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ヨーロッパ文化教養講座(車田和寿「音楽に寄せて」日本人演奏家が韓国、中国に差を付けられてしまった理由!)

2023/11/15
オペラ歌手 車田和寿さんの最新のYOUTUBEチャンネルを観た。

11月5日に本選が行われた、第9回静岡国際オペラコンクールで、ファイナル6人は、韓国人4人と日本人2人。
結果は、1位~3位を韓国人が独占したという話題だった。

車田さんは、現在ドイツ在住のオペラ歌手だが、現地においても、韓国人、(最近になって中国人も)の活躍がめざましいそうだ。
ドイツで上演されるオペラの韓国人歌手は目立って多く、また、音大の中には、学生の半数が韓国人という大学もあるそうだ。
例として、車田さんがゲスト出演した、ハンブルグの音大の、レベルが高いとされているオペラ公演「ドン・ジョバンニ」で、主要キャスト8名の内、4名が韓国人、2名がドイツ人、あと車田さん、ウクライナ人が1人ずつのキャストだったそうだ。

車田さんによると、ドイツの生活では、日本製の車(トヨタのプリウス)、日本製のカメラ(ニコン、ソニー、キャノン 注:カメラが趣味だそうだ)は使っているが、その他の製品や家電にはほとんど日本メーカーの存在は、なく、ドイツ製を除くと、中国製、韓国製が幅を利かせている。

理由として車田さんが考察しているのは、中国製・韓国製の製品は、初めから世界で売るために作っているようで、大々的に広告をし、余計な機能を廃し、コスパが高い製品が多いという。

このように、世界マーケットを指向している(つまり、日本はそうではない)というのが、声楽(を含むクラシック)の世界にも影響している。

車田さんが考える、音楽に関する日本の特殊事情とは、

1)日本の音楽教育は公教育では、吹奏楽・合唱など、プライベートでは、ヤマハのエレクトローン教室など、情操教育として、個々人が演奏する楽しみを教えている。
演奏会もそれぞれの発表会が多く開催され、関係者しか行かない。
->小生もこれらの演奏会には、義理でどうしても行かないといけない場合以外は、遠慮している。

2)国内の大学の権威が強すぎる。そのため、海外に出て揉まれるというより、国内の学歴を重視する傾向にある。その方がより生活が安定する可能性が高い。

3)国内重視にもかかわらず、オペラの公演では、海外から著名なオペラ歌手を呼ばないと、切符が売れない時代が続いた。

小生も最近若者と話をすると、海外に出たいという憧れを話す若者が、数十年前と比べて本当に減ったなと思うことが多い。(もちろん、相対的に日本が貧しくなってきているのも大きな原因だと思う)

ここ30年、経済が発展しない日本で、既得権益を守りぬくために、あくせくしている大人たちをこどもの時代から見せつけられていたら、内向きになるのは、仕方ないのだろう。
小生も、現に、日本にしかない戸籍制度が無ければ不要な仕事に就いている。

それでも、1億人以上の人口を抱える日本では、国内向けだけの商品、サービス(いわゆるガラパゴス)だけでも、貧しさを分かち合って生きていけるから、海外市場に出て行くしか選択肢がない国とは、「ハングリー精神」が違うのだろうなと思う。

小生にできるのは、世界で活躍する日本人音楽家の公演にせっせと通うことしかないと思っている。



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