見出し画像

鳥類の脳の進化における新発見 ー 恐竜から現代の鳥類への壮大な旅


鳥類の脳の進化の謎を解明 ー 恐竜時代からの大変身


米国とアルゼンチンの研究チームは、現生の鳥類約2000種と、化石の鳥類や恐竜を含む過去の鳥類の脳と体の大きさの関係を詳細に分析しました。その結果、鳥類の脳の進化の道のりには、これまで考えられていた以上に複雑で劇的な出来事があったことが明らかになりました。

約6500万年前の白亜紀末に起きた大量絶滅は、鳥類の脳の進化に大きな影響を与えました。絶滅を生き延びた鳥類の多くは体のサイズを小さくすることで、相対的に脳を大きくしたのです。体が小さいほど、代謝的なコストを抑えつつ脳を大きくできるというメリットがあるからです。

研究チームは、白亜紀末の大量絶滅後に起きた鳥類の適応放散の中で、脳のサイズや脳と体の大きさの関係に関する多様性が生み出されたと考えています。例えばハチドリは体が非常に小さいため、脳と体の比率だけを見ると鳥類の中で最大ですが、これは小型の体に合わせて脳を効率的にしたためと解釈できます。

一方、オウムやカラスは脳の絶対的なサイズと脳と体の比率の両方を増大させました。特にカラスは体も脳も同時に大型化させましたが、脳の方が体よりも速いスピードで進化しました。オウムとカラスはニューロンの密度も鳥類の中で最高で、彼らの認知能力の高さを裏付けています。

鳥類は恐竜から分岐して以来、1億5000万年もの間、脳のサイズを着実に増大させてきました。そして現在のオウムやカラスが出現したのはここ数百万年の出来事です。

鳥の脳ー オウム、ハト、カラスの知能

鳥類の中でも特に高い知能を示すオウム、ハト、カラス。彼らの優れた認知能力の秘密は、独特の脳の構造にあることがわかってきました。

オウムは「鳥界の知性派」とも呼ばれ、人間の言葉を真似したり、様々な芸を覚えたりすることができます。研究によると、オウムは生存に関わる問題を解決するために脳を大きくする進化を遂げてきたようです。特に絶対的な脳のサイズが最も大きいのはオウム科最大の飛行可能な種、ヒョウコンオウム。一方、体の大きさに対する相対的な脳のサイズではヤシオウムが最大だそうです。

ハトの中でも、帰巣本能で知られる伝書バトは特殊な能力の持ち主。彼らの脳では、視蓋、海馬、古線条体、特に新線条体と嗅球が他の品種よりも発達しています。これらの部位の発達が、伝書バトの驚異的なナビゲーション能力に関係していると考えられています。

カラスの仲間であるニューカレドニアガラスは、道具を作って使うという革新的な行動で有名です。彼らの脳は連合野が発達しており、これが高度な認知能力の源だと考えられています。特に中間層、線条体淡蒼球複合体、中隔、被蓋が相対的に大きいのが特徴で、連合記憶と運動学習に関わるこれらの部位の発達が、複雑な行動を可能にしているのかもしれません。

資料

https://doi.org/10.1016/j.cub.2020.03.060


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?