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【みんなのセミナーインタビュー】 #1_青山敦センセイ

「みんなのセミナー」は、「誰でもセンセイ、誰でもセイト」がコンセプト。 学生主体・学生主導による学びの場づくりプロジェクトです。
年齢も立場も超えてつながり、みんなで協創する「学校ごっこ(大学ごっこ)」。
お互いがセンセイにもセイトにもなり、ともに学び合う空間を創出します。 大学を拠点に、大学生だけでなく高校生も社会人も一緒に学べるような、多様な学習者同士のネットワークを結節するプラットフォームを目指しています。


8/17(土)、8/18(日)開催の「夏セミ」に先立って、これまでの「みんなのセミナー」にご参加いただいたセンセイ方にインタビューを行いました。
今回は、青山敦センセイのインタビューです!
「みんなのセミナー」に参加した体験について語っていただきました!

(聴き手:佐々木瞭伍)

(センセイの情報などは、2024年5月時点のものとなります。)



プロフィール

青山敦(あおやまあつし)センセイ
東北大学大学院工学研究科化学工学専攻博士前期課程1年

みんなのセミナーに参加したきっかけ

元々、みんなのセミナーを企画していらっしゃる佐藤先生と、一緒に授業作りをさしてもらってて、そのときにたまたま来年度からは学生も授業して、学生が学生に対して授業できますよとか、ないしは学生が市民の人たちに授業をするようなイベントを考えてるんだということで紹介していただいて、最初から、去年の春セミから、ずっと…皆勤賞か!、皆勤賞や!、皆勤賞で参加しております。

ー佐藤先生と知り合いになったきっかけは先ほどおっしゃった授業作りからですか?

いやいや。1年生の頃に、佐藤先生の授業を受けていて。僕が入学した年は2020年だからコロナのときだよね。なので、全部オンライン。ただ、数少ない学生間で話し合いとかがあるような、グループワークがあるような授業。残念ながら2020年の前期は「絶対に学校に来てはいけません」みたいなところだったから、対面の授業はなかった。
だけれども、ちょうどそのときに佐藤先生から「(オンラインで)交流会開きたい学生いますか」っていう案内が来て。で、そのときに手を挙げたのが8人ぐらいいて、そこから佐藤先生とがっちり組むようになり始めたって感じかな。

ーもともとの原点的なところを辿ると、コロナの中でも色々な人と交流したいみたいなところがあるんですかね!

行った授業のテーマと内容

基本的には、「マジカルバナナ本気でやってみた」っていうようなのをやってました。
内容のメインはデザイン思考のアイデア出しの部分のYes and…っていうマインドセットを教えるっていうことをやっています。
授業っぽく教えても仕方ないんで、遊び取り込みながら一緒にやれたらいいよねみたいな感じで、半分楽しむ様子を多めに入れてやってるのがみんなのセミナーの中でやってるものになります。

元々学部1年から2年に上がるタイミングでデザイン思考というものにどっぷり浸かり始めて、学部2年のときにスタンフォード大学で6週間のオンラインプログラムを受けてデザイン思考というのをガッツリ勉強して、それを大学の中にちょっと広めてみたいなというふうに思って、デザイン思考やりたいなってのがまず一つ。

ただデザイン思考を全部がっつりやっても、ちょっと難しすぎるというか、なんかようわからんぞこれってなりがち。なので、その中でも一番みんなが楽しくできそうなのなんやろなと思ったら、アイデア出しかなと思って。自分の意見をしっかり言えるようになるっていう側面も含めてアイデア出しの授業をしてるっていう感じですね。

授業を行った感想

授業を行う中で楽しかったこと

僕はアイデア出しの授業をやってるから、たいてい扱うテーマが一つに決まっていて、「大学の1限に楽しく来るためには」みたいなテーマでアイデア出しを毎回行う。似通った回答というのが一定数があって、美人の先生が授業をしてくれるとか、逆にイケメンの先生が授業してくれる、イケメンがクラスメイトにいるというのがある。
その中で、時たま光り輝く「そんなアイデアあんねや」みたいなアイデアがぽろっと出たりするんで、そういうの見てるとものすごく楽しい!
もう一つはグループワークしてるから、あの場ではカタカナで「セイト」やけれども、セイトと僕のコミュニケーションはもちろんある。だけれども、それ以上にセイトとセイトの間でのコミュニケーションがあって、いろんなところにその会話の輪ができてるのを見るのがすごく楽しい!
別に誰が司会をするわけでもなく、会話が続いていく。このアイデア面白いとかって言うてるのも見てるのが面白い。いいな、楽しいなと思って見てるところかな。

ー最初は、自発的にみんなでグループワークするのって結構難しいかなと思うんですけど、そういうのをさせるっていうか、自発的にグループワークをさせるみたいな工夫とかってやられてるんですか?

