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上海隔離メシ 14日間の記録

上海の隔離メシ

4/9に上海に渡航してホテルで14日間のコロナ観察期間のための隔離を受けた.ホテルの詳細については前記事を参照してほしい.ごはん代は1日3食ぶんで80元/日(約1300円).課金すると1日120元(約2000円)になるが,何が変更されるかは不明.

0日目

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4月9日(到着日)の晩御飯.ひたすら水餃子となんらかの辛い漬物(辛いものがかなり苦手なので手をつけていない),それから謎の果物と思っていたら有識者がプルーンと教えてくれたやつ.プルーンは甘いほどいいものらしいのだが,これは全然酸味がなくかなり甘かったので良品っぽい.餃子というと日本では焼餃子を想像するが,焼餃子は北方の文化で,上海などの南方では水餃子が普通である.

1日目

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朝.後にわかるがまんじゅうは朝のデフォルトらしく,毎朝なんらかのまんじゅうが3つ出される.この日はあんまん.スクランブルエッグは味薄めでぱそぱそしている(おそらく炒めるのに使った油が少ない).ウィンナーは日本のとかなり違ってパリッと感はなく,むにゅっとしている.ヨーグルトはプレーン加糖で,日本の飲むヨーグルト並みに薄い(学習能力がないので隔離期間中数回こぼした).

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昼.昼と夜は必ずフルーツとスープと白米がついてきて,白米に乗っているゴマの量が毎回瀕死であることにかなりの方がつっこまれていた.右上のおかずはじゃがいもの細切りで,少しだけ辛い(なんとか食べられる).右下は太刀魚の唐揚げ(?).左下のなんらかのきのこと鶏肉のおかずがかなりおいしい.

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夜.左上のきくらげが入ったおかずがめっちゃうまい.真ん中の半透明の緑色のやつは茎レタス(莴笋)で,シャキシャキに近いけど完全なシャキシャキではない食感.スープは昆布入りだが,和風の昆布だしとは全然違う味がする.梨はたぶん洋梨とは違う香酥梨という種類のやつ.

2日目

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朝.よく出されたが最後までなんの赤みかわからなかった赤いおかゆ(ピーナッツ,小豆,黒豆などさまざまな候補が出たが決定には至らず).この日は野菜まん.ハムの下には緑色のめっちゃ辛い漬物が敷いてある(わたしは食えない).オレンジ色のは南瓜餅で,むかし上海に留学していたときに気に入りすぎて百度でレシピを検索して自分でも作れるようにしたくらい好きなやつなので献立に入っていてうれしかった.

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昼.めちゃくちゃだせぇパッケージのみかんが目を惹く(惹かない).右下は百葉包といって湯葉みたいなもので挽肉を包んであるやつ(おいしい).トマタマは中国人のソウルフードですよね...まず色が中国国旗だから....ていうか以前オリンピックの中国チームのユニフォームがトマタマ(中国語では番茄炒蛋)って国内で呼ばれてたらしい.わらう.

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夜.スープはいろいろなきのこのスープ.中華ハンバーグ(中国語では獅子頭と呼ぶ)が2つも入っていてカロリーやばそう...と思いながら2つとも食べた(おいしいので).左下はたぶんにんにくの芽と豚肉の炒め物で,唐辛子は入っているがそんなに辛くない.上の梨もこのりんごもそうだが,自分で受託手荷物にナイフかピーラーを入れて持ってきている人以外は,刃物差し入れ禁止だしフロントもナイフを貸してくれないので,丸齧りするしかない.わたしはとりあえず丸洗いして丸齧りしていた.

3日目

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朝.飲む前に飲むヨーグルトと書いてツイッターに投稿したやつだったが,実は乳酸菌飲料だったイチゴ味のドリンク.卵は茶葉卵という煮るプロセスで茶葉を加える製法の味付きゆで卵.この日はカスタードまんが2つと,半球ドーム状の空のまんじゅうが1つ.カスタードまんが出る日はなぜかドームまんが出るのだが,ドームに何を入れて食べれば正解なのかわからないまま隔離が終了してしまった.

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昼.小さいとはいえない魚が丸ごと一匹入っていてつよい(中国人の友人に写真を送って聞いたところ鲳鱼という魚っぽい).肉は脂身マシマシ.スープはラー油だと思いながらおそるおそる飲んでみたらトマト風味だった.フルーツのだいたいのローテーションがここで出揃っている.リンゴ,ナシ,ミカン,バナナ(のちに金柑も出るが).

