見出し画像

大丈夫、という無責任

私がまた補助輪なしには自転車に乗ることがままならなかったころの話です。今日こそ補助輪を外そう、そう思って二つの車輪で走ってみることにしました。しかし、やはり最初はうまくいきません。ペダルを漕ぐほど安定すると頭ではわかっていても、スピードへの恐怖がそれを阻みます。案の定、転んでしまいました。

「痛かったね、大丈夫、大丈夫」

そう声をかけてもらったことを覚えています。幼心には、心強い言葉に感じたものです。しかし年を取るにつれて、「大丈夫」と声をかけることに少し違和感を感じるようになりました。

本気で泣いている人を見たことがあるでしょうか。理由はいろいろあるでしょう、好きな人に振られちゃったとか、スポーツの試合で負けちゃったとか。最近では、テレビで性暴力被害の特集を見たときに、被害者の方が苦しそうに涙を流している姿を見ました。

そういう人を前にして、「大丈夫だよ」なんて言うのには違和感があります。あなたにとっては大丈夫でも、その人は違うかもしれない。

大丈夫かどうかを決めるのは、あなたじゃない。

つまり、勝手に「大丈夫」と決めてしまうのは、少し無責任な言い方なのです。

では、目の前で悲しいでいる人に対してどう接するのが正解なのでしょう。難しい問題で、決まった答えのある公式は存在しないでしょうが、「寄り添って話を聞いてあげる」とか、「そっとしておいてあげる」というのがベターな行動かもしれません。

いずれにせよ、相手の心情を察することが大切だということかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?