言いたいことを整理して、伝わる資料に昇華するシナリオの技術

シナリオ・センターでは、日本中の『想像力・創造力』を豊かにすべく、「一億人のシナリオ。」プロジェクトを実施中。
 今回は、22年最初の外部講座となった理研ビタミン株式会社さんでの『決算資料ブラッシュアップセミナー』についてのご報告です。

投資家の心を動かす資料作りのお手伝いをさせて頂きました。

■年末のきっかけ

 決算説明会の内容を全文書き起こすメディア『ログミーファイナンス』さんで、年末にセミナーを開催しました。
 正直、決算資料なんて、見たことありません。株式投資に興味もなければ、縁もないので当然です。
 それでも、ログミーファイナンスの秋元さんと話をするなかで、
「決算資料も、読み手をもっと意識したものは作れるはずだし、作るべき。それをシナリオの技術で解説できないか」
ということで、『ドラマ「半沢直樹」シナリオライターの養成スクール講師が リライトする「投資家がときめく決算説明会資料」』。という、なんともプレッシャーのかかるタイトルのセミナーを開催。なんと100社以上の上場企業のIR担当者の方が、参加してくださいました。

■決算資料に足りない視点

 セミナーを実施するにあたって、数十社の決算資料を読みました。すると、ほぼすべての資料が、同じような傾向にありました。
・情報の羅列になっている
・資料をとおして、伝えたいことが不明瞭
・なぜ、その事業を推進するのか不明確
 これでは、投資を検討している個人投資家や機関投資家の方が喰いつくとは思えません。
 では、何が問題かというと、『どう伝えるか』の部分です。『何を伝えるか』という伝えたいことに対して、心を砕いていることは、とてもわかります。ですが、『どう伝えるか』についての工夫が足りないのです。その部分を、セミナーで解説させて頂きました。

■理研ビタミン株式会社さんでの実践

 ログミーさんでのセミナーをきっかけに、理研ビタミン株式会社さんで、IR担当者さん向けのセミナーを開催することになりました。
 理研ビタミン株式会社さんからは、
「 昨日ログミーのセミナーで、新井さんのお話を聞き、大変興味を持ちました」
と、セミナー後にすぐご連絡を頂き、年明けに開催することになりました。
 理研ビタミン株式会社の井上さんから、事前に、今回のセミナーに期待していることを、お知らせ頂きました。

中計の発表を控えており、読み手にとってつまらない中計にはしたくない。どうしたら当社に魅力を感じ、期待を持っていただける資料にできるか?

中期経営計画といえば、会社の根幹にもかかわる部分です。少しプレッシャーはありますが、シナリオの力を信じて、当日に臨みます。

■テーマをしぼることの難しさ

 理研ビタミン株式会社さんといえば、『ふえるわかめちゃんⓇ』などの商品でお馴染みです。ですが、じつは、食に関連する事業だけではなく、さまざまな分野に貢献している企業なのです。
 ですが、なかなかそこが伝わらない。
 資料を拝見していくなかでも、事業の全体像がつかみにくく、ゆえに、資料も作りにくいという感じが、ひしひしと伝わってきます。
 まず、資料作りに必要な知識として、起承転結の機能について解説しました。
資料を作るうえで一番重要なのは、『転』のテーマです。中期経営計画を作るうえで、どんなテーマになりそうかを考えてもらいます。
井上さん「……テーマかぁ~うちは、いろいろやっているからなぁ~」
と険しい顔。
 しかも、テーマのポイントは、
・具体的であること
・ひとつに絞ること
井上さん、ますます険しい顔になります。ですが、今回の資料で伝えたいことを、絞れないと、『転』にむかう『起』『承』を作ることができません。
 ここは、うんうん唸りながら、一生懸命考えてもらいました。

■大切なのは、貫通行動

 資料を作るうえで、次に悩ましいのが、貫通行動です。貫通行動は、シナリオを書く上でも欠かせないものです。初心者の方のシナリオで一番弱いのが、この貫通行動です。そして、決算資料にも、貫通行動が描けていない企業が多い傾向にあります。
 貫通行動とは、簡単にいえば、いろいろな問題をまえにしても、主人公が行動し続ける動機です。企業で言うと、企業理念です。
 貫通行動=企業理念がすべての企業活動を、串刺しの状態にしていることが、資料から伝わらないと、読み手が「なぜ、こんなことをするのだろう?」となります。読み手の資料への納得感と、期待感を生み出すのは、企業理念です。
 ですが、企業側からすれば、日々、理念の下で企業活動をしているので、その部分を省略してしまいます。決算資料の魅力が半減してしまう理由は、そこにあります。

■シナリオの技術で、投資も引き出す!?

シナリオには、相手に『どう伝えるか』という技術が凝縮されています。とくに構成の機能を整理することは、伝えたいことをわかりやすく伝えるために、必要不可欠です。
構成の機能で、ヌケモレがなければ、最低限のレベルに達することができます。
 投資家にとって魅力的で、期待感が持てる決算資料は、どんな会社でも作れます。そのためのサポートが、シナリオからできるのではないかと思っています。

▼ログミーファイナンス▼


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