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夜.魚が激辛で一口食べて死んでいた.前に出た鶏肉もこれもそうだが,中国ではだいたい鶏肉や魚の骨はとっておいてくれないのでめちゃくちゃ食べづらい.しかもケンタッキーのドラムスティックみたいな真ん中にでかい骨1本とかいう感じではなく,肉も魚も細かい骨がゲリラ攻撃を仕掛けてくる感じなのでマジで食べづらい.わたしは下手なのでよく骨の間に挟まってる肉を食べ残しちゃう.

4日目

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朝.この日は肉まんでした(ローテーションが出揃った).胡麻団子(中国語では麻球)がおいしい.揚げ物なのでできたてのほうがおいしいとみんな言うけど,わたしは猫舌なので冷めてくれていてよかった.ピーナッツは塩茹でだと思っていたらあとで中国人の知人が高菜の茹で汁で茹でているのだと教えてくれた(でも手抜きだったら塩茹でもありうるらしい).

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昼.左上はセロリと揚げ豆腐だが,セロリが無理なのでパス.左下のなすとおそらくじゃがいもの煮物がたいへんおいしい.スープは卵と甘酒と白玉(酒酿蛋花圆子汤)で,自己主張のつよいおかずたちの後に飲むとやさしくてとてもよい.

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夜.右上のおかず,最初豆腐だと思い込んでいたのだが,食べれば食べるほど茶碗蒸しな気がしてきて最終的に全くわからなくなってしまった(味音痴).肉は紅焼牛肉で,これをラーメンに入れたやつが台湾で有名な料理.この紅焼牛肉もたいへんおいしくいただきました.

5日目

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朝.この日はりんご味の乳酸菌飲料.上海人の朝ごはんはおかゆ・油条(細長い揚げパン)・大餅(平べったい揚げパン?みたいなやつ)のうちのどれかと相場が決まっているのだが,この日はおかゆと油条が揃っていた.それに加えてまんじゅうに焼き芋なので炭水化物祭り.ミニトマトも懲りずに出しますね〜(好きだけど)

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昼.酸辣湯が出たが頑張って飲む(何度でも言うが辛いのはめっちゃ苦手).左下は冬瓜の煮物,右上はなんかよくわからない衣の鶏肉だがどちらも非常においしい.中国には(少なくとも上海らへんには)焼き魚という料理法がないので,だいたい煮付けとか唐揚げとか蒸し物とかになる.もちろん家庭用コンロに魚焼きグリルはついていない.

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夜.左上は「カルテに書けそう」と言われた油面筋塞肉(小麦粉を揚げて膨らませた球状の「油面筋」の中に挽肉を詰めたもの)で,これは上海周辺の伝統料理である.というかエビ豪華だよ,エビ.たしか6匹くらい入ってた.もちろん殻は自力で剥く(上で述べたように骨は普通とってくれないのがチャイナスタイルなので).それにしてもレタス炒め好きですね...おいしいからいいけど...

6日目

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朝.上海(上海近辺のことしかよく知らないので上海と言っているが,中国全体でもそうかもしれない)でよく食べられているコーンは日本のスイートコーンと異なり,黄色が薄くもちもちした食感で甘みが少ないのが特徴.スイートコーンもあるが,だいたいミックスベジタブルに入っているみたいな輸入品(冷凍食品などとして)がメインの気がする.ゆで卵はやっぱり食中毒防止上の理由からかバリバリの固茹で.

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昼.みかんのパッケージがださいださいと言っていたら心を傷つけられたのか,ただのラップになってしまった.左下のミックスベジタブルのコーンは朝のコーンとは違ってスイートコーン.あとなんかおいしい調理の仕方されてるエビ.左上のおかずに入っているたまねぎの炒めが足りなくてシャキシャキで辛かった.

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夜.あさり,ドラムスティック,かまぼこっぽい食感のなにか,再びレタス(?).かまぼこっぽいやつと豚肉の炒め物,めちゃくちゃうまい.スープは鶏ガラだしだと思うのだが,よくわからない.あさりは砂抜き不足でじゃりじゃりする(笑).

7日目

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朝.乳酸菌飲料とヨーグルトがだいたい交互に出ますね.ちなみに乳酸菌飲料,裏面がめちゃくちゃダサいキャラクターの絵だった(笑).この日の焼き芋は紫芋だった.この写真だと「ドームまん」がドーム状であることがよくわかる.春巻きは何が入っているかはよくわからなかったがおいしかった,冷めていたのでパリパリではなかったものの...

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昼.左下のズッキーニ(へちまに間違われてズッキーニですと言ったら上海はおしゃれですね!と言われた,ズッキーニはおしゃれなのか??)がとろとろでめちゃくちゃ美味.ズッキーニがおいしすぎたせいか,ほかのメニューの印象があまりない.

