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「お金の防災」を考える⑤〜被災後のお金のトラブル

毎年のように地震や豪雨による自然災害が、日本各地で発生しています。家具の転倒防止や非常食の備蓄など、モノの対策をしている方は多いかもしれません。けれど、被災して命が助かったあと、必要になるものは「お金」です!

悪徳商法にご用心!

前回、被災後には生活を再建するために国や自治体から支援金が支給されることについて紹介しました。

大きな災害に直面するという経験は、そう何度もあることではないので、さまざまな申請や受け取れるお金について詳しい人は多くないでしょう。そんな隙を狙ってお金をだまし取ったり、必要ない契約を結ばせたりといったトラブルが、各地の災害後に報告されています。

例えば、このような事例がありました。

 被災後、家にコンサルタントと名乗る人が突然きて、「火災保険を使って無料で修理できます」と火災保険金の請求代行と修理業者の手配を請け負ってくれたが、後日高額の請求が届いた。

 屋根の無料点検を依頼して調査をした後、修理が必要だと言われ高額な契約を結ばされた。

 「保険の請求は難しい」と、保険金の請求代行手数料として保険金の3〜4割を請求された。

スキャンした書類

など、ほんの一例ですが、このようなトラブルが相次いでいます。自分で判断することが難しい場合は、その場で契約しないことが基本です。ただし、相手の押しに負けて契約してしまったとしてもクーリング・オフ制度によって、書面の受け取りから8日以内なら契約解除が可能です。

被災者に対してだけではなく、市民から義援金をだましとる被害も報告されています。義援金は日本赤十字社や中央共同募金、NHKなど、確かな団体を通して送るようにしましょう。

まずは保険会社に連絡を

無料修理や請求代行などをかたる電話や訪問があったら、まずは保険を契約している代理店や保険会社に連絡をしましょう。保険金の請求は難しいことはありませんし、保険会社に連絡をとれば正しい請求方法を教えてくれます。

国土交通大臣指定の相談窓口「住まいるダイヤル」では、住宅のトラブルや契約内容の相談などをすることができます。少しでも不審に思ったら、だれかに相談することが大切です。近所の高齢者世帯や自分の親・親戚の家も気にかけてあげてください。

法テラス(日本司法支援センター)や弁護士会では、被災者向けに法律相談を無料で行っています。お金が絡むトラブルは専門の知識が必要なこともあるので、早めに相談することをおすすめします。

弁護士会では「被災者支援チェックリスト」(関東弁護士会連合会)を作成したり、「東日本大震災無料法律相談事例集」(日本弁護士連合会)を公表したりして、これまでの災害で経験したことを今後につなげる活動もしています。

法律相談はハードルが高いと思う人もいるかもしれません。しかし、知識や情報が不足していると適切な判断をすることができません。少しでも気になることがあれば専門家へ相談しましょう。

もちろん、災害に便乗した悪徳商法をはたらくほうが悪いのですが、私たち一人一人が正しい知識を身につけることが、トラブルや詐欺にあわないようにする防御策になります。


次回は「緊急資金の準備」について解説します。緊急資金は災害だけではなく、さまざまな不測の事態に備えるためのお金です。資金の貯蓄方法のほかに、緊急時の支援制度も紹介します。

「お金の防災」について、もっと知りたい!という方は、小学館クリエイティブ発行の『どんな災害でもお金とくらしを守る』をチェックしてみてください! テレビでも活躍中のファイナンシャルプランナー・清水 香先生が、地震保険や被災後にもらえるお金のことなど、わかりやすく解説しています!

編集担当:市村 珠里

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