これといったハウツーは僕も持ってなくて。
ただ、できる限り明るい場を設けてあげるっていうのが一点。常々何か周りで音がしてる環境を作るっていうことはやってるかな。静かなところでいきなり自分から話し始めるのってなかなか難しいから、僕がやってるのは僕も喋るし、グループで静かやなと思ってるところに話しかけて、そこで俺が一言話すようにもするし。グループが10個あったら僕10人いるわけないから1グループしか見られへん。けれども、場所にはちょっとアップテンポな曲を流して何か少しガヤガヤ感を出しておく。そしたら話しやすくなるなと思ってそういったことはしてるけど、特段これといって特別なことはしてない。

授業を行う中で想定外だったこと

想定外というか、たまに、びっくりするというか、ビビる、このアイデアどう拾ってあげようっていうときとか、やっぱり自分たちで自由にアイデアを出してねって伝えてる以上、彼らに主導権渡すわけやんか。だから、そのときにこれは拾ってもいいのかって悩むもんとかはあるよね。少人数になればなるほど次絶対その子のアイデアを拾ってあげないといけんときとかってあるやんか、均等に。マジかこれどうやって拾うかなみたいな、そういう意味での想定外はあるかな。
今ね、多様性の世界や云々って言ってるから。だから、それを笑いに変えてあげたいけど、笑いに変えたら嫌な人もいたりするから。これをどうやって全員に共有しようかなと考えることはあるかな。

ー確かに。みんなのセミナーだと、D&I、ダイバーシティ&インクルージョンっていうことで、多様性を重視しているんですけど。多様性を実現する上で、どれくらい拾ってあげようかとか、どれくらいの扱いで返してあげようかっていうところ、多様性のところもけっこう難しい…

難しいよね。この前の春セミのときは、「半分気にせず行くから、自分の倫理感と合わなかったとき教えて。全力で謝るわ。」って言うて。難しいよね、これは。でも萎縮しちゃうとさ、何もできへんやん。全部敬語で喋ってまうし。難しいよね。

ー確かに、その最初に断りを入れておくっていうみたいなのは、アリかもしれないですね。そこは確かにいろんな人が来る中で、春セミは学内の子たちだけだけど、夏セミや冬セミで、学外の方とか、あとこれからはその高校生とかも呼びたいかなと思ってるので。そうなって、どんどん多様性が広がっていったときに、そこの軋轢っていうか、そういう価値観の違いみたいなところをどうやってこうかっていうのが、難しくなりそうですね。

授業で大変だったこと

今ちょっと思ってる大変やなと思ってることは、ネタが不足してきたなと思ってて。何回こすったかわからへんねんけど、マジカルバナナ擦りすぎやから。そろそろ次の作らなあかんなと思ってて。やっぱ授業作りって一番大変なんよね。
こっちはこっちで伝えたいことがあるし。それに対して、受けるたちがそれを身につけるっていうのももちろんして欲しいけれども、それよりも前に学びを楽しむっていうのが多分根底にあるやんか、このイベントって。
ほんなら楽しんでもらわないとあかんから。そこの設計が難しいなと思うよね。「教えたいこと」と「彼らを楽しませたい」、これをどうしようって。100人中10人本当に中身に興味を持ってきてくれてたらいいなと思うぐらいだから。他の90人って何か行ってみるかあと思って来てたりすると思うんだよね。そういう人たちに中身も伝えたいけれども、どうやって楽しんでもらう、楽しんでたらいつの間にか覚えて帰るから。
そこの設計が難しいなと思うところから。

