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【goodな仲間 #10】あらとぅ

今回のgoodな仲間は、あらとぅさんです!
渋谷区で大学生を主体にスローファッションという言葉を広げることを目的として様々な活動を行うあらとぅについてご紹介します。
団体の活動や、渋谷に対するご意見を、同団体設立者の坂井雪音さんに伺いました!


あらとぅについて

ゆきねさん:あらとぅは「スローファッション」という言葉を広げる活動をしている団体です。
主な活動は古着シェアイベントの開催で、そのイベント内のコンテンツを通してスローファッションを広げています。コンテンツは学生がやりたいことを行なっており、大量にある古着から選んでコーデ対決をするといったことなどをしています。この活動の合間に他のイベントに出させていただくということもあります。マルイのポップアップイベントやアースデイ東京という大きなイベントに出展したり、こういう取材やSNSだったりと色々なことを通して「スローファッション」という言葉を広げています。
あとは、学生が一生懸命になれるフィールドはあまりないなと感じているので、大学生が一生懸命になれるようなフィールドづくりも出来たらいいなと思っています。

基本的には大学生主体で活動していますが、年に4回行っている古着シェアイベントの運営チームは、あらとぅのメンバーだけでなく誰でも入れるという門戸の広いものにしているので、あらとぅのメンバーではない方も一緒に2か月に1回作り上げています。
イベントの情報はInstagramやTwitter(現:X)、TikTokで流していますが、口伝で「古着シェアイベント行こうよ」と誘って連れてきてくれて、そこから参加してくださっている方が次の運営に入ってといったことが多いイメージです。2か月であれば頑張れそうということで高校生が入ってきてくれることもあります。自分の高校で発表したり古着シェアイベントの広告をしたりとかしているようで、それも1つのチャレンジとして良いなと思います。大学生も他の団体に入っているけれどもこの2か月は古着シェアイベントの運営チームも一緒に頑張るといった方がいます。

やはり学生だけだとノウハウ、お金、情報、ものといったところが足りなくなることがありますが、そこはつながりで助けていただいています。例えば、あらとぅには古着が200キロか300キロ程あって、その倉庫の場所の確保はとても大変なんですよね。都内だと(値段が)高いので、いかにお金をかけずにやるのかということで協力いただいていたのが高校だったり、ある企業の建物内の倉庫が空いてるからそこを貸していただいたり、無償で貸していただいて置いていることもあります。あとは、青山学院大学のシビックエンゲージメントセンターの「ボラサポ」というサポート制度は指導と補助金が出るので、その申請をして助けていただくこともあります。あとは色々面白いところがあって、企業さんだったり、経営者の方だったり、寄付の仕組みを上手く作っているところもあります。そういうところでソーシャルなつながりをどんどん広げてますね。本当に1企業みたいな感じがします。

スローファッションとは

ゆきねさん:スローファッションという言葉はファストファッションの逆をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。売る側は速いところであれば1週間で新しいラインナップになるというサイクルで、着る側も1度買うと2か月(1シーズン)着て次のものにといったことがファストファッションで、1回買ったものを長く着る、長く着られるようなデザインのものを買うということがスローファッションの考え方です。

サステナブルファッションやエシカルファッションといった、生地が環境に良い高い洋服を買うこととは異なっています。やはりそのような服は普通の作り方より工程が多く値段が張るので、「それって私たちの財布が持続可能じゃないよね」「サステナブルじゃないよね」といったことがあります。結局それは長く続けられずあまり意味がないので、スローファッションという考え方であれば無理せず出来る、例えば皆が10枚のうち1枚を長く着るものに変えると日本だけで1億2千枚変わるんですよ。その変化によって社会を変えられるということで、スローファッションという言葉を啓発していこうと思っています。

あらとぅさんのgood history

設立の経緯

ゆきねさん:設立者が私と高校の時の友だちでお互い洋服が好きだったので、アパレル産業が抱えている問題を皆に知ってもらい私たちが大好きな産業がなくならないようなアクションを少しずつ起こそうというところから始まりました。そこからメンバーが入れ替わりながら、どういうやり方だったら「スローファッションを同世代の20歳前後の人にかっこよくおしゃれに楽しく広める」というミッションを達成出来るかを色々考えながら行なっていました。

