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スクールタクトで始める、未来の学び〜一人ひとりの子供が主人公になる学校へ〜

皆さん、こんにちは!
スクールタクト マーケティング部です。

スクールタクト サマーキャンプ 〜みんなで創る未来(あした)の学び〜 は、スクールタクトと全国の先生がつながり、これからの教育や学びについて一緒に考え、未来に向けてそれぞれの現場での実践につなげていこうと企画したイベントです。

スクールタクトユーザーの先生方にご登壇いただいたDay2実践編についてご紹介する連載記事。今回はスクールタクトを活用していただいた先生のクラスや授業、また子供たちや先生ご自身にどんな変化が起きているのかをテーマにさまざまな学びの実践をお届けします。


データを活用してクラスの状態を把握。子供たちの可能性を信じる関わり方


成城学園初等学校 秋山貴俊先生

成城学園初等学校の秋山貴俊先生が目下注目していたのは、内閣府が発表した『Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ』。多様な子供たちに対して、ICTも活用して学びを充実させていくこと、そしてコーチングを用いて子供の主体的な学びをサポートすることなどが目標指針とされています。

秋山先生はその2つの指針に対し、ICT、コーチング、社会科の専門性と民間組織での実務経験という、ご自身が得意とする3つの領域を活かしてさまざまな実証や研究を行っています。

3つの領域の面を広げながら、学びの可能性を探究されている秋山先生

まずは、「多様な子供たちに対して、ICTも活用して学びを充実させていくこと」。秋山先生は普段から、子供たちの状況や人間関係などの実態把握のためにスクールタクトとWEBQUを活用しています。
WEBQUは、早稲田大学教授の河村茂雄氏が開発した学級経営アセスメントツール「Q-U」のWeb版。教員が子供たちの状態を多角的に知ることができるアンケートツールです。個人とクラスの状態をアクティブに可視化して表示されるため、今のクラスの状況を反映した学級経営に生かすことができます。

WEBQUのデータからは、クラスの一人ひとりの学級満足度を把握することができます。秋山先生はそれを参考に、時期による動きの変化や自分の感覚との差に注目し、その原因を探ることを大事にされているそうです。

一人ひとりの状態や人間関係について把握したいとは思うけれど、秋山先生の学級は36人の子供たちからなる学級。一緒に遊んだり、交換日記をすることで把握する方法もありますが、先生一人で全員の状態を逐一確認して変化を追うには、どうしても限界があります。そのため秋山先生は、「自分の感覚を補強するためのデータとして」ICTを活用されています。もちろん、データを鵜呑みにするのではなく、データと自身の感覚を重ね合わせ、そのズレを明らかにするようなイメージです。

WEBQUの結果イメージ。位置によって児童の学級満足度がわかる。

それに加え、秋山先生のクラスではスクールタクトで日々「朝ノート」を実施しています。朝ノートは、子供たちが毎朝その日の体調や気分、その他にも興味関心のあることなどについて書き込み、それをお互いに見合っていいねやコメントをし交流するものです。「発言マップ」でいいね・コメントの多く集まっている子供や、子供同士の相互関係が可視化されるため、その後の支援や実態把握に役立っているといいます。
例えば、他の子供とのやりとりがなくポツンと浮いている子や注目を浴びている子など、自分の感覚とズレがないか確認します。また、普段仲が良いのに急にやり取りが無くなった子供たちがいたら「何かあったのかな?」と気付くことができます。読み取れた情報をもとに1日一緒に遊んだり話したりして子供たちを見守り、原因を探ることができるのです。

「発言マップ」機能では、コメントやいいねによる子供同士の結びつきがわかる

秋山先生が着目されていたもう一つの目標指針、「コーチングを用いて子供の主体的な学びをサポートすること」。ここでは、コーチングにまつわる実証的な実践をご紹介いただきました。秋山先生は、学校でコーチングを活用するにあたり、「傾聴」「承認」「質問」といったスキルよりもマインドの部分を大事にされています。それは「クライアントの可能性を信じる」ということ。学校においては「子供の無限の可能性を信じる」ということになります。

秋山先生が注目するのは、下段のコーチングマインド

秋山先生が行った実践は、「将来の夢や目標に向かって走り出せば、学習の必要性に気付き、学力向上にも効果があるのではないか」という仮説のもとに、プロのコーチによる1対1のコーチングを複数回実施するというもの。実際のセッションでは「将来の夢や頑張っていること」をテーマに1回30分ほど対話し、コーチング実施前と実施後の漢字の学習回数の比較を行ったそうです。