楽しさと教えたいことのバランスっていうか。

だからそういう意味でこれまで大変やなというか、ちょっと悩んだことはどのタイミングで僕の教えたいキーワードをぶっ込むかっていうのは毎回変えてる。早めに全部言うてしまうとき、小出しにするとき、最後にまとめとして半分答え合わせチックに伝えるときってな感じでちょっと毎回変えて、同じやり方でやってても受ける人が違ったりとかその場の雰囲気が違うと同じセオリーで通じへんときがあるから。そこは大変やなと思うな。生ものやからね、授業は
こっちの言葉の運び方も問題なんよね。言葉運びでこっからワークしようというような雰囲気の言葉を言ってたのに、いきなりそこでキーワードを投げられると今からやると思ってたのにっていうところでガクッと落ちるんやと思うん。だから、こっちの言葉運びでワークまで繋げてあげるか、ないしはキーワードを言ってあげるかっていうのはこれまた一つ重要なんやと思うね。セイトの様子も見ながら、自分の言葉運びも考えながら難しい。迷ったら終わるんや…、これがな…

みんなのセミナーでできたつながり

ー何回もマジカルバナナをテーマにやられてるっておっしゃったと思うんですけど、ネタが切れてきて困ってるなみたいな。でも、リピート率とかありそうな気がするんですけど、前来てくださった方がまた来てくださったとかあるんですか。

いや、僕の授業の仕方を見たいっていう教育的な視点を持ってる人は見に来てくれたりもするけど。でも僕のワークショップ自体、そんなに中身がものすごく濃く作ってるようなもんでもないからリピート率は少ないんと違うんかな。毎回毎回1回来て楽しかったな、こんなことわかったかもしれへんなっていうところで。そのときだけっていうことが多いかも知れない。一方で、春セミの後に僕が別途でやってるワークショップとかがあったりするから、そっちに来てくれるとかはよくあったりするよね。

みんなのセミナーでやってることをきっかけに青山さんの他の活動に来てくれる。めちゃくちゃ頼もしい先輩ですね。春セミのときは多分1年生と繋がると思うんですけど、夏セミや冬セミは何かそういう繋がりがありますか?

夏セミとか冬セミやったら社会人の方が来てくださるから、個人的にはその社会人の人と意見交換するっていうのがすごい個人的なメリットになってて。そういうコネクションがあるかな。毎回、僕は個人で名刺持ってるから名刺持ってて、今日の授業どうでしたみたいな話をしたり。逆に何か佐藤先生みたいに生涯学習みたいなことをやられてる方だと、わざわざ私のとこまで来てもらって、こういうところがよかったって言ってもらえて、すごい励みにもなるし。同じように教育に興味あってやってる人とかが多いから、そういう人と話すの方がすごい楽しいなと思うね。

ーこうやって、みんなのセミナーで自分自身と興味関心が同じ方と出会って、それについて意見交換できるのは確かに楽しいですよね!

みんなのセミナーを通して感じたこと・学んだこと

特に夏セミ/冬セミは年齢層がぐっと広がるから、大学1年生だけじゃなくて地域の人とかも入ってきて。場合によっては、下は幼稚園生とかも入ってきたりもするし、上になると「会社の役員さんですか」みたいなすごい肩書き持たれてる方もいらっしゃったりして。そういった年齢の幅がある中で授業をするっていうのがすごくいい経験だね。
そしたら、これも伝えたいしあれも伝えたいけれども、「幼稚園生はそれわからんよな」と思ったり、でも大人の人たちはそれに合わせるとこれまた満足感が得にくくなっちゃうから、どうやったらみんなが楽しい授業になるかなと思って設計するのが楽しいし、毎回学びになるなと思うところかな。

教育実習の授業は、教えるべきことがもう決まっていて、しかも詰め込み教育になってしまってるから、その点教えることの難しさ、教える内容の難しさっていうのがある。教育実習の方で面白いなと思うのは、クラスとして出来上がってるから、もう既に。その点あいつに振ったら面白い回答が返ってくるとか授業の組み立て方がしやすい、想定しやすいよね。

一方で、みんなのセミナーだと、教える内容をこっちで決めることができるし、知って欲しい内容をいっぱい詰め込むのか、はたまた、1個だけを集中して教えるのかを選択できる。その点、こっちに自由度がだいぶあるよね。
難しいなと思うのは、年齢層の幅とか、毎回毎回違うセイトを相手にするっていうところで組み立て直さないといけない。行き当たりばったりチックなライブの楽しみ方をするっていうのがみんなのセミナーの面白いところであり、チャレンジングなところなのかなというところですね。
だから、思いがけないことがよく起きるのが、みんなのセミナーやしそれが楽しいよね!

