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【PJCS予選25位】ビクティニブラッキーMM

はじめに

今回、ポケモンジャパンチャンピオンシップス2021カード部門で25位に入り、本戦の出場権を獲得することが出来たので、本大会の環境予想からどういう考えで構築の方針を決め、デッキを決定したかを記事として公開することにしました。今後シティリーグシーズン3も続くので、参考になれば、そして是非使って頂ければ幸いです。

これまでシティリーグでは一定の成績を残すことができてましたが、そもそもチャンピオンズリーグやJCSには参加したことがなかったので、構築選択にあたっては難しい要素が多かったですが、しっかりとメタを読み環境に最適なデッキ選択ができたかなと思っています。本戦では残念ながら、1戦目ジュナイパーデッキと当たり、負けてしまいましたが、悔いは残るもののマッチング運はどうしようもないので、仕方がない結果です。

このデッキは、私Scarの他に、CL横浜でBest32のよもぎ(@Sakuranenepoke)、CL愛知でBest8のシャベルさん(@shovel0731)も使い、よもぎが5勝3敗、シャベルさんが6勝3敗という結果だったので、3人トータルで見てもJCSという舞台を考慮すると高い結果を残せたのではないかと思います。

この記事では、本格的に競技ポケカを初めて僅か1年で、CSPランキング暫定3位、PJCS本戦出場といった結果を残すために、どういった考えでデッキを選び、構築し、どういった考えでプレイしているのかが少しでも垣間見えるように書いたつもりなので、是非最後まで読んで頂けると有難いです。

執筆者紹介
Scar Twitter@Scar3020 
2020年まではVGCプレイヤーとして活動していましたが、2021年からは殆どゲームはやっておらずTCGプレイヤーとして活動しています。CLにもこれまで抽選落ちで出たことがなかったので、今回のJCSが初の大型大会でした。
<過去の主な公式実績>
・世界大会出場4回(VGC部門)
・2015年世界大会6位 (VGC部門)
・2014年全国大会3位(VGC部門)
・2021シティリーグS1準優勝
・2021シティリーグS2準優勝
・2021シティリーグS3優勝
・PJCS2021予選25位、本戦Best64

環境考察とデッキ選択

まずは今大会の環境分析ですが、今大会は過去の大会でも類を見ないレベルで環境で戦えるデッキが多い大会だというのが最初の所感です。しかし、その中でも連撃ウーラオス、こくばバドレックス、ムゲンダイナの基本的なパワーが他と比較しても高く、環境の中心にあります。問題はこれらのデッキがいわゆる3すくみの関係にあることで、連撃ウーラオスはこくばバドレックスに弱く、こくばバドレックスはムゲンダイナに弱く、ムゲンダイナは連撃ウーラオスに弱いという関係にあります。ただし、その中でも悪ポケモンしか採用できないムゲンダイナと比較して、こくばバドレックスと連撃ウーラオスはデッキの改善により対策できる余地もあり、この3デッキの中でも特に使用率が高くなると想定しました。

環境の中心にあるのが上記の3デッキですが、これらの弱点である超悪闘を統合したデッキタイプが環境に存在します。最もメジャーなのが悪パーフェクションで、それ以外にも使われているデッキとしてレッドパーフェクションや連撃悪ニンフィアがあります。黒馬・白馬以降の環境では、レッドパーフェクションはあまり使われていなかったように思います。

あとはそれ以外のデッキとして、一撃ウーラオスや白馬バドレックス、未だに顕在の三神系統など、非Vデッキとしては連撃テンタクルやジュナイパーが環境にいます。これらのデッキは環境の中心にあるデッキと比較すると、単純なパワーでやや劣るというのが個人的な評価です。

図1

PJCS当日のデッキシェアの予想としては、環境の中心である連撃ウーラオス、こくばバドレックス、ムゲンダイナで4割以上、上位にいけばいくほどその割合も上がってくるのではないかと予想しました。