もともとSDGsの啓発活動を高校の時に行なっていました。さらに、講演会などを通してSDGsが急に広がったので、啓発することは大事だなと思いました。ヨーロッパなどに比べてまだ日本は環境などに対する意識が低いので、まず知ってもらうという段階で全然良いと思っています。ですが、啓発活動は儲からないこともあり大人がやらないので、あえて私たち学生がやるべきなのではないか、学生の方は安い洋服を沢山買うこともあり、大人と同じぐらいの額を使っていても物質的には多い量を買っていることで地球に負荷をかけているのではないかと思いました。そこから、ファッションという切り口から社会問題に興味を持ち、意識しながら生活する中で、意識付いた人が社会に出て企業の1つとして意見を言うことで、徐々に社会が変わるのではないかと思い、この団体を通してスローファッションという言葉が広まっていけばいいなということが徐々に固まっていったという感じですね。

実際にあらとぅを始めたのは大学2年の夏でした。色々なイベントで古着を回収しながら、回収ボックスに古着を持ってきてくださった方などにアパレル産業の現状を説明していました。例えば、代々木公園で毎年行われているアースデイ東京や超・文化祭という企業も学生も出展出来る文化祭に出展したり、マルイのポップアップイベントだったりということをしていました。基本的に出れる活動があったのですぐ活動していました。

CCFとの出会い

あらとぅのアイコン的なものとして、CCPフラワーという洋服の繊維で作るペーパーフラワーがあります。その原料となる紙を作るCCF(Circular Cotton Factory)という社団法人に相談させていただいて活動していました。CCFは高校の時の先生に紹介していただきました。CCFが発足して世に出る会見の際に、ちょうど私たちが同じことをしようとしていたタイミングが重なり、CCFに入っていたわけではありませんでしたが、CCFの中の活動の1つとして会見に出させていただきました。記者の方もたくさんいる中、学生として喋らせていただいたこともあり、本腰入れて活動を始めようと思ったこともあらとぅを立ち上げるきっかけの1つです。CCFが出しているCCPフラワーをあらとぅでも作らせてもらえるということになってからは、アイコニック的にCCPフラワーを販売させていただいています。

現在のあらとぅ

あらとぅは設立から2年半が経ったところですが、組織としてとても成長したと思います。初めはやはり私が代表ということもあって、私からのトップダウンで動いているところがありましたが、少しずつ組織のコミュニケーションの仕方を整え、チームもいくつか作っていきました。今はオーガナイズ出来て安定したので、少しずつ進化しようということで、新しいことを始めています。

自分たちのアイデアには限度があったので、経営者の方やサークルを立ち上げた経験がある方に意見を聞いていました。企業の社長さんといった長期インターンなどを通して出会った方々に意見を聞くことが多くあり、そこで色々教えてもらいました。サークルに入ってきてくれた子も、それぞれがバイトで得た経験なども持ち寄り、こういう順番でミーティングすると良いと思いますということがあれば、それに変えてみるということもありました。最後の方は、皆で徐々に成長させていったという感じですね。

1番最後の代替え式はやはり達成感を感じて嬉しかったですね。代替えをした時に、これだけ集まってくれる子がいて、これだけ自分の役割を全うしてくれる子がいて、責任感をもちながら続けようとしてくれている子がこれだけいるということで、そういう仕組みを組織化できたと実感しました。初めは適当に来た子でも、同じ組織の中で同じ方向に向かってということをこのフィールドでやろうと決めてくれて、帰属意識を感じてあらとぅをもっとこうしたいとか考えながらここにいてくれることはやはり嬉しいです。本当にいつ1人になってもおかしくないみたいな組織構造だったので、苦労させた人が沢山いたなと今では後悔することもありますが。

あらとぅとしては、イベントに来てくれた方が「スローファッションって言葉知らなかった。」「そんな言葉があるんだ。気にしてみます。」みたいに言ってくれたり、そこから楽しそうだからと運営チームに入ってくれたりすることが嬉しかったです。堅くなりすぎていないことがとても嬉しいんですよ。あらとぅのミッションが「スローファッションを同世代の20歳前後の人にかっこよくおしゃれに楽しく広める」ということで、ポジティブな感情でいきたいんですよ。「あースローファッションってそういうことなんですね」ぐらいの軽い感覚で知ってくれる方がいることはとても嬉しいし、そこからその人の行動が変わって良いものを1着買ってそれを長く着るようになればその人のお財布も良くなるわけで。そうして知ってもらえることで、未来の地球を考え、自分たちが楽しむことも忘れないという、そのバランスが上手く取れるような思考力を持った人が増えることはこの活動をしていて良かったと思います。

今後の目標

3代目まで続くと先輩の層が2重になり、組織として続いていきやすいのかなと思っているので、3代目を見据えて引き継いでいける組織を作ろうとしています。先輩にも聞きやすいし、横のつながりも増えていくとやりやすいのかなということで、3代目までしっかり土壌を固めて永遠に続いていけるサークルになれば良いなと思います。今は3代目を見据えて2代目が頑張っています。2代目は大きいファッションショーを作る側になってみるなど新しいことを色々行っているみたいです。