結果としては、コーチングを受けたからといって、漢字の学習回数が増えるわけではなかったとのこと。しかし、コーチングを実施した全員がアンケートで取り組みについて肯定的な意見を示したことに、秋山先生は注目しました。

学習にただちに直結することはなくても、目標に向けて寄り添う存在がいることは、子供たちにとって、とても意味のあることのようです。この結果を受けて、子供たちは保護者や教員以外の大人たちにも、もっと話を聞いてほしいのではないかと感じたと秋山先生。多くの人との関わりがあってこそ、子供たちの学びは豊かになるということは、先に挙げた『Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ』でも示されています。
全ての教育課題を、学校だけで解決することは難しいと秋山先生は言います。いかに子供たちの学習に寄り添い、ICTや学校外を含めたネットワークを駆使し子供たちの視野を広げ、充実した学びにつなげられるか。これからの教員には子供を見取る専門家としてそんな力が求められるのではないかとお話しいただきました。

考える時間をどう作る?児童生徒が主役の時間を増やす工夫

惺山高等学校 奥山秀行先生・髙山篤先生

山形県の惺山高等学校は、昨年創立100周年を迎えた伝統校。ICT教育に力を入れており、全生徒がChromebookを所有しています。
今回は、2年目に入ったスクールタクトの活用について、お二人の先生に発表していただきました。

奥山秀行先生は、商業科で簿記やマーケティングの授業を担当。
どの科目も配布物や板書が長く、考える時間より待つ時間が長くなることも。また、グループ発表を行うことが多い中、聞くだけの時間が増えてしまいがちという課題もありました。

もっと効率よく学習できないかと考えていた奥山先生は、スクールタクトを使って授業を展開することに。
簿記などの配布物や板書の多い科目は、問題用紙や解答をスクールタクトで配布します。解答用紙は紙で配り、難しい部分を黒板で説明するなど、デジタルとアナログの利点を活かして使い分けています。
また、グループでまとめる活動の多い科目は、発表をスクールタクト上で行うようにしました。これにより全員がお互いの発表を見やすくなった上に、「ワードクラウド」機能を使って、グループ全体の意見傾向をまとめの参考資料として示すこともできます。

確認テストは、スクールタクト上で解答

このように授業を効率化できたことで、生徒自身が主体的に考える時間が圧倒的に増えたそうです。
例えば、バスナビアプリの開発や市への提言を前提とした、地域のバスの路線図や周辺施設の調査結果を、スクールタクト上にまとめる活動。イベントではその一部を体験させていただきました。

ICTスキルや思考力が試される、地域について考える活動の一部

髙山篤先生は、数学の授業を担当。
ノートに解いたものを教員が1人ずつ採点しようとすると、行列ができて無駄な時間が生まれてしまうことに悩んでいました。また、学習の途中経過を確認できないこと、分からなくても声を出せない生徒がいることも課題に感じていました。

それらの課題が、スクールタクト上で問題を解いてもらうことで解消されたと髙山先生。
スクールタクトを活用することで、クラス全体の途中過程をすべてリアルタイムで見られるので、正解に向かって解いている答案か、間違っている答案か、瞬時に見取ることができます。「共同閲覧モード」にしているので、早く終わった生徒は解答や解法を他の人と比較して学びを深めることが可能です。もし分からなくてもスクールタクト上で各自が他の人の解答を参照できるため、なかなか声をあげることができないおとなしい生徒にも好評だと言います。ノートで問題を解いていた頃より、2倍3倍の効果があると感じているそうです。

白紙で配り、直接問題を解いてもらうことが多いそう

スクールタクトはツール内で完結するものではなく、その周辺のコミュニケーションも促してくれるという髙山先生。教員の意図を越えて、授業内で自然に協働が生まれ始めるそうです。
生徒からも、「時間を効率的に使える」「友達と考えることができる」など、好意的な声が寄せられました。

スクールタクトに対する生徒の声

お二人の先生が、「どのような教育をして、どんな風に生徒を伸ばしていきたいか」を念頭に置きながら、スクールタクトを活用し一つひとつ課題を解決されていった様子や自然と主体的、協働的に学ぶ環境が醸成された様子をうかがうことができました。
今後もコミュニケーションや気付きを促すツールとしてスクールタクトを使っていきたいと語ってくださいました。


札幌市立真栄小学校 中島裕美先生(英語)

札幌市立真栄小学校の中島裕美先生は、英語専科の教員として3つの学校で英語の指導をされています。スクールタクトを活用する中で、課題テンプレートを使うことで準備の時短になること、教材を自作できることなど、さまざまな良さを感じていると言います。今回は中島先生にお話いただいた教材づくりのアイデアをたっぷりご紹介します。

