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ヨーロッパ文化教養講座(フィガロの結婚 シナリオ読破プロジェクト18 第16曲 フィナーレの3)

2023/01/14
第2幕第8景 フィナーレの続き
化粧室から出てきたスザンナを見て驚いた伯爵は、化粧室の中へ入りケルビーノがいないかどうかを調べる。

伯爵夫人:
Susanna, son morta: *son -> sono
Il fiato mi manca. -> Mi manca il fiato
スザンナ、私は死にそうだ。
息ができない。

スザンナ:
(Allegrissima addita alla Contessa la finestra onde e’ saltato Cherubino.)
Piu’ lieta piu’ franca
In salvo e’ di gia’.
(陽気に伯爵夫人にケルビーノが飛び降りた窓を指さして)
もっと喜んで下さい、もっとのびのびとして下さい。
彼は、既に安全です。

伯爵:
(Esce confuso dal gabinetto.)
Che sbaglio mai presi! *presi -> prendereの一人称遠過去形
Appena lo credo;
(化粧室から混乱して出てくる)
何という間違いを私はしたのか!
とても信じがたい

Se a torto v’offesi *offesi -> offendere の一人称遠過去形
Perdono vi chiedo;
Ma far burla simile
E’ poi crudelta’.
もし、誤って貴女を傷つけたのなら
許して欲しい。
でも、このような悪ふざけをすることは、
それは残酷だ。

スザンナと伯爵夫人:
(la Contessa col fazzoletto alla bocca per celare il disordine di spirito)
Le vostre follie
Non mertan pieta’. -> Non meritano pieta’
(伯爵夫人は気持ちの動揺を隠すために反可否を口にあてて)
あなたの狂乱は、
同情にあたいしません。

伯爵:
Io v’amo.
私は貴女を愛している。

伯爵夫人:
(rinvenendo dalla confusione a poco a poco)
Nol dite. -> Non lo dite.
(徐々に混乱から回復して)
そのことはおっしゃらないで。

伯爵:
Vel giuro. -> Vello giuro.
貴女にそのことを誓う。

伯爵夫人:
Mentite.
(con forza e collera)
Son l’empia l’infida
Che ognora v’inganna.
うそをおっしゃらないで。
(強く怒りをこめて)
私は、不信心で信用のおけない女です。
いつもあなたを裏切っています。

以下 三重唱

伯爵:
Quell’ira Susanna
M’aita a calmar. -> Aiutami a calmare
何という怒りだろう スザンナ
怒りをしずめることを助けてくれ。

スザンナ:
Cosi’ si condanna
Chi puo’ sospettar.
こうして、人は罰する。
人を疑うような人は。

伯爵夫人
(con risentimento)
Adunque la fede
D’un’anima amante
Si’fiera mercede
Doveva sperar?
(恨みをこめて)
それにしても信頼は
愛するものの人格は
これほど、残酷な報いを
待たねばならないのでしょう?

コメント:
化粧室内にケルビーノがいないので、伯爵と伯爵夫人の攻守が逆転し、
伯爵夫人が伯爵に日頃の恨みをこめて攻撃する。

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