あらとぅへの想い

あらとぅ自体はスローファッションを広めている団体ですが、同時に、社会課題について興味を持つきっかけになり得ると思っています。ファッションという入りやすい入り口で間口を広げられると思っていて、こういう社会課題に興味を持つきっかけとなるような団体はいくつあっても足りないと思います。この団体を通って社会に出ていく人が増え、そういう社会課題解決の思考を持つ人が社会の1部として社会を作っていくと良いなと思っているので、この団体が継続して存在し続けることに注力したいというのが私の想いです。

また、学生の時に何かに一生懸命になるっていうのはとても価値のあることだと思っています。何かに一生懸命になると辛いこともありますが、一生懸命にならないと辛いこともないし、辛いことがないと成長することもなかなか難しいと思うので、それをできる環境や空間はとても貴重です。さらに、その一生懸命になる対象が社会課題解決に貢献していたら一石二鳥どころではなく一石百鳥ぐらいだと思うので、そこのかけ合わせはすごく価値のあるものではないかなというように思っています。自分が好きで夢中になっているものが誰かのためになっている、自分も楽しいし誰かも幸せ、自分も楽しいし環境もきれいとかは問答無用で良いことですよね。

あらとぅが考える"goodなshibuya"

渋谷のgoodなところ

とにかく情報と人が集まるところが良かったです。集まろうとなった時に、渋谷は集まりやすいということがまず1つ。遠いと人が集まらない、人が集まらないと何も始まらないので、集まりやすいことは本当に大きいです。あとは(渋谷に)来た時に聞く話、触れる話題、何事も速度が1番速い気がします。地方の子と話していて「時間の速さが違うと感じる」と言われたこともありました。情報と人がたくさん集まる最先端の場所だということは活動していくうえでとても良かったです。

それこそ、こういう社会課題解決をする時の困り事の解決までがとても速いです。例えば、今度こういうイベントに出たいけれど出展費が足りないからお金を集めたいというところまでいきます。こうした時にどうお金を集めると良いか調べると、その方法となる場所にすぐ行けたり、関係している人にすぐ会えたりします。実際に会って話を聞いているうちに「やってみれば」となると、事が進んでいきます。場所が違えばスピードも違うので、熱量が冷めるといった弊害があると思います。

イベントに来て下さる方も沢山います。私たちがやっているのは社会課題解決という割とコアでフィールドが偏っているところなので、母数が多い分それに対して応援してくれる方や興味のある方が他の場所に比べて多いのかなと思います。応援してくれる方が多かったので続けやすかったかもしれないです。

渋谷がもっとgoodになっていくために

渋谷のデメリットは座る場所がないとかですかね。でも最近沢山できましたよね。
学生にとっては、お金がかからず集まれる場所が少ないと思います。どうしてもお金がかかってしまい大変なので、青山学院大学が日曜以外は解放されていたのは良かったです。ですが、あらとぅはミーティングが日曜なので、毎回場所をレンタルしてミーティングしていました。ミーティングするだけで毎回お金がいるということが大きくて、お金の問題で来れなくなった子もいました。やはりそれは辛かったです。渋谷はどうしても商業向け街なので、学生活動に寛容かと言われたら違うのではないかなと思います。学生はミーティングが大事になります。四谷では無料で学生が使えるラウンジが解放されていたり、大塚には無料のコワーキングサービスなど皆でしゃべれる空間があったりしますが、渋谷にはあまりないですね。

【お知らせ】

●2/18 古着シェアイベント開催!

古着シェアイベント
2月18日(日)
詳細はあらとぅのSNSにて!

●常時新メンバー募集中!

日時:月2でミーティング
   チームごとに柔軟にミーティング
場所:主に渋谷

インカレなので他大学の方も大歓迎です!

▶︎参加はInstagramのDMから!

【さいごに】

どのような服を買い、着るのかは個人の自由かもしれません。ですが、日本においてファッション業界における衣服の大量廃棄は現在も問題視されています。

あらとぅさんは、「スローファッション」という言葉をかっこよくおしゃれに楽しく広げていくことで、そうした問題に対する私たち1人1人のファッションや環境への意識が変わっていくように活動されています。また、取材を通してあらとぅさんの強い想いを知ることができました。

誰もが必要とする衣食住の「衣」。そうしたものも、私たちの意識1つで社会問題の解決につながっていきます。
ファッションという私たちにとって身近なものを入り口に、社会や環境について考えてみませんか。

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