます。

伯爵:
Ed'opporvi ancor osate? -> E osate opporrvi ancora?
そして、まだ敢えて、逆らおうとするのですか?

伯爵夫人:
No sentite…
いいえ 聴いて下さい。

伯爵:
Via parlate.
どうぞ、話して

伯爵夫人:
Giuro al ciel ch'ogni sospetto…  *ciel -> cielo
(tremante e sbigottita)
E lo stato in che il trovate …
Sciolto il collo … nudo il petto …
天に誓って、すべての疑いは
(震えて、茫然として)
そして、その状態は、 あなたが見つける
襟を解いて 胸をはだけた

伯爵:
Sciolto il collo! nudo il petto!
Seguitate!
襟を解いて! 胸をはだけて!
続けて!

伯爵夫人:
Per vestir femminee spoglie … Per vestire spoglie femminee
女性服を着るために

伯爵:
Ah comprendo indegna moglie,
Mi vo' tosto vendicar. -> Voglio tosto vendicarsi.
(S'appressa al gabinetto e poi torna indietro.)
ああ、解った 恥ずべき妻め
すぐに、復讐したい
(化粧室へ近寄り、そして戻ってくる)

伯爵夫人:
(con forza)
Mi fa torto quel trasporto,
M'oltraggiate a dubiar.
(力をこめて)
そのような怒りは、私に不当です。
疑って私を侮辱するのですね。

伯爵:
(tornado indietro)
Qua la chiave.
(振り返って)
さあ 鍵は?

伯爵夫人:
Egli e' innocente.
(dandogli la chiave)
Voi sapete…
彼は、無実です。
(伯爵に鍵を渡して)
あなたはわかっていらっしゃる。

伯爵:
Non so niente.
Va lontan dagli occhi miei
Un'infida un'empia sei
E mi cerchi d'infamar. -> E cerchi d'infamarmi.
私は何も知らない。
私の目の届かないところに行け、
おまえは、不実で不信心だ、
そして、私の名誉を傷つけようとする
#ここでは 、伯爵が怒りのあまり、伯爵夫人に対して、親称tuの形(Va, sei, cerchi)を使っている。

伯爵夫人:
Vado … Si' … ma
行きます はい でも

伯爵:
Non ascolto
聞いていない

伯爵夫人:
non son rea. -> non sono rea
私は無実です。

伯爵:
Vel leggo in volto! -> Vello leggo in volto!
そのことは、あなたの顔に書いてある。
#ここで 、急に敬称Voiの形(Vello)を使っている。
「電子版によると、皮肉の意味を込めてとのこと」
#ここのセリフは 、レチタティーヴォ(電子版)


Mora, mora e piu' non sia, -> Morra', morra' e piu' non sia
Ria cagion del mio penar. ->  (Ria?) cagione del mio penare
(彼は)死ぬのだ、死ぬのだ そして、これ以上
私の苦しみの原因を無くして欲しい。

伯爵夫人:
Ah la cieca gelosia
Qualche eccesso gli fa far.
(Il conte apre il gabinetto e Susanna esce sulla porta tutta grave, ed ivi si ferma.)
ああ 盲目の嫉妬が
何か異常なことを、彼(伯爵)にさせてしまう。
(伯爵は化粧室を開けると、スザンナが、重々しい感じで入り口に来て、
そして、そこで立ち止まる。)

感想:
ここのシーンは、観客は、すべて、化粧室の中には、ケルビーノではなく、
スザンナが居ることを知っている。
漫才と同じく、
伯爵と伯爵夫人は、全く知らないふりをして、スザンナが出てくるのを見て驚く演技をしなければならない。
また、スザンナがすました顔をして、化粧室から出てくるのも笑いを取る演技をする必要がある。
オペラ歌手が歌唱力だけでなく、演技力も必要とするシーンの一つだと思う。


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