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【読書記録#2 嫌いなら呼ぶなよ】

今回は、綿谷りささんの【嫌いなら呼ぶなよ】を読んだ感想です。

可愛らしい、近づくと毒々しいショッキングピンクと水色ドット柄の表紙。あらすじに目を通さずに読み進めましたが、人の内面にある毒々しい部分を表紙に表したのかな、と勝手に想像しております。

4編で出来ており、整形、YouTubeのリアコ、不倫夫、老害と若者というテーマ。
ニュースやSNSでトピックスとして取り上げ話題になるような出来事や人物側からの視点で描かれています。
行動を起こす人達の思想を少し触れられた気がします。はじめて著者の小説を読みましたが、心理描写が細かくリアルさと言い回しの面白さを感じました。

私は整形をテーマにした【眼帯のミニーマウス】がスカッとして読み応えがありました。1章目だったのもあり、続く章へも手が進みます。
承認欲求(周りに認められたい)よりも自己愛(自分が好きな装いで表現したい)が人より強い主人公が、弾みで整形をオープンにしたことから職場で整形をいじられる展開。
 
自分を高められる戦闘服(おしゃれ着)が主人公にとってはミニーマウスよなドット柄のきいたワンピース。それに似合う顔を求めて整形をしていた主人公。
周りからの評価を我関せず、気が強くメンヘラ気質で現実にいたら距離を置いてしまうような人物だけど、憎めない。職場のいじめ相手にただ黙らず、自分の武器を用いてやり返す方法を見ると、したたかな人でその部分に羨ましさを感じるのかな、と振り返りです。

心理描写が丁寧で人物の考えがわかるからこそ読み応えがあると感じているのかもしれません。綿矢りささんの本これから手に取る機会が増える予想です。

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私が、好きな文章は下記です。

「― シュークリームは最大の武器であるクリームという中身をそれほどあらわにせずシュー生地をかき分けて胸元をしっかり隠していたのに、マリトッツォは豊胸した胸を見て見てと言わんばかりに露出させ手っ取り早くみんなの目を引く ―」

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