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夜.ついにみかんがすっぽんぽんになってしまった.鶏肉,手羽先だけとかそういうレベルではなく手羽全体が先から元までノンカットで入っている.野菜スープがたいへんヘルシーそうな感じ.左上は高菜と枝豆と豚肉の炒め物(咸菜毛豆子炒肉片)で,上海ではよく食べられている.

8日目

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朝.はじめて金柑が登場した.この日だけハムが漬物の上に乗っていなかったので,ハムに辛味がつかず食べやすかった.あとツイッターでは1日目のときに書いたが,(ヨーグルトを見るとわかるように)中国では賞味期限ではなく生産日と品質保持期限(これは同じところではなくだいたい成分表のあたりに書いてある)を印字するので,中国の店で売られている食品を初めて見る日本人は「賞味期限切れ?!」とびっくりするかもしれない.

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昼.1日目の昼と全く同じ(フルーツだけ違う)なので1週間ごとにローテーションしていることがわかりはじめた.1日目よりはゴマが若干多いが,前後を考慮すると気まぐれな感じである.

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夜.これも1日目の夜とフルーツ以外同じなので昼と夜は1週間ごとに回っていることが察された.この頃になると無理に食べきるのをやめて遠慮なく残すようになってきた.よく考えなくてもひとりひとりの性別や体重にあわせて食事量を調整してくれるわけがないので,多い人に合わせているはずであり,わたし(少食)が残すのは当たり前である.

9日目

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朝.だいたい朝も「ヨーグルトまたは乳酸菌飲料」「おかゆまたは白きくらげスープ」「まんじゅう3つ」「プチトマトまたは金柑」「辛い漬物とハムかウィンナー,または春巻き」「卵(ゆで卵,茶葉卵,スクランブルエッグ)」「焼き芋またはピーナッツまたはコーン」「揚げ物(油条か南瓜餅か麻球)」の組み合わせということがわかってきて,漬物以外は完食できる.


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昼.ゴマがまたもや瀕死.日本ではきくらげは高級食材だが,中国では日常的に使う食材なので,隔離メシにもよく登場していた.スーパーで売られている乾燥きくらげを水で戻す際,使うときに水に漬けるようにしないといけない(漬けおいて水に入れた状態で保存しておくのはNG)らしい.なんらかの有毒成分が発生して食べると死ぬぞ!と中国人の友人に釘を刺された.なんという毒かはわからない.

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夜.中華ハンバーグ(獅子頭)2つを晩ごはんに食べるのはめちゃくちゃ重たいけどおいしいからやっぱりふたつとも食べちゃう.上海に来る前に日本でジムに行った最終回,トレーナーのひとにホテルの部屋内でもできる運動を聞いて隔離期間中それらを毎日1時間くらいやっていた.まあ結果300gから500gくらい重くなったけどあれだけ食べてこれくらいの増量は許容範囲(自己欺瞞).

10日目

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朝.金柑はレア食材で朝はだいたいプチトマトなのだが,途中でナプキンの差し入れを頼んだ友人が気を遣って果物を一緒に差し入れてくれて,その中に尋常じゃない量のプチトマトがあったので😅となりながら食べていた.まあおいしいからまだ飽きてないんですけど.

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昼.みかんの包みが復活(ラップだけど).中国のみかん,だいたい1房に3粒くらい種が入っていて(全体に3粒ではなく,1房ごとに3粒)まことに食べるのがめんどくさい.左上の卵料理は元宝という古代のお金の形を模したもので,卵焼きに肉が包んであり,よく春節のときに食べられている金運アップの縁起物である.

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夜.この日ごはんを外のテーブルに置くときに職員のひとが箱を傾けてしまったのか,油がテーブル一面にこぼれていた.それは別に拭けば解決するのでよかったのだが,問題はこぼれていたのが左上の激辛魚の油で,激辛油が仕切りを乗り越えてほぼ全てのおかずとごはんに染み込んでおり,なおかつこの日は酸辣湯だったので,辛いのが超苦手なわたしはお手上げであった.がんばってちょっとは食べたけど.なお,このことをツイートしたら中華料理全体が辛い味付けだと誤解されてしまったっぽいが,上海近辺や広東料理は甘い味付けがメインであり,辛いのは四川や湖南・貴州あたりが有名である.

11日目

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朝.突然2つに増える焼き芋となぜか黄色くなるドームまん.黄色いのはトウモロコシ澱粉を使っているからではないかと中国人の友人が推測していたが,味音痴なので違いが全くわからなかった.ずっとコメントし損ねてたけど白きくらげスープは超おいしいです.