1つ目は、紙で行っていた活動をスクールタクトに置き換えた事例です。「ムーブパーツ」機能を使って子供たちが手を動かしながら英単語やアルファベットを聞き取る活動です。
中学年の外国語活動の教材”Let’s Try”には、「おはじきゲーム」という活動があります。自分の好きなところにおはじきを置き、その場所に書かれた単語が発音されたら、おはじきを取ることができるゲームです。コロナ禍、おはじきなどの「もの」を共有することが難しくなり、スクールタクトで行うことを思いついたそうです。おはじきを「ムーブパーツ」にしておくことで簡単に動かすことができます。

「アルファベットピザ」は中島先生オリジナルの課題。こちらも「ムーブパーツ」で移動できるように設定されたアルファベットが書かれた具材の中から、”A please.” などとペアのお友達から指定されたものを探し、ピザ生地の上にある同じアルファベットの場所に移動させるというものです。

こういった課題を紙で行っていた時は、とても大変だったと中島先生。人数分のパーツの準備時間がかかるだけでなく、過去には「Gのトマトがなくなった!」なんていうこともあったそうです。教材の準備時間はスクールタクトを使うことでかなり短縮されたそうです。それだけではありません。授業内での配布時間も短縮され、子供の活動時間を長く確保することができ、活動を繰り返すことで何度も英語に触れられるようになったとのこと。

「ムーブパーツ」を使ってアルファベットを学習する課題

教員は、子供たちが課題に取り組む様子を「回答一覧」で確認することで、一人ひとりの到達度を一目で確認することができます。指示の通りにオブジェクトを動かすことができていない子がいたら、該当の単語をまだ理解できていないということを把握することができ、指導と評価の一体化につながると中島先生は言います。余った時間などによく行う、アルファベットの音を聞いて書き取る活動でも、大文字小文字の区別がついているかどうかや、音と文字が一致しているかがすぐにわかるため、次の指導に生かすことができます。

回答一覧で子供たちの到達度をリアルタイムで確認し、次の指導に生かす

2つ目は、もともと使っていたワークシートをPDF化してスクールタクトに貼り付けることで効率的に授業準備ができた事例です。例えば、中島先生が行っているのはクラスメイトに好きなことをインタビューしたり、学校の中の好きな場所を紹介したりするアクティビティ。

課題を何ページか用意し同じワークシートを複数枚貼り付けておくと、繰り返し練習できるというポイントも教えていただきました。

PDF化したワークシートをアップロードし作成した課題

3つ目は、白紙で課題を配布する事例です。「今日の朝ご飯」や「修学旅行の思い出」などのテーマについての絵を描いてもらうことで、発言やグループ交流に対する足場かけ(※1)を行う例もご紹介いただきました。
※1 学習や問題解決を促すために、教員などが児童生徒が自分の力だけで課題を遂行できるようサポートすることを指します。

よくスクールタクトを活用されている先生から、「普段あまり話さない子が積極的に参加する様子が見られた」などという声をいただくことがあります。中島先生の英語のクラスでも、そのようなことがあるそうです。あまり話さない子にいきなり質問をするにはハードルが高いという場合にも、絵があることでそれを足がかりに会話につなげることができます。

また、子供たちが実際に食べたものや行った場所などをテーマにすることで、意味のある英語に触れることができるという利点もあります。”What’s this?”から始まり、おにぎりなら ”Do you like umeboshi?” など、子供の描いた絵をもとに英語のやりとりが増えると感じているそうです。

絵を描いてもらうことで、発言やグループ交流に対する足場かけを行う

4つ目は、シンキングツールの課題テンプレートを活用した事例。”Flat Stanley Project”(※2)は、紙でぺちゃんこ(flat)になった自分の人形と英語の手紙を交流先の人に当てて送るというもの。ぺちゃんこの自分が、交流先で色々な体験をしていくのです。手紙を書く前に、スクールタクトを使って思考を整理しているそうです。伝えたいこと、聞きたいことなど思考を整理してからアウトプットすることの大切さは、日本語も英語も関係ありませんね。
※2 Flat Stanley Projectは、ぺちゃんこになってしまった男の子(スタンレー)が封筒に入ってお友達のところへ旅するという”Flat Stanley”(日本語訳『ぺちゃんこスタンレー』)というお話から始まったプロジェクト。本を読んで、ぺちゃんこになった自分を作り、知り合いなどに依頼して外出先に同行させて写真を撮ってもらうことで旅の疑似体験ができるというものです。子供たちはこのプロジェクトを通して読む力や書く力だけでなく、世界のさまざまな地域や異文化への興味関心を育みます。

