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歯磨撫子(マウスウォッシュ)の科学

注意書き

この記事は素人が書いたので、内容が100%正しい、正確であるとは保証できません。また、特定の商品の使用を推奨するものでもありませんので、あくまでも娯楽として読んでいただければ嬉しいです。

歯磨撫子重曹すっきり洗口液
私も使っています。

百聞は一見に如かず

宣伝されている成分は
1)重曹(炭酸水素ナトリウム)→汚れ(タンパク質)やニオイ菌を分解
2)お茶エキス(チャ葉エキス)→汚れを固める

重曹(炭酸水素ナトリウム)

汚れ(タンパク質)やニオイ菌を分解すると宣伝されています。重曹は分子的には炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)です。

重曹の効果は以下の3つです。
・研磨剤
歯の表面を磨いて白くする。研磨剤として機能するのは、粉末または歯磨き粉に練りこんで微粒子として使用した場合。液体に混ぜた状態では研磨剤としての効果はないと考えられる。

・酸の中和
食事をすると口の中は酸性状態になり、歯が溶けやすくなります(厳密には、歯の表面のエナメル質が溶け出すという脱灰と呼ばれる過程)。炭酸水素ナトリウムは弱アルカリ性(pH 8.3程度)の性質を持っているため、酸を中和して口内を中性に直してくれます。

・抗菌作用と殺菌作用
抗菌作用は菌の繁殖を抑える作用(殺すわけではない)、一方で、殺菌作用は菌を殺します。炭酸水素ナトリウムは、様々な菌に対して抗菌または殺菌作用を示すことが分かっています。抗菌・殺菌作用の詳細な原理は不明内容ですが、上述したアルカリ性という性質が菌を抗菌・殺菌すると考えられています(もう少し詳しく述べると、抗菌・殺菌作用が浸透圧やナトリウムイオンによるものでなく、炭酸水素イオンによる細菌の細胞膜の破壊やリン酸化の阻害、細菌の周囲の環境をアルカリ性にすることが抗菌・殺菌作用の原理である可能性が挙げられています)。
参考文献(1988年の古い文献、もう少し最近の論文がないか調べ中)

これらのことを踏まえると、マウスウォッシュに含まれる重曹が口内の菌に対して効果があることは確かなようですが、20秒という短時間だけ口に含んでブクブクするだけで菌が本当に死ぬのかどうかは疑問です(一般に、実験では薬品を混ぜた培養液や培養寒天に細菌を入れて、16時間以上培養し、その増殖具合で抗菌・殺菌作用を効果を判定します。従って、炭酸水素ナトリウムと細菌を長時間反応させた場合、抗菌・殺菌作用があるとは考えられますが、短時間で効果があるかどうかはまだデータがなくて結論が出せませんでした)。

一方で、炭酸水素ナトリウムが周囲を弱アルカリ性にすることは事実であり、アルカリ性の環境では酸性の環境に比べて菌が死にやすくなったり、繁殖しにくくなります。従って、重曹は口内環境を菌が繁殖しにくくなる弱アルカリ性にすることで、マウスウォッシュとして機能すると考えられますが、重曹入りのマウスウォッシュを数十秒間口に含むだけでタンパク質や細菌を”分解”するのかどうかは確証は得られませんでした。

長くなってしまったので、2番の主要成分であるチャ葉エキスの汚れを固める作用については、次回に回します。

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