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エシャレットのバルサミコキャラメリゼ

エシャロットと、エシャレット。
玉ねぎのような見た目のエシャロットと、青い葉っぱのついている細長いエシャレット。何だかちょっとややこしいね。そう、これにはちょっとワケがある。その秘密に想いを(少しばかり盛って)馳せながら、今日はエシャレットのバルサミコキャラメリゼを作って行きましょう。

エシャレットの奇妙な運命。
そもそもが、エシャロットはざっくり言うと玉ねぎの一種で、エシャレットは根らっきょう。そう、らっきょう。こんな風に全く違うものなのに、数奇な運命を辿る事になったのは、後者のエシャレットのほうでした。

その昔、青果卸業を営んでいるとある男が、

この野菜どうも”らっきょう”では売れないな、そうだ、お洒落な名前を付けてやろう、「エシャロット」はどうだ。

と、西洋への強い(多分)憧れから、なんと本家無視でエシャロットという名前をそっくりそのままらっきょうに名付けてしまいました。(「うん、エシャロット、なんてお洒落なんだ。」と言ったかは定かではないが)しかし、無理も悪気も(多分)ありません。当時は昭和2〜30年代、まだまだ西洋の文化なんて実在するであろうが、実感も薄く遠い海の向こうのお話、同じ名前を付けたとて、誰に咎められることもありません。

そうしてらっきょうはお洒落なエシャロットとしての新たな人生(?)も定着していきますが、時は流れ、通信技術や、物流網が発達し、ある日ついに本家のエシャロット様が日本にやってくる事になります。そこで、ついに鉢合わせした両者は、「あなた何者?」「そして私は何者?」と互いの存在に非常に戸惑いがあった事でしょう。当然、同じ名前の違う野菜に市場や食の現場もややこしかったはずでしょう。らっきょうの方も、らっきょうに戻るには時遅し、それはそれでややこしく、あえなくそっと「エシャット」として微妙に改名され今日に至ります。

らっきょうはらっきょうのままで十分良かったかもしれないのに、数奇な運命を辿ったエシャレット。私は、何かに憧れつつ、少しだけズレながら発展しちゃった。そんな食べものが心から愛しく感じるのです。(ナポリタンとか) その昔、らっきょうが憧れた「お洒落」。なら君を存分にお洒落に料理してあげる。バルサミコでキャラメリゼするよ、熱を通すとほっくりとなる君の良さを存分に引き出したから、きっと気に入ってもらえると思う。


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