スクールタクトのシンキングツールを使って思考を整理してから手紙を書く活動

ゲームやインタビューといったアクティビティを通して身近なところから生きた英語に触れる中島先生の授業。スクールタクトをうまく活用することによって誰もが参加できる環境を作り出したり、その機会を増やすことができることを教えていただきました。

『スクールタクトで「つなげる」「つながる」外国語の授業』という発表タイトルの通り、子供同士がつながる、子供と先生がつながる、先生の指導が次の指導につながる、子供たちの活動が1回で終わるのではなく次の活動につながる、といった形でスクールタクトが活用されています。

『スクールタクトで「つなげる」「つながる」外国語の授業』のイメージ



新地町立新地小学校 佐藤陽平先生(小6 理科)

新地町では2013年から、従来の「授業」と「宿題」の役割を全く逆にした授業形態である反転授業の研究を実施しています。
新地町立新地小学校の教務主任である佐藤陽平先生は、小学校6年生の理科での2つの反転授業の型の実践について発表してくださいました。

植物の体の水の通り道について考える単元。日常のささいな疑問を調査につなげる。

1つ目の「導入型反転授業」では、「植物のからだに取り入れられた水はどこを通るか予想する」という、単元の導入部分に子供が持ち帰り学習で事前に取り組むところからスタート。

スクールタクトで事前に課題を配布し、自分の考えを書いて提出してもらいます。持ち帰り学習の質を上げることが、反転学習の目的の1つだと話す佐藤先生。時には最初からヒントを与えて、苦手な子に配慮することも。先生はリアルタイムで提出状況を見ることができるため、授業前に一人ひとりの考えを把握して「この子の考えは、ここの場面で提示したいな」「あの子とこの子の考えを比較・検討させたいな」という具合に、その後の展開に生かします。

スクールタクトで出された事前課題には、個性豊かな回答が寄せられる

持ち帰り学習で事前に課題に取り組んでいるため、実際の授業ではすぐにお互いの考えの交流に入ることができます。個人でまとめる過程を授業外で行うことにより、授業時間を主体的に考えを伝え合う学習にあてることができます。

その後の全体の練り上げでは、一人ひとりが一生懸命考えてきたキャンバスをもとに発表。聞く側も、自然と真剣な姿勢になります。

まとめのヒントとして、「ワードクラウド」を用いてクラス内で多く出た言葉を提示

事前にじっくりと子供の理解度や様子を見る時間を取っているため、最後のまとめの時間でも、先生が意図を持って指名し大事な既習事項の確認などを行うことができます。また、単元全体で学習を効率的に進められるため、授業の時間内で発展的な学習を行うことも可能になります。

続いての「考察型反転授業」は、葉まで運ばれた水がその後どうなるのかという実験結果の考察を、各自が授業前にスクールタクトにまとめてくることからスタート。そのため授業では交流の時間をたっぷり取ることができました。

葉まで運ばれた水のその後について考察し、顕微鏡で観察する単元

また、グループでの話し合いを通して子供たちはどんどんツールの使い方や考え方を学びます。「回答比較」機能を(※3)使って友達の考えとの違いを知ったり、「ワードクラウド」機能を話し合いに活かしたりして、学びが深まっていく様子が見られたそうです。

※3 「回答比較」機能では、クラスの回答一覧の中から、先生が児童生徒全員に見せたい回答を選択し、大きく表示することができます。生徒が自分の画面で複数の回答を比較することもできるので、他の児童生徒の考えを知り学ぶ機会が作れます。

「回答比較」や「ワードクラウド」の機能を活用し学びを深める

続いて、練り上げとまとめ。
グループで話し合ったことをもとに、全体で考えを共有した後は、子供たち自身の言葉や表現で、スクールタクト上に学びをまとめます。

スクールタクトを自分の表現ツールとして使いこないしている様子

この単元でも学習を効率的に進めることができたため、まとめの後は「顕微鏡で葉の表面を観察する」といった発展活動に取り組むことも可能になったそうです。

佐藤先生はスクールタクトを使って反転授業を行う効果として、

  • 話し合い活動にすぐに入れる点

  • たくさんの子供の考えをクラスで共有できる点

  • 事前に考えをまとめ、全員が自信をもって発表できる点

  • 後半の発展課題にも時間を割くことができる点

をあげ、子供たちの学びがより主体的に、内容はより発展的で深いものになったと報告してくださいました。


伊那市立手良小学校 有賀祥子先生(小5 国語)

