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3×4×Sしんえんオンラインの気持ち ヌビア編

僕はヌビア君が嫌いだった。

多分向こうもそうだった。

なぜこんなに音楽ができるのに
銀の全身タイツを履くのか。

なぜあんなに美しい演奏ができるのに
機械の打ち込み音源を入れるのか。

フルフルに至っては弾いてねえし。

なにより

僕が先にしゃみおを見つけたのに
なぜ僕よりしゃみおと
仲良しになったのか。

僕は彼の全てが羨ましかった。

僕が欲しいものを持っていながら
それを使ってふざける彼が嫌いだった。


実は半年近く、
連絡を取りあわなかった時がある。

向こうが何を考えていたかは
むろん完全にはわからないが、
多分ヌビア君はヌビア君なりに
僕を好意的に思っていなかったと思う。


だからチェロを教わることにした。

これはもう、完全に
フトコロに入らんとわからんと。

コロナで売上がなくなった中で
チェロを買った。変な汗が出た。

ていうかなんだよあれ、
ケースだけで9万もするのか!!
ふざけんなよ宝石箱か。
(チェロは下手な宝石よりずっと高価)

買ったその日に転んだ。
ケースがあってよかった。

でかい。
重い。
電車でぶつかる。
バスで場所を取りすぎる。
通路を潰してしまう。
高速バスを断られる。


こんなものを持って
彼は毎月しんえんに来ていたのか。

チェロは音楽全体のバランスを取る楽器だ。

伴奏楽器というらしい。

にも関わらず
彼はメロディもやる。

1人で二役やっているのだ。
三味線でベース音は出せないのだ。

その上で
作曲もする。
アレンジもする。
全て深い。難しい。

ぼくはわかっていなかった。

彼は色々やってるのに
殆ど気付いていなかった。

自分の演出もそうだ。
大体気づかれない。

きっと僕達に限らず
ほとんどの人は
色々やってるけど気づかれていない。

しんえんが無くなった僕に
ヌビアさんはいうのだ。
「しんろくさんが復活できるまで
いつまでも僕をタダで使ってくれていいんですよ。」

こんなに優しい若者を、

この感動をどう伝えたらいいんだろうか。

集まることが許されない世界で。

僕はオフラインの演出家なのだ。


共有できる体験がなくなってしまった。

そんな中、「いつも通りのしんえんを。」

やっぱりできないのではないか?

今日、知り合いの会社員に言われた。

「僕、実はコロナの影響
全然受けてないんですよ。
普段と何にも変わってないです。
だから困ってないです。
でも、困ってないって
言えないんですよね。空気的に。

「コロナ大変だね。」
すら、わかりあえない。


ひとひとり理解するのに
こんなに時間と苦労がかかるのに
インターネットがあるのに
インターネットでは
何も言えなくなってしまっている。
何かを言うと、誰かに怒られる。

今日のシミュレーションは
ゆうち100回を超えている。

どうやってもうまくいかない。

ついでにこのブログも
ここまで書いた量と
同じだけ添削している。

そしていま、
自律神経を壊した我ら最強スタッフ
神無から
「今日、体調、無理。いけない」
の連絡。
(本番3時間前)


そこで、
僕の音楽の師匠の言葉を借りてみよう。

困った時は、
「それでも」
と言いなさい。

人の集まれない宴会。
不慣れな配信。
遠く感じるようになってしまった、
沢山の常連さん。
聞こえないリアクション。
お酒飲めない。


それでもやろう。

今日はしんえんだ。
僕が頼りにできるのは
「誰とも共有できるものがない」
という思いだけだ。

それでもやろう。

しんえんのコンセプトは
仲の良い他人をつくるのだ。

しゃみおと仲の良い他人になれる人を
ヌビアと仲の良い他人になれる人を
配信に来た人どうしが、
仲の良い他人になれる時間をつくろう。

演出家として、希望的な目算はない。
それでもやろう。
分かり合えない所から
始めよう。


ヌビア君を好きになれた
この気持ちが、
誰かに暖かく届きますように。

当日来れなくなった神無が
自分を責めたり
怖がっていませんように。

お酒が飲めなくても
しゃみさんが笑えますように。


僕にはまだ希望が残っている。

消えかけたこの火が
誰かを暖められますように。


今日もみんなで遊ぼうね。

しんろくでした。

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