そうしたときに、まずPJCSにおいて最もポジションが良いように見えるのが、悪パーフェクションです。超・悪・闘の3色のアタッカーを採用でき、自然と環境デッキに対して色相性有利に戦えるので、勝率を出しやすいのではと考えました。しかしいざデッキを組んでみると、57枚程度がどうしても必須カードとして固まってしまい、改良の余地が少ない。すなわち、対策されやすいデッキであるという欠点が見えてきます。

しかし、超悪闘の3色混合デッキは、立ち位置として良いことは間違いなく、レッドパーフェクションや連撃悪ニンフィアを検討してみます。個人的な評価として、これらのデッキの整理したものが以下になります。

図2

個人的には連撃悪ニンフィアの評価はあまり高くありません。先攻時のドリームギフトが強く安定起動しやすいのは理解できますが、後攻1ターン目のマリィでそれが裏目になるリスクがあることや、後攻選択時の動きがどうしても気になります。

対して悪パーフェクションは強いことは間違いなく、本選進出が目標ならばこのデッキを選択するのもひとつでしたが、悪パーフェクションが強い&上位で採用率が増えそうなことは、ある程度のレベルではみな予想がついており、優勝が狙えるようなデッキでは完璧に対策をされるのではないかと予想し、本気で勝つのであれば選択するデッキではないという評価をしました。

そうして残ったのがレッドパーフェクションですが、やはり溶接工への依存度が高かったり、特性「パーフェクション」や「ダークシグナル」ありきでの運用となる以上は、頂への雪道や特性「シャドーボックス」のミミッキュなど比較的対策札も多く、対応が気になります。また、対こくばバドレックスにおいてミュウツー&ミュウGXを出さざるを得ない展開になったときに相性不利を取ってしまうため、必ずしも強いとは言えません。

そこでレッドパーフェクションを軸としながら、これらの欠点を改良できないかを考えた結果がビクティニの採用でした。シティリーグでも数は僅かながらビクティニ+ブラッキーの組み合わせで結果も残しており、溶接工への依存度が下がり、かつ特性に依存せず技を打てるアタッカーとして高く評価しました。特にCL愛知までの環境と比較すると、環境に存在するほとんどのデッキがポケモンVを中心としており、技「ダイビクトリー」の通りが非常に良いです。特にブラッキーVMAXの特性「ダークシグナル」+「ダイビクトリー」の組み合わせが非常に強力で、相手がポケモンVを主体とするデッキならば、簡単に相手の盤面を破壊できます。

一方でビクティニを採用した場合のデメリットとして挙げられるのが、炎色が強くなることによる対水タイプのデッキに対する色相性の悪さです。環境には、はくばバドレックスVMAXを主体とするデッキ、新弾のカードながらスイクンVを主体とするデッキがあり、これらにどう対抗するかが求められます。対策も検討するにはしたのですが、今回のPJCSにおいてこれらのデッキの使用率はかなり低いのではないか(いずれも5%未満と予想)と考え、当たる確率の低いデッキに対する対策をするよりも、当たる確率の高いデッキに対する勝率を高めることを優先しデッキを構築しました。

デッキを構築する上での基本的な考え方として、全てのデッキに勝てるデッキが作れるとは微塵も思っていません。そんなデッキがあれば皆使います。どのデッキへの対策を厚くして、どのデッキへの対策を諦めるかの選択が非常に大事だと思っています。例えば勝ち越しが目標であれば広く対策をしても良いかと思いますが、優勝を目指すのであればある程度の割り切りなしには難しいと思っています。なので、今回がまさにそうだったのですが、そのうえで絶対数の少ない不利マッチを引いた場合には、仕方なかった、今回は運がなかったと割り切ることにしています。

もちろんこの考え方が必ずしも正とは限らないと思いますが、少なくとも私はVGC時代からこの考え方で構築を組み、結果を残してきたつもりです。シティリーグで3連続で決勝に残れた際のデッキ選択も同様です。

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