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サメのエラ穴の大きさが明らかにする活動量や進化

サメのエラ穴の大きさがその生態や進化の過程を紐解く重要な鍵を握っていることが、最近の研究で明らかになりました。カナダ、サイモンフレーザー大学の研究チームは世界中のサメ約450種を対象に体の大きさに対するエラ穴の高さの比率を調査。活動的な種ほどエラ穴が大きく、酸素摂取効率を高めていることが分かりました。この発見は、これまで謎に包まれていた深海ザメの生態や進化の過程の解明にも繋がる可能性があります。

エラ穴の大きさが示す、サメの活動レベル

今回の研究で注目されたのはサメの「エラ穴の高さ」です。研究チームは体の大きさを考慮した上で、エラ穴の大きさが種によってどのように異なるのかを図鑑のイラストを用いて詳細に分析しました。

その結果、サメの活動量とエラ穴の大きさの間には明確な相関関係があることが判明しました。具体的には、遊泳速度と関連性の高い尾びれの形状(尾鰭縦横比)が大きいつまり活動的な種ほど、エラ穴の比率も大きくなる傾向が見られました。

これは、活動的なサメほど多くの酸素を必要とするため、エラ穴を大きくすることでエラ表面積を増やし酸素摂取効率を高めていることを示しています。この傾向は魚類全般に見られるもので、サメにおいても同様のメカニズムが働いていることが明らかになりました。

エラ穴が語る、深海ザメの進化の物語

さらに、エラ穴の大きさがサメの最大体長や生息深度とも関連していることです。分析の結果、最大体長が大きい種ほどエラ穴が大きく、深い場所に生息する種ほどエラ穴が小さい傾向が見られました。

体の大きなサメはそれだけ多くのエネルギーを必要とするため、酸素需要も高くなります。そのため、大きなエラ穴は体の大きなサメにとって、効率的に酸素を取り込むための重要な進化と言えます。

一方、深海は水温が低く、酸素濃度も低い過酷な環境です。そのため、深海に生息するサメは低い代謝に適応し、酸素需要を抑制することでこの環境を生き抜いてきたと考えられます。

深海ザメはその特異な生態から、これまで研究が困難とされてきました。しかし今回の発見は、エラ穴の大きさという比較的容易に観察できる特徴から、深海ザメの生態や進化に関する重要な情報を引き出すことができることを示したと言えるかもしれません。

引用元

2024Ecological lifestyle and gill slit height across sharksR. Soc. Open Sci.11231867
URL : http://doi.org/10.1098/rsos.231867


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