ヨーロッパ文化教養講座(日本映画「敦煌」鑑賞記)
2023/07/25
何十年も前に読んだ井上靖の「敦煌」は、面白い小説だという記憶のみが残っていた。
映画になっていたのは、知らなかったので、今回WOWWOWで初めて観た。
コメントと感想:
1.1988年製作ということで、日本はバブル経済の真っ最中。
これほど大がかりな海外ロケをして、50億円近いお金を掛けられたのが、今では信じられない。
先日始まった、日曜劇場「VIVANT」もモンゴルロケで相当お金を使ったらしいが、今の時代はCGを駆使できるので、そこが大きく違うところだろう。
2.内容は、1900年くらいに、西夏文字で書かれた仏典が大量に発掘されたという事実を基に、井上靖が想像力をフルに発揮して書かれた小説をかなり忠実に再現しているようだ。
3.今は亡き渡恒彦が演じた、西夏の創始者李元昊の時代なので、西暦1040年ごろの話。
日本では藤原道長が亡くなったのが、1028年。
ヨーロッパでは、カトリック教会と東方教会が分裂する、いわゆる大シスマが1054年。
このころの時代だということになる。
4.日本人俳優(西田敏行や、佐藤浩市など)が西夏人や宋人の役を演じるのだが、ほとんど日本語で会話する。
のだめカンタービレ的?
5.映画としては、歴史ロマンスということになる。
最後まで面白く観たが、この時代の中国の歴史の知識がほとんどないので、結局、経典が何者かによって、隠されて、それが発掘された、という事実しか残らないように思った。
6.いずれにせよ、このような歴史ロマンを創造する井上靖の作家としての能力は凄いと思った。
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