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偶像を取り巻く光と闇を通して熱狂と憧れを知る。

またしても寝食を惜しむほどにハマったゲームに出会ってしまった。私がここ数日SNS含め表に出てこなかったのはそのせいだ。ロシアのデベロッパーGlitchが開発した「Idol Manager(アイドルマネージャー)」である。

これまで国内におけるアイドルプロデュースのゲームといえば、アイドルマスターを始めとした、いわゆる「アイドルを主軸に置いた育成シミュレーションゲーム」がメインだったように思う。あとはリズムゲームだろうか。
アイドルマネージャは、もちろんその要素もあるが、どちらかというとアイドルを取り巻く業界や、そこに関わる者たちの人間模様さえもしっかりと描き切っていると思う。私はどちらかというとそこに魅力を感じた。
4Gamersのインタビュー記事でGlitchが語ったこの内容を見ればその違いが一目瞭然ではないだろうか。

Rogozin氏:
「Idol Manager」は,プレイヤーがアイドルの幸せを気にせずに消耗品として扱い,利益だけを追求することを前提にしたゲームバランスにしています。アイドルの健康など気にせず金儲けの道具として扱うか,ちゃんとアイドルの健康と幸福度を守りながら事務所を運営しようと努力するか,プレイヤー自身がプレイスタイルを決めることもできます。もちろん,後者の方が難度は高いですが
※以下4Gamer記事より引用

主人公はプロデューサーなので、運営資金を稼ぐことが目的となる。そうしなければアイドルはもちろん、スタッフや事務所テナントの給料も払えなくなり、最終的には破産まで追い込まれてしまう。
私は6つのエンディングを見るまでプレイしたが、驚くほどにプレイヤーの自由に委ねられたゲームだ。アイドルたちと一切会話をしなくてもクリアは可能だ。プレイ中に起きる様々な問題(メンバー同士の恋愛や派閥、SNSによる炎上や芸能人との交際発覚、政治界隈のスキャンダル、社会問題への介入など)を対処するために、アイドルたちと会話をして解決を図るといったプレイも可能になっている。

個人的に素晴らしいと思ったのがメインストーリーだ。ぜひプレイしてもらいたいので詳しい内容は伏せるが、見事に時勢にマッチした内容になっていた。また、テキストがロープライズゲームによくあるとってつけたような内容ではなく、場合によっては哲学とも言えるような会話も繰り広げられ、思わず考えさせられるようなテキストも多くあった。最終的には、アイドルとは何か、とまで追求してくる。
また、マルチエンディングであることも高評価だった。アイドル事務所経営SLGかと思いきやアイドル業界ADVも兼ね備えており、わかりやすい分岐でありながら、達成条件はなかなか難しいという作りになっている。そのため、同時に複数の制作や企画をこなしながらアイドルたちが次々と起こす問題を対処し、スタッフ含めた人員スキルアップを行いつつ金勘定にも目を配る必要があるという、結果的に自ずとプロデューサー業務にのめり込んでいくという形になっていった(そして時間を忘れた......)。

ちなみにエンディングの中には「結婚」や「解散」もある。これが何を意味しているかはご想像の通りだ。現実にアイドルと結婚した有名プロデューサーがいるわけだが、その苦労を体験できるくらいの内容にはなっていると思う。交際までの道のりはまさに恋愛SLGな訳だが、立ちはだかる障壁はあまりにも大きい。どのような展開を迎えるかは、ぜひ自分の目で確かめてもらいたい。

私はアイドルにハマった経験は無いわけだが、無償の愛や憧れというものは、手が届かないからこそ心の中でいつまでも輝き続けるということを改めて思い知らされた。昨今であれば、仮想現実に存在しているアイドルもいる中で思うのは、人として存在していなくても熱狂や憧れを向ける対象となりうるということだ。また、それをビジネスの側面から、自分自身が叶えたい夢や憧れ、はたまた野心を持って生きている人たちがいる。「Idol Manager」そんなことを考えさせれたゲームだった。

サムネイル画像:©Active Gaming Media Inc. All Rights Reserved.

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