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【シティS2準優勝】ロストバレット(暁ロスト)

割引あり

はじめに

今回、シティリーグS2でトドロクツキ、かがやくリザードン入りのロストバレット(通称、暁ロスト)を使用し、準優勝という結果でした。既に存在していたアーキタイプのデッキリストではありますが、Twitterでリストを公開したところ、沢山のいいねなど思った以上に反響を頂いたので、記録を兼ねて記事として残すことにしました。

前半の主要カードの採用理由、不採用理由(一般的な暁ロストとの差分の解説)は無料とし、後半の主要対面の立ち回りを有料としておりますので、気になった方は是非ご購読ください。

(12/15 追記) この記事を読んで、実際にこのデッキを使った方が、シティリーグ優勝されました!おめでとうございます!!

(12/17 追記)準優勝の報告も頂きました!おめでとうございます!!

執筆者紹介
Scar Twitter@Scar3020 
2020年まではVGCプレイヤーとして活動していましたが、2021年からは殆どゲームはやっておらずTCGプレイヤーとして活動しています。2021年のJCSが初めての大型公式大会でした。
最近はVGCも復帰し、VGCとTCGの二刀流で再びWCS出場に向けてプレイしています。
<主な実績>
■VGC部門■
・世界大会出場4回(2014,2015,2016,2017)
・2015年世界大会6位
・2014年全国大会3位
・2023年非公式全国大会Best16
■TCG部門■
・PJCS2021予選25位、本戦Best64
・2021-2022シーズン 最終CSP375
・PJCS2022予選83位(8勝2敗オポ落ち)
・シティリーグ優勝1回、準優勝4回、Best8以上多数

なぜ暁ロストに着目したのか

もともとロスト系のデッキはウッウ、ヤミラミを中心としてアタッカーに据えることで、HPの低い非ルールのポケモンに対して非常に強いデッキです。一方で、リザードンexなどのHPの高いポケモンに対しては非常に厳しい戦いを強いられます。

ポケモンV環境であれば、カイリューVでポケモンVを倒したり、ライコウV、ドラピオンVを採用した相手の弱点をついて倒していくという戦法がありましたが、ポケモンex環境になりカイリューで倒しきれないポケモンが増えたこと、そもそも環境で最も多いリザードンの弱点である草タイプのアタッカーがいないこと、ジラーチの登場によってロストマインでの足りない打点の調整が難しくなったことで、環境で活躍するにはかなり厳しい評価をしていました。

そこで登場したのが、トドロクツキexで技くるいえぐるによって、問答無用で相手を気絶することが出来る点が、ロスト系のデッキの弱点を完璧に補えています。

トドロクツキが採用されたロストバレットは既にいくつかあったので、まずはそれらをベースに使用感を探りつつ、検討してみることにしました。

参考デッキ① 11/6のシティリーグ優勝デッキ
参考デッキ② 海外の大型大会LAICでTop8のデッキ

トドロクツキ入りロストの強みと弱み、それらを踏まえたゲームプランの設定

実際に、このタイプのデッキを回してみて気付いたことを書いていきます。

<強み>
・目論見通りトドロクツキはロストとマッチしており、ロストでは今まで出来なかったことが出来るようになっていて、勝ちやすい相手が増えた。特に1ターン遅れてもトドロクツキでひっくり返すことができるようになったのは大きい。
・ロストの特徴として、後攻1ターン目からウッウのおとぼけスピットで攻撃できるため、ゲームの主導権を握りやすい
かがやくリザードンを採用すると、中終盤の打点として強いだけでなく、トドロクツキと両方を準備することで、その後のハンド干渉にも強くなれる

<弱み>
・トドロクツキ入りに限らず、ロストバレット全般に言えることだが、とにかくアクロマに触れないとゲームにならない
・序盤はどうしても、バトル場のポケモンもしくはあなぬけのひもで相手が選択したポケモンを攻撃せざるを得ず、相手のシステムを崩すことが難しい
・デッキ性質上、1ターン遅れてしまうと追いつくのが難しく致命的
終盤のツツジやナンジャモからの復帰が難しい
・ジラーチの採用が増えたことで、ヤミラミでは勝ちきれない

ロストバレットのあるあるではありますが、中盤までは順調にゲームを進めていたものの、最後残りサイドが1~2枚のタイミングでツツジやナンジャモを打たれ、かつバトル場にHPの高いポケモンを用意されて、2~3枚の手札ではトドロクツキを起動することもできず負けるというパターンが散見されました。

従来であれば、ヤミラミさえ起動できればベンチのHPが低いポケモンを倒して勝てましたが、特にジラーチの採用によってそれも難しくなっており、そこは大きく方針を変える必要がありました。