みんなのセミナーがその後に活かされていること

自分でワークショップをやったりするから、みんなのセミナーでいろんな経験積ませてもらってるのは嬉しいなと思う。やっぱり教える側も教壇に立った回数がものを言うから、初めてやる授業って絶対失敗するっていう言い方もよくないけれども、大抵反省点が複数個上がってくるよね。
僕は今まで、マジカルバナナばっかりやってきて、あれだけでも夏セミとか冬セミとか全部合わせて、10回ぐらいやってると思うんですけど。そんだけ場数踏んでくると、ある程度こうした方がいいなとかっていうのも生かしてやれるから、外でやるときも満足度高くなってくる。別にマジカルバナナに限った話じゃなくて、ちょっとそれを抽象的に解釈したら他のワークショップとかにも生かすことができる。

みんな先生初めての人の方が多いねんから、教育実習やりましたっていう人も多分そんなおらんと思うし。みんなたいてい初めて先生になるから。その点、失敗しても、みんなで盛り上げよう、みんなで楽しもうぜって雰囲気があるから、いい意味で失敗しやすいよね!

ー今までの青山さんの話聞いていると、青山さんぐらいすごい色々経験してきた人じゃないと先生になれないのかなって思ってたんですけど(笑)
みんな初めてだから失敗しやすいっていうのはこれから先生始めたいなって思ってる方とかこれから参加してみようかなと思ってる方にとって、すごい心強いことですね!
失敗を受け入れてくれるみたいな優しさも結構参加される方にありますし、雰囲気も温かいですし。

繰り返し参加するモチベーション

僕は場数を踏みたいっていうのと、面白い人いるんちゃうんかなと思って毎回来てる。毎回毎回それで連絡を取り合うような人たちが出たりするからそれはいいなと思ってる。ここの場所でできた繋がりはここに来ると、もう1回現状報告はお互いにできるから、そういう意味でいいなと思ってる。
別に、東北大学もまだみんなのセミナー自体2回しかやってないもんね。だからまだまだ始まったばかりやからね。常連客っていう雰囲気もまだないし、全然入りやすいんちゃうんかな。

ーそうやって新しい出会いがあるし、コンセプトとしては「誰でもセンセイ、誰でもセイト」で自由な学びを楽しもうってところがあるけども、それを超えた出会いの場みたいなところもありますよね。自分と興味関心が近かったりとか、こういうことやってるんだっていう意外な人に出会えたりとかそこが結構面白いですよね!

今後の展望

授業のバリエーションを増やしていきたいなと思ってるねん。
こんな授業もできるんやっていうのを自分の中でチャレンジしてみたいなと思って。今はアイディア出しとか発散させる方のことやってるから。好き勝手言うたら、良い意味でも悪い意味でも好き勝手言うてたらアイディア出しって終わるんで。そういう意味で盛り上がるけれども、じゃなくてもっと真剣に考えるようなワークショップ。でも、半分盛り上がりながらも真剣に考えるようなワークショップがなんか良い塩梅でできればいいなと思ってて、次の夏セミとかはそんなんが実現できたらいいなと思っているところかな。

ー1度きりの「やって楽しかったな」だけで、エンターテイメント的に楽しかったなっていうのもそれはそれでアリかもしれない。けれども、それ自体が面白かったな、それが楽しかったな、それがめっちゃ面白くて真剣に勉強したなっていうのも確かにアリですよね。エンターテインメントというよりは、インタレスト、興味が深まったなっていう。

みんなのセミナーのPR

みんなのセミナーは、いろんな年齢層の人ですとかいろんなタイプの人たちが集まるところなので、普段では出会えないような面白い人たちと出会うことができる、おもしろい場でございます。なので、よければ、僕も会いたいですし、ぜひちょっと皆さんで面白い場所が作れたらなと思いますので、ぜひみんなのセミナーにご参加ください!


次回のみんなのセミナー 【「夏セミ」(東北大学サマーセミナー)】

今年度の8月にも、「みんなのセミナー」を開催します!
ぜひ、ご参加ください!!

主催:SCC(Student Community College) ・東北大学学習支援センター
日時:2024年8月17日(土)、18日(日)
場所:東北大学 川内キャンパス 講義棟C棟

▼詳細はこちら▼
夏セミsummer seminar 2024 (notion.site)


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