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ヨーロッパ文化教養講座(「DOCあすへのカルテ」S1 E12 鑑賞記)

2023/02/02
エピソード12は、ヒーローはリカルドだった。
脚本家の筆が乗ってきたらしく、ますます群像劇のスピードと密度がアップしてきた。必然的に、文章で表現するのもハードルが上がってきて、作業としてはやりがいがある。

1.患者が内科病棟に運ばれ最初は原因不明だが、最終的に原因が判明するパターンについて

->今回は、列車の大事故が原因で多数の人が病院へ救急搬送されたため、病因についての考察はあまり必要がなかった。 
ただ、患者数が多かった。

患者A: 子供A1とその子供を自分の体でかばった母親(実際は、家政婦A2)
A1は、エリーザが担当し何とか命を救う。
A2は、ガブリエルが担当したが、救命に失敗。
両親は、後で駆けつけたが、自分達の仕事のことしか頭になく、父親がA2を侮辱した態度に、ガブリエルが激高する。
手術が終わったA1から、自分がプラネタリウムに行きたくて、いつも忙しい両親に代わってA2に頼んだことを話した。
A1の両親は、こどもに向き合うことを決意する。

ガブリエルは、エリーザに友達に戻ることを提案し、エリーザも受け入れる。
ただ、ガブリエルがエチオピアに帰らなければという話をすると、悲しそうな表情をする。

患者B: 銃を隠し持っていた男性B。重傷ではなかったが、しきりに仕事があると退院したがった。ただ、頭痛を訴えたため、アンドレア・ファンティが退院を引き延ばす。
結局、Bは、脳動脈瘤があり、また、事業に失敗して死ぬことを考えていた。
たまたま、事故にあったため、病院内で処置ができて、命が救われた。
アンドレアに再生を誓って退院。

患者C: モデルの女性。顔と腕にやけどをおってもはや仕事は続けられないと絶望。
アルバが担当し、Cの同棲相手の男性に、形成外科の病院の資料をわたそうとするが、男性は、Cの変わり果てた姿をみて、もう付き合えないとハッキリとアルバに表明する。
アルバは、自分も、リカルドの右脚の義足をみて、リカルドに対する気持ちが急に萎えたことを自覚して考え込む。

患者D: 人気旅行ブロガーの若い男性。担当は、医長のマルコになった。
Dは脊髄損傷で下半身麻痺になることを恐れるが、マルコが経験上そのことをハッキリと否定したため救われ、マルコに感謝する。
マルコは、アンドレア・ファンティに言われたことを思いだし、医者としての良心を取り戻して、反省の涙を流す。
それを、アイリーンが慰める。

患者E: 事故現場で人命救助にあたっていた作業員。心肺停止状態で運ばれ、リカルドが死亡の確認をした。Eが、病室から運び出された直後、リカルドは、Eの作業員仲間から高圧電流が流れたという情報を耳にし、とっさに仮死状態かもしれないと気がつき、病院の通路上で心臓マッサージ、アドレナリン投与、AEDの処置をして蘇生に成功する。
リカルドは、周りの医療関係者、患者から大喝采を浴びる。

患者F: 軽症の若い女性。実は、リカルドが右脚を失うことになった10年前のエピソードで登場した、リカルドの初体験の相手マリアだった。
Fは、新米のジャーナリストでリカルドがこの病院にいることを利用して、スクープを取ろうとする。Fは、リカルドが患者Eを救ったシーンをみて、リカルドを利用したことを反省し、スクープ映像をリカルドに渡して退院する。
その場面を、Fとリカルドの関係をずっと気にしていたアルバが目撃する。

2.アンドレア・ファンティに少しずつ記憶が戻ってきて、元妻アニェーゼと喪失前の恋人ジュリアの三角関係が変化してくることについて

アンドレアは、ジュリアと共に、二人が恋人だった時間を徐々に取り戻そうと努力を始める。アニェーゼを諦め、新しい人生をジュリアとともに、再出発しようとしているかのようだ。
一方アニェーゼは、そんな二人をみて、とても複雑で悲しそうな表情を浮かべる。
脚本家は、まさに、アンドレアがジュリアの前で、アニェーゼを取り戻すといったときの、ジュリアと同じ心理状態をアニェーゼに与えた。

3.その他

1)病棟が重症者であふれ、亡くなる人を出てきた中で、医長のマルコが「訴訟中の病院を守るためにとにかく働け」という発言を医局内でしたため、総スカンを食う。
それを、きいたアンドレアは、「我々は、ヒポクラテスの誓いを立てた医師である。患者を救うために医者となったのだ。」とマルコを批判しながら、医師達を励ます。医師達は、この言葉に力付けられた。

2)チャラ男キャラのロレンツォは、元カノから入手した危険ドラッグの副作用で今回は医者としては全く役立たずだった。
ただ、リカルドの活躍をみて、その危険ドラッグをゴミ箱へ捨てた。


コメント感想:
1)マルコは、患者Dのエピソードで医師としての良心を取り戻したように見えたが、愛妻(かつ悪い相棒)のアイリーンに説得されて、次回以降再度、アンドレアを陥れる気持ちになるのかが、みもの。

2)ロレンツォは、危険ドラッグを破棄するところを、マルコに見られたようだ。ロレンツォは医者として再生するとは思うが、マルコがこの件をどう利用するのだろう。

3)アルバは、リカルドの右脚を見たときの自分の態度を、モデルの患者Cを見たときの恋人の態度と重ね合わせて反省し、リカルドに対する態度をあらためるのではと思った。

4)ガブリエルは気持ちが完全にエチオピアで地域医療に尽くすという方向へいったようだ。エリーザと深い仲になって、逆に踏ん切りがついたのだろうか? エリーザがちょっと可哀想になった。

5)アンドレア・ファンティとジュリアの仲が着実に戻りつつある中で、アニェーゼとダビデの養子の取りの話が確定してしまうと、ドラマとしては、面白くないので、養子の話が頓挫する何かが起こるのではないかと思う。


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