ゲーム最終版の勝ち方として、2つのプランを検討しました。

  1. こちらのサイドが残り1~2の状態から、ボスの指令で相手のベンチのHPの低いポケモンを呼び出し、勝ち切る

  2. 残りサイド2の状態から、トドロクツキexを1ターンで育てて倒して勝つ

1.については、基本的に相手のベンチにジラーチがいることが多いので、ボスの指令で呼び出す対象がいないということはなく、また、ジラーチがいなければ、これまで通りヤミラミのロストマインで勝てるので問題ありません。環境的にはかなり理にかなった勝ち方だと言えます。

2.については、要求は多いものの相手の場のポケモンにHP110以下のポケモンがいない場合などは、この勝ち方を選択をせざるを得ないため、避けて通れない道だと言えます。

これらの考察を踏まえて、最終的に辿り着いたリストが今回使用した下記のリストです。サポート構成に特徴があるリストだと思います。上記の方針をどのように実現させたかは、採用カードと不採用カードの解説で触れます。

シティリーグで使用したデッキリスト

採用カードと不採用カード

ここでは一般的な暁ロストとの差分にのみ触れます。

採用カード

・クララ(2枚)
一般的なロストバレット(暁以外も含む)にも1~2枚は必ずと言っていいほど採用されているカードなので、特段触れることはないのですが、なぜ2枚必要なのかという点だけ残しておきます。
まず、一番使うのはミラーマッチです。ミラーマッチではウッウをひたすらアタッカーにするため、1度使ったウッウをひたすら回収しては再出勤させるのに、釣り竿の場合は+ネストボールが必要なのに対して、1枚で完結する点が優秀です。また、ジラーチを倒された場合にも必ず即復帰させる必要があり、ジラーチが即復帰できない場合は、それが負けに直結してしまうので2枚の採用としています。ロスト系デッキの性質上、どうしても序盤のはなえらびでロスト送りにせざるを得ないゲームもありますが、2枚採用しているので最悪1枚ロストしても問題ありません。
また、終盤にトドロクツキを再利用する際にも使います。トラッシュに、トドロクツキ+悪エネルギー1枚があると、手札にクララ+ミラージュゲートの2枚を揃えることで、トドロクツキを即起動できます。クララを使用しない場合は、手札にネストボール+悪エネルギー+ミラージュゲートを揃える必要があり、少しでも終盤の要求を下げれる点で評価しています。

・ボスの指令(2枚)
一般的な暁ロストであれば、1枚採用されていることが多いカードですが2枚採用しています。1枚と2枚では世界が変わりました。
ロスト系のデッキの場合、相手のベンチポケモンを呼び出す手段として、カウンターキャッチャーが採用されることも多く、実際にこのデッキでも2枚採用していますが、比較的主導権を握りやすいデッキのため、サイドの枚数がビハインドの状況自体がさほど多くありません。つまり、相手のベンチのポケモンを呼び出したいのにカウンターキャッチャーが使えない場面が多いのです。
しかも、自分のサイドが残り1枚のときは、当然カウンターキャッチャーが使えないので、相手のベンチのポケモンを倒して勝ちという勝ち方が出来ない点が非常にネックでした。
序盤、中盤で相手のシステムポケモンを倒しにいくときも非常に便利で、分かりやすいロストバレットへの対策として、しっかり盤面を揃えて終盤にツツジやナンジャモを絡めて、逆転をしにいくという戦術がメジャーですが、こちら側のサイドが先行している状態でもボスの指令で相手のベンチのシステムポケモンを倒しにいくことで、相手に逆転をさせにくくできます。
また、対ピジョットex型リザードンが最も顕著ですが、先攻2ターン目にアクロマの実験ではなく、ボスの指令で相手のベンチのポッポを倒すことで、相手の展開を一気に遅らせ、かつ逆転されにくい展開を作ることができます(この動きの詳細は、各対面ごとの戦い方のところで記載します)。

