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2020年10月 東京国立博物館 表慶館

「風神雷神図のウラ-夏秋草図に秘めた想い-」にあわせ、東京国立博物館 表慶館で開催中の「工藝2020―自然と美のかたち―」を観賞してきました。

東京国立博物館のYouTube公式チャネルはありますが、本展覧会の公式動画は無いもよう。是非、作成頂きたい!

はじめに

上野公園はちょいちょい行きますが、そういえば東京国立博物館最近行っていないなぁと考えてみたら、前回訪問したのは2005年の北斎展、伊万里展と15年前。こんなにも前だったのか。。。。

本展「工藝2020―自然と美のかたち―」は、東京2020オリンピック・パラリンピックに併せて企画された「日本博」の一つで、陶磁、染織、漆工、金工といった分野から計82名の作家の作品が展示されています。

「金銀」、「黒白」、「赤」、「青」の4つのテーマから構成され、展示もこの4つのグループに分かれています。

第一章「金は永遠に光り輝き、銀は高貴さに輝く」

最初のテーマは金と銀。他の色よりも煌びやかですので、自分としても目を惹かれる作品が沢山ありました。

並木恒延 「月出ずる」
本展覧会の中で一番惹かれたのは並木恒延の「月出ずる」です。こちらのウェブサイトに本作品の画像があります。金粉と螺鈿が用いられた作品とのこと。

大きく描かれた月🌕を大胆に斜めに切り取る山並みのシルエットのバランスが美しく、夏の夜を想起させられました。

前史雄 沈金箱「花明り」
Wikiで調べて知ったのですが、沈金は「漆面に対して刃物で文様を彫り、この痕に金箔、金粉を押し込む」手法の名前なんですね。

下記のウェブサイトで「花明り」の写真をご覧いただけます。

他には、月岡裕二 切金砂子彩箔「凛」や吉田幸央 金襴手彩色鉢なども素敵でした。

第二章「黒はすべての色を内に吸収し、白はすべての光を撥する」

次のテーマは黒と白。シンプルかつシックな作品が多かったです。

今泉今右衛門 色絵雪花薄墨墨はじき雪松文蓋付瓶
ここで目に留まったのは、こちらの作品なのですが、今泉今右衛門さんって人間国宝なんですね!こちらのウェブサイトに「色絵雪花薄墨墨はじき雪松文蓋付瓶」以外の作品の写真もありますが、非常に美しい。

今泉今右衛門さんのウェブサイトで「墨はじき」についての説明があります。

墨はじきについて

「墨はじき」とは、江戸期から鍋島ではよく使われた白抜きの技法である。技法の手順としては、まず墨で文様を描き、その上を染付で塗る。すると墨に入っている膠分が撥水剤の役目をし、墨で描いた部分が染付の絵具をはじく。その後、素焼の窯で焼くと墨が焼き飛び白抜きの文様が現われるという、染織のろうけつとよく似た技法である。

「色絵雪花薄墨墨はじき雪松文蓋付瓶」では、花の上に載っている雪の部分が「墨はじき」が用いられている箇所でしょうか。

第三章「生命の赤、自然の気」

三つ目のテーマは赤。

本間秀昭 「流紋―2018」
タイトル通り流れの紋を竹で造形した作品です。こちらのウェブサイトでトーハクくんが「魚のヒレ」みたいと評しています。波のうねりと波しぶきが表現された作品とのこと。

ほこりたまった時にお掃除が大変そう!

第四章「水の青は時空を超え、樹々と山々の緑は生命を息吹く」

並木恒延「月出ずる」と同じくらい本展覧会で自分好みだったのが、百貫俊夫「芸術は夢の中に」という染織の作品です。

「芸術は夢の中に」というタイトルの通り、夢の中のような幻想的な世界が描かれているのですが、中央にそびえる山の白、両側の山の黒、湖の青、巨大な海老の赤によるコンストラクトが美しいです。また散りばめられている螺鈿が幻想感をより一層高めてくれています。

子供の頃読んだ、斎藤隆介さんの切り絵を思い起こさせる雰囲気を持った作品でした。

おわりに

並木恒延さん、今泉今右衛門さん、百貫俊夫さんの作品に出会えたことが今回の収穫でした。

「沈金」、「墨はじき」といった手法に関しても新しい発見!

年をとるにつれ、より工藝作品が好きになっていく自分がいることに気付かされました。

おまけ

同時、東京国立博物館本館及び東洋館を見て回り、その後神田で開催されていた「ヴィンランド・サガ アニメーション制作資料展」も観に行ったため、総歩数が、先月の横浜トリエンナーレ鑑賞時の20746歩を上回る21,128歩となりました!疲れた💦

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