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講師紹介#4市川ヴィヴェカ先生

こんにちは、Social Change Agency研修プログラムチームの永田です。

昨年度10月にスタートした弊法人の研修プログラム。
1月に行われる講義は、カナダ政府登録難民カウンセラー及びセラピストの市川ヴィヴェカ先生をお招きし「反抑圧的実践」というテーマでご講義いただきます。
※HPより抜粋
2021/12/17追記:本講義の講師は二木泉氏から市川ヴィヴェカ氏に変更になりました。

市川先生にお話しいただきたいと考えた理由

はじめにSocial Change Agency 代表の横山から、「反抑圧的実践」というテーマで市川先生にお話いただきたいと事務局が考えた理由をお伝えします。

本プログラムにおいて、反抑圧実践【Anti-oppressive(social work)practice.】を講義テーマのひとつとした理由は、それがまさにソーシャルワークのグローバル定義において示された「社会変革」を志向する実践の土台となる理論だからです。

2021年に日本のソーシャルワーカーに対して広くAOPの存在を知らしめる契機となった書籍【脱「いい子」のソーシャルワーク:反抑圧的な実践と理論】が刊行されました。本書の主著者であるトロント大学の坂本いづみ氏は、著書の刊行にあたり寄せた文章で、AOPの目標を以下のよう記しています。

AOPの大きな目標は、社会のなかでの力の不均衡を認識し、その権力構造、そしてその結果として起きている抑圧を是正するために、変革の促進に取り組むことだ(Dalrymple & Burke 1995)。具体的には、生活に困っていたり、生きにくさを経験している人たちの状況を、まず当事者の立場から理解し、問題を抑圧という視点で構造的に分析することで、複数のレベルから解決に向けてアプローチする、というソーシャルワーク実践理論と実践法である。また、同じ志を持つ人たちや団体と一緒に問題解決に取り組んでいき、直接介入のほか、アドボカシーや、ソーシャル・アクション、政策改善(への働きかけ)といった行動を取ることも含まれる。エンパワメント理論・実践とも重なる部分が多い。

「直接介入のほか、アドボカシーや、ソーシャル・アクション、政策改善(への働きかけ)といった行動の前提となる、「生活に困っていたり、生きにくさを経験している人たちの状況を、まず当事者の立場から理解し、問題を抑圧という視点で構造的に分析する」点に関連して、坂本氏は、以下のように述べています。

ひとつの抑圧のかたちのみに焦点を当てて実践をするのではなく、いろいろな抑圧の連鎖、交差性(intersectionality=重り合ったアイデンティティ;複合差別に近い概念)に目を配り、問題の分析に役立てること

ソーシャルワーカー自身が自分の立ち位置を多方向から捉えること。また、クライエントやコミュニティとかかわるうえで浮かび上がってくる自分の支配的な社会属性に関しては、自分がどんなふうに問題の構築自体にかかわってしまっているのかを考え、必要であれば、行動や考えを修正する努力をすること。

さまざまな介入の理論を用いて、同じ志を持つ人たちや団体と一緒に問題解決に取り組んでいくプロセスにおいて、問題を抑圧という視点で構造的に分析する際、抑圧の連鎖や交差性に目を配ること、そしてソーシャルワーカー自身がそれらにどのように関与しているのかについて着目すること、そして、必要あらば、自身の行動や考えを修正するように努めようとすること。

上記を日々の実践に引きつけて考える材料として、市川先生の「反抑圧的実践」の講義をぜひ役立てていただきたいと考えております。

ぜひ、ご参加をお待ちしています。

事務局からのお知らせ

市川先生の「反抑圧的実践」の講義の概要はこちらです。
日時: 2022/1/16(日)10:00-12:00
講師:カナダ政府登録難民カウンセラー及びセラピスト 市川ヴィヴェカ氏
テーマ:反抑圧的実践

前日20時まで申し込みを受け付けています。単発参加も可能です。

みなさまのご参加、心よりお待ちしております!