・ツツジ(2枚)
調整中はキバナなどを試した枠でしたが、最終的にツツジ2枚としました。キバナではない理由は、キバナの不採用理由の中で記載します。このデッキのツツジは、相手の手札に干渉するのではなく、自分が6枚引きなおすことを主目的として採用しています。
そもそも、ロスト系のデッキの特性上、序盤にアクロマを使ってしまうため、終盤にツツジを打たれたときに山札にそもそもアクロマが残ってない or あっても1枚と言ったシーンが殆どです。そうしたときに、手札を増やせるカードとして評価し採用しています。
またロストバレットの致命的な弱点として、手札にエネルギーを引き込み過ぎたときに何もできないという点があります。単純にたくさん引くだけであれば、博士の研究などに軍配が上がりますが、手札を含めて山札をシャッフルできる点もこのカードの採用理由のひとつです。ナンジャモでない理由は、前述の通り終盤に自分の手札を増やすことを最大の目的としてるため。
特に最後にトドロクツキを即起動する際には、クララ+ミラージュゲートを使うか、すごい釣り竿+ネストボール+ミラージュゲート+悪エネを揃える必要があり、要求が高いです。ただし、自分のサイドが先行している場合は、2ターンかけてこれらを準備すれば良いことが多く、ツツジを使う⇒不要カードを処理し、山札を圧縮かつ相手への手札干渉により次ターンにナンジャモ等を打たれにくくする⇒次のターントドロクツキを即起動といった流れが非常に多いです。

・ポケギア3.0(3枚)
このデッキは、アクロマ以外の3種のサポートを各2枚ずつ採用し、それらを的確に打ち分けることで、ゲームの主導権を握り続け、相手の手札干渉にも止まりづらくして勝つことをコンセプトとしているため、それらに少しでもアクセスしやすくするために3枚採用。
一般的なロストバレットであれば、1~2枚の採用が多いので特徴的な点だと思います。アクロマを引くためのポケギアであれば、2枚で十分だと思いますが、適格にツツジやボスの指令を引き込むために3枚としました。
3枚あることで、初動でアクロマに触れないこともかなり少ない点が非常に良いです。ここは体感ですが、常に毎ターン何かしらのサポートは打てることが多いです。

不採用カード

・ヤミラミ(2枚目)
一般的にな暁ロストだと、2枚採用されていることが多いカードですが、このデッキでは1枚しか採用していません。ジラーチの採用増によって、ヤミラミを動かしづらくなったこと、そもそも勝つためのメインプランにヤミラミを据えていないためです。
とは言え、ジラーチを採用していないデッキや、ロストスイーパーなどを絡めて早めにヤミラミが起動できた結果、相手がジラーチを置く前に動かせたりすると非常に強いカードなので1枚採用。HP230のたねポケモンが増えたので、HP230のポケモンに対しておとぼけスピット+ロストマインといった倒し方をする際にも使いますが、それはゲーム中に最大1回なので、やはり1枚で十分だと思います。

・かじばのいっぱつ
ウッウにつけることで、エネなしで280を出せるスーパーカードですが、280という打点の中途半端さリザードンで代替できるシーンが多いこと、ジラーチの存在によりヤミラミでの打点調整もしづらいことから、不要と判断しました。
まず、280という打点についてですが、リザードンで倒せない(HP260以上)かつ280以下で環境で見られるポケモンですが、ピジョットex、パルキアVSTAR、ギラティナVSTARが想定されます。ピジョットexはそもそも最後にピジョットを取って勝ちにするルートをメインプランとして組んでいない(詳細は後述)、パルキアVSTARは数が少ない、ギラティナに対しても280で倒すよりも別プラン(詳細は後述)した方が強いと判断してます。
ヤミラミが動ける環境であれば、例えばリザードンに50点(HP70ヒトカゲの余り)を当てて、280で回収といった動きもできるので強かったかもしれないですが、それもほぼ出来ない環境なので、不採用としています。

・キバナ
一時期2枚入れて使ってみた時期などもありましたが、非常に中途半端なカードという印象を受けました。特に終盤のナンジャモやツツジからの復帰には全く寄与しない点が、評価として低かったです。具体的には、終盤に欲しいサポートはボスの指令ですし、トドロクツキ即起動での勝ちを狙うルートにも手札2~3枚のところからキバナで任意の1枚を持ってきたところで、竿+ネスト+悪エネ+ミラゲが揃うわけじゃないので、意味がないです。
中盤で使うと強いシーンもありましたが、基本的に他のサポートで代替できるシーンがあまりに多かったので、不要と判断しました。

・ジェットエネルギー
これは最後60枚目として、ポケギアの3枚目とギリギリまで検討したカードです。9枚目の入れ替え札兼逃げエネとしての評価ができますが、あくまでリソース管理を楽にするカードであって、+αの恩恵を与えてくれるカードではないという判断をしました。
手貼り権を使うので、アタッカーに色指定の手貼りをしなければならないターンには使えないですし、入れ替えはもともとカート・紐を各4枚採用できているので、それで十分と判断してます。
採用できると強いカードであることには間違いないですが、メインのプランを確実に遂行する可能性をあげるポケギア3.0の3枚目の方を今回は高く評価しました。61枚目としてなら採用したいカードです。

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