伊那市立手良小学校の有賀祥子先生は、育児休暇から復帰されてもうすぐ1年。小学校5年生の担任をされています。

「好きな授業を聞いた時に国語と答える子供が少ない現状が少し残念」と語る国語科の有賀先生。スクールタクトを使って「言葉に立ち止まること」「言葉と向き合うこと」を大切に、国語への意欲の喚起に取り組んでいます。

例えば、文章の並び替えの課題では、文章をいくつかのパーツに分け、「ムーブパーツ」機能で子供たちが移動できるよう設定しておき、文章を正しい順番に並べ替えます。

「ムーブパーツ」で動かせるよう設定された文章を正しく並べ替える

タブレットで簡単に操作をしながら「どうしてこの順番にしたのか」「どんな言葉に注目したのか」といった、子供たちがその選択に至るまでの考えに向き合うことができます。

この課題の背景には、一見さらっと読めてしまう文章でも、初めて登場する接続詞などに注目し、子供たちがこれから使っていく言葉として大事に受け取めてもらいたいという有賀先生の思いがあるそうです。

また、授業の中では協働の時間を必ず取るようにしています。友達といろいろな視点から意見を交わし、お互いに説明をしながら言葉と向き合う経験を重ねることで、少しずつ言葉への感度や作者の意図について考える力を磨いていくのだそうです。

有賀先生は、読むことだけでなく学んだ言葉を使ってみることも大事にされています。授業体験の中では、「なぜかというと」という接続詞を使って一人ひとりが文章を作りました。

文章の内容も、表現形式も多様!
「なぜこの言葉を?」という追究の視点を持てる「ふきのとう」の課題

有賀先生は、スクールタクト上に「課題テンプレート」として用意されている新聞を、自己紹介新聞、1週間新聞、協同編集新聞などにアレンジしてフル活用されています。
スクールタクトを使った新聞づくりなどの活動は、書くことを嫌いにならないことにも大いに役立っているとのこと。なんでも、国語が嫌いな子の一番の理由は、書くのが嫌いということなんだそう。スクールタクトは入力した字の大きさが自動調節されて、スペースにぴったり当てはめることができたり、書いたものを後から動かすこともできるため、書くのが苦手な子にとっては、そのハードルを下げることに一役買っていると言います。
「書けた」という経験が積み重なれば自信につながります。自信をもって自分の考えや振り返りを入力できるようになった経験と力は、鉛筆で書く際にも変わらず発揮されると有賀先生は話してくださいました。

新聞づくりの課題テンプレートを活用
スクールタクトで自分の考えを入力した経験が、確実に「書く」力につながる

新聞づくりの他にも、さまざまな課題テンプレートをアレンジし、マイテンプレートを作っている有賀先生。

課題テンプレートは、「全学年」で欲しいキーワードを検索しまくって発掘!

一方で、白紙の課題を配ることも大事だと話します。
先生が用意した課題の説明に時間を割くのではなく、まずは子供たちがどんな問いを持っているのかを知り、そこから授業を組み立てることがとても大事だと感じているためです。スクールタクトなら、授業中にでもその場で準備して課題を配布できるので、枠を作って先生が想定した通りに当てはめてもらう授業ではなく、子供たちの考えや活動から授業をつくるということが実現しやすくなったそうです。

白紙課題では、さまざまな機能を使った自由な表現が見られる

授業のかたちの変容はキャンバス上の課題だけでなく、授業形態そのものにも表れます。
有賀先生は、Web会議システムとスクールタクトの「共同閲覧モード」を使って、簡単なハイブリッド学習を行うこともあります。有賀先生のクラスには、1人で黙々と取り組む子もいれば、グループで取り組む子や、教室の外から参加する子もいます。課題を「共同閲覧モード」に設定しておくことで、同じ教室にいなくてもお互いに書き込んだ内容を見ることができます。どこにいても自分に合った学び方で学ぶことを保証できるようになったと感じているそうです。

教員の方も重いノートや制作物を持ち帰ることなく、タブレット1つで場所を選ばず準備やコメントができるようになり、大変助かっているとのこと。
有賀先生が示してくださったICTの強みを活かした学びの支援のあり方には、子供だけでなく、教員側も多様に自分らしく働くためのヒントが詰まっていました。

5名の先生方の実践から、子供たちの可能性を信じ、子供たちの学びを真ん中に置いて試行錯誤されている様子が伝わってきました。
本記事の続編として、次回は子供たちが自分の興味関心や状況によって自ら課題や学び方を選ぶ主体的な学びを支援されている3名の先生方をご紹介します。



それではまた。
学びとマナビが、ひびき合う。
スクールタクトでした。


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