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学校再開に向けて動き出したカンボジア

3月某日以降カンボジアの学校は休校中ですが、カンボジア教育省は9月7日から第2弾の学校再開をしていくというアナウンスを出しました。半年近く、学校がストップしていることで、様々な問題も発生していますが、この期間を利用してよりよい教育に向けた準備に使われた、というとらえ方もあるようです。

安全と健康を最優先に

2020年9月1日、カンボジア教育省学校保健局主催の、学校保健に関するワークショップが開催され、2025年にカンボジア全国の小中学校高校で週に1時間保健の授業を取り入れるためのプランが報告されました。
小学校1年生から高校3年生に至るまでの保健を、誰が何をつかってどうやって教えるかというプランです。
加えて、世界的な感染の影響が端を発して休校にした詳細な理由についてもこのワークショップでお話しがありました。

何よりも子どもたちの安全と健康――、それが他の国同様、カンボジアでも、学力をとりあえず置いてでも優先しなければならないことでした。

学校再開に向けての課題

ソーシャルディスタンシングの観点から、学校を再開すると言っても、1クラス15~20人という基準を設けるため、子どもたちにとっては、学校に行けるのは週に1回程度からになる見込みです(1クラス50~60人ほどの学校もある)。
そのため、今後、始業時間と終業時間のコントロール、授業時間数の調整、足りない時間をオンライン授業で引き続き補う、など、直面する課題はたくさん残っているそうです。

それでも、ここで再開に踏み切ったのは、子どもたちや教師の、学校に行けないことや、慣れないオンライン授業によるストレス等、メンタルヘルスの問題が生じはじめていることもあります。

衛生的な学校をめざして

9月から順次再開される学校では、手洗いの励行、安全な飲み物の持参、校内での食べ物販売の禁止など、衛生面をかなり重視した学校生活をめざしています。さらに、救急箱や、できれば保健室を設置するなど、保健面でのグレードアップが推奨されています。
これらは、2025年の全国での保健の授業導入に向けた準備であるとともに、子どもたちを感染から守るための重要な活動です。

それでもまだ、手洗い場やトイレがない学校もカンボジアには存在しています。衛生に欠かせないそれらの準備が喫緊の課題だと、学校保健プロジェクトに関わる人間としては、考えてしまいます。

全国の学校が完全に再開されるには、まだ少し時間がかかりそうですが、学校再開に対してのカンボジアの衛生観念を知れることができたことは、ワークショップに参加した大きな収穫でした。


(プロジェクトコーディネーター YM)

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