見出し画像

AI?ML?ディープラーニング?

こんにちは、早川です。
本ブログは、日本の APN Ambassador が集まって作り上げる Japan APN Ambassador Advent Calendar 2021 の 23 日目のエントリです。
Japan APN Ambassadorについては、AWS相澤さんの記事「APN Ambassadorsってなんだ?2021年度版」を読んでみてください。

なお、本投稿内容は私個人の意見であり、所属する企業の見解を代表するものではありません。

AIで何でもできる?

私たちITサービス業に従事する人たち同士の会話だけでなく、経営者や、一般向けのTV番組でも「AI」という言葉を頻繁に見かけるようになって久しくなりました。しかし、未だに「AIを使えば何でも解決してくれる」とか「AIで何ができるのか結局分からない」といった声を聞くことも多くあります。何ができるのかが分からないと、せっかくの技術も活用することができません。良い機会なので、この場を使ってみなさんとモヤモヤを整理してみたいと思います。

広い概念を表す言葉「AI」

「AI」という言葉はとても抽象的に使われており、人によって思い浮かべるモノが全く異なります。それもそのはず、「AI」はものすごく広い概念を表す言葉であり、厳密な定義はまだ存在していません。

出典:富士通総研「Deep Learning概説

AIの文脈でよく登場するAlexaのようなスマートスピーカーや、Google翻訳を支えているのは、上記の図の一番狭い範囲にある DeepLearning という手法です。この手法の背景には数学が使われています。思うに「AI」という言葉が便利すぎて、何でも「AI」が解決してくれるかのように語られる場が多いため、結果的に何ができて、何が出来ないのかを分かりにくくしてしまっているのではないでしょうか。この曖昧さを懸念して、アメリカのデータサイエンティストたちは、自分たちの技術のことを「AI」とは言わずに、「機械学習」と呼ぶことが多いそうです。

AIは技術者だけでなくビジネスパーソンの常識に

AIが今のように広く一般にも身近に感じられるようになったのは、コンピュータの性能向上にともなって機械学習が発達し、特にこの Deep Learning によって画像データ・時系列データ(音声・自然言語)の分析が発展したことがあります。

【写真:Amazon Go】多数のカメラを用いて店内の画像を解析し、顧客が購入した商品を特定する

Deep Leaning の発展により、人間では分からないレベルの特徴を、コンピュータ自ら学習することが可能になりました。ここ数年で Deep Leaning および機械学習の活用実用例も多く出てきており、その影響分野は金融、小売、医療、農業とあらゆる業界に広がっています。こういったAIに対する知識は、私たちのような技術者のみならず、ビジネスパーソンにとっても常識になりつつあります。

というのも、私は現在MBAに通っているのですが、経営学の講義の中ではAIという言葉の定義を学ぶだけでなく、現在のAI(に含まれるDeepLearning)が抱える問題についてのディスカッションも行われています。

  • 判断の根拠が示されない

  • 判断を誤ったら誰の責任になるのか?

  • 倫理感の欠如や無意識バイアスの混入をどう防ぐのか?

それほど、AIはビジネスでも注目度の高い技術であり、需要も高い領域なんだろうと感じました。上に挙げられた課題を解決するため、XAI (Explainable AI=説明可能なAI)を作ろうとする動きも出てきています。私達エンジニアが開発を行うときにもAIは強力なパートナーとなっており、すでにAWSのいくつかのサービスには機械学習が組み込まれています。Werner Vogels (Amazon CTO) も「Tech Predictions for 2022 and Beyond」の最初に"AIが支援するソフトウェア開発の定着"を挙げています。

re:Inventで発表されたAWSのAI/MLサービス

今年の re:Invent でも SageMaker を中心に機械学習に関連するアップデートの発表がありました。ビジネスパーソンやデータサイエンティスト向けの機能も強化されています。AWSのプロフェッショナルとして、普段はAWSを専門としていない方にもAWSという強力なサービスを使いこなしてもらえるよう紹介できるようになっておきたいと思います。

  • SageMaker

    • SageMaker Canvas
      データ分析ツールのようなグラフィカルUIでモデルを構築できる

    • SageMaker Ground Truth Plus
      データラベリングの自動化

    • SageMaker Studio Notebooks
      用途ごとに分かれていたNotebook機能の統合

    • SageMaker Training Compiler
      モデルの訓練にかかる時間を50%高速化

    • SageMaker Inference Recommender
      モデルのデプロイにかかる時間を短縮

    • SageMaker Serverless Interfence
      サーバーレス化によるコスト最適化

  • Amazon Lex Automated Chatbot Designer
    数クリックで効果的なチャットボットのデザインが可能

  • DevOps Guru for RDS
    機械学習のテクノロジーを用いたデータベースの性能問題の検知と解決を迅速化する

  • Amazon EC2 TRn1インスタンス
    機械学習のトレーニング処理向けのチップ

機械学習に興味がわいたら

今年のre:InventではAmazon SageMaker Studio Labというサービスが発表されました。AWSアカウント、クレジットカード、クラウド設定の知識がなくても、誰でも機械学習を実験しながら学ぶことができる無料のサービスです。「AWS Disaster Response Hackathon」も開催されているので、機械学習に触れたことがない人は、年末年始の空いた時間にでも遊んでみてはいかがでしょうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?