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コチドリの渡りにとって、水田が重要

Kasahara, S., Morimoto, G., Kitamura, W., Imanishi, S., & Azuma, N. (2020). Rice fields along the East Asian-Australasian flyway are important habitats for an inland wader’s migration. Scientific Reports, 10(1), 1-9

コチドリの渡りをGPSロガーによって追跡した研究。シギ・チドリについての研究は干潟を利用する種が多く見られるが、内陸の河川などを利用する種については少なかった。

コチドリには3亜種があるが、日本で繁殖するC. d. curonicusの渡りのルートは、ヨーロッパではいくつかのデータがあるものの、日本に関しては台湾から放鳥されたチドリが日本の中部で再捕獲されたという記録しかない。本種の繁殖場所である河川敷など砂利で覆われた裸地は急速に消失しつつあり、本種の生息地利用を明らかにする必要がある。

2017年に千曲川の中流で繁殖しているコチドリを捕獲してGPSロガーを取り付けた。ロガーの重さは1.3-1.4 gで、コチドリの体重の4%未満である。19羽にロガーを装着し、翌年に同じ場所で6羽(雄3羽、雌3羽)を再捕獲した。

6月下旬から7月中旬に渡りを開始し、5羽は8月上旬から11月中旬にかけて、越冬地に到着した。越冬地はルソン島(3羽)とミンダナオ島(2羽)であった。1羽については渡りの途中でアンテナを失ったため、位置情報は10月中旬までのデータしか得られなかった。

越冬期の生息域はほとんどが水田であった(水田利用率84.1 ± 21.4%(平均 ± SD))。秋の渡りでは、水田が61.8 ± 37.6%、他の作物が栽培されている地域 (25.4 ± 31.4%)、春の渡りでは81.3 ± 16.8%であった。

コチドリが日本では水田をあまり利用しないという先行研究とは対照的に、この種を維持するためには、砂利敷きと水田の両方の主要な生息地を維持する必要があることを示している

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