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昼.フルーツは決まったローテーションじゃなくて適当に選ばれてるっぽい(親は「その日の仕入れ値が一番安かったやつを選んでるんでしょ」って言ってた).左下のなすのおかずめっちゃおいしいから自炊して作りたいのに料理名がわからなくて百度で検索できない〜〜〜😭

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夜.2回目に食べても食べれば食べるほどわからなくなる豆腐か茶碗蒸しかわからんやつ(硬さがちょうどよくて挽肉ソースもおいしい).たしかこのスープ,鴨血豆腐が入っていた気がする.文字通り鴨の血を使って作る豆腐で,貧血に即効なやつ.豆腐より少し硬めの食感で血生臭さはない.わたしは好き.

12日目

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朝.もうだいたい隔離期間の終わりが見えてきて外界のタピオカミルクティーや北京ダックや飲茶に思いを馳せ始める頃.食べログのつよい版みたいな大众点评というアプリがあって,そこで散々おいしそうなお店を検索しまくっていた.隔離メシも十分おいしいと思っていたが,中国人の友人に写真を送ったらみんな「どうかな,ふつう」と言うので,外のごはんが楽しみすぎになっていた.

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昼.冬瓜は日本だと小玉スイカくらいのサイズのやつをまるごと売っていたりするが,中国のスーパーでは小さめの丸太みたいなサイズの巨大な冬瓜を必要な分だけ切り売りしてくれる.あと,日本で断面が見えない冬瓜を買うときは,大きいやつじゃなくて重いやつを選べと中国人が以前教えてくれた.中身がスカスカだと軽くなるということである.中国では野菜は計り売りなのでスカスカだとそのぶん安くなり,その点はあまり考えなくてよい.

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夜.10年前に上海に留学していたときエビは日本では信じられないくらい安かった記憶があるのだが,隔離が終わって現地の友人に話を聞いたらいま上海で売られているエビも日本と同じくらい高いらしい.そりゃ中国でも食費1日1300円とられますよね...と思う.むしろ2000円出してるひとびとは何食わされてるんだ?伊勢海老??

13日目

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朝.金柑だ〜〜〜!!!(酸っぱい柑橘類大好き)なんかヨーグルトか乳酸菌飲料ないんですけど...と思っていたら夜に来た.くりこし制かよ.焼き芋は2本がデフォルトになったんですか??

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昼.スープは干しナツメが入っているので薬膳料理的なやつなのだと思う.ナツメ苦手だけどわたしの体質的にはナツメいっぱい食っとけと以前漢方医に言われたので頑張って食べた.ミックスベジタブルのグリーンピースがなにやら瓜っぽいものになっていたが,何かは不明.

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夜.くりこし制(笑)なので朝の乳酸菌飲料が夜に来る.しかもストローが取れていてついていなかった.一瞬焦ったがわたしはぬかりないので常にステンレス製のマイストローを持ち歩いており,ことなきを得た.左下が红米苋という茹で汁が真っ赤になる野菜で,うっかり服などに垂らすと赤いシミになってしまうので気をつけて食べないといけない.それにしても右上のかまぼこっぽいやつ何?めちゃくちゃうまいんだけど.

14日目

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朝.ついに隔離解除日〜〜〜!!!最後までこの赤いおかゆはなぜ赤いのかわからなかった(候補はたくさん出たが特定に至らず).最後の朝ごはんがお気に入りの南瓜餅でわたしはほくほく.

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昼.チェックアウトは19:50に指定されたが,晩ごはんは出ないとのことだったので,これが最後の午餐ということになった.やっぱりズッキーニがとろとろで最高にうまい.ズッキーニとは言っているが日本のズッキーニより緑色がかなり薄いのでほんとうに同じズッキーニと言い切っていいのか自信がない.とりあえず中国語では西葫芦とか绿角瓜とか呼ぶ.ズッキーニでいいんですか,有識者のみなさん?

まとめ

・平均毎食1品は辛いおかずが出る
・野菜少なめ肉多めでヴィーガンにはかなり厳しい
・白米が意外とおいしい でも量がすごく多い
・全部中華料理(洋食・和食などは出ない)で,基本的には上海的な(辛くない)味付け
・昼と夜はフルーツ以外1週間でローテーション,朝もだいたい定型で予測可能
・おそらく基礎代謝2000kcal超えの人でも大丈夫な献立になっていて,まともに食べていて運動しなかったら普通の人は確実にデブる
・部屋から動けないからといってサボらずちゃんと1時間は筋トレしましょう,毎日1時間以上筋トレしてても2週間で0.5kgくらい太ります

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