花畢ぬ

世界の終極つまりは冬一個の絶滅収容所とし地球ありき

花畢ぬ 名にいみじくも時の華さくらみづうみひてる汝よ

今際の際に哀悼こそは隠さむ 蝶番の扉が開かるる

博覧強記ならざることのうつくしき白痴詩神宿し時終へる か

孤独史を天文に刻み一切を憎しみ ああ、憎んでゐるよ

副葬品目にありつたけの月を盗め 薔薇窓に靴箱

極彩の蝶のしかばね かつてみな始祖鳥に尾羽ありきてふ

鸚鵡貝螺旋階段乳色の骨細緻に編み半球の穹窿も旧るか

百科事典のごとこどもなす犀利叡智を宿すまま永逝したまふ

永世の訣別ならで詩の袂堅く書の夜昼めぐり遭はば また

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榎本櫻湖様の御作を始めて知りましたのは、
文学極道時代の偉大なる先達として、で御座いました。
シュルともダダと取れます、
覆された宝石の様な御作に
憧憬を懐きながらも感歎を致しました事を謂わば、
元体験と致しまして記憶をしております。

今は、只管に打ちひしがれておりますが。
ただただ、安らかにお眠りになられます様にと、
此岸より願って居ります次第でございます。
  

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