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「まちの未来をみんなでつくるには?」イベントレポート(政治学者・宇野重規先生編)

「まちの未来をみんなでつくるには?」をテーマに、シブヤ大学とオンラインイベントを開催しました。『民主主義とは何か』の著者であり政治学者の宇野重規先生、直接参加型民主主義のためのデジタルプラットフォーム「Decidim」を運営する一般社団法人コード・フォー・ジャパンの東健二郎さんをゲストにお招きしました。今回は宇野先生によるお話をご紹介!

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生き方や働き方が多様になる新しい時代だからこそ、ひとりひとりの声を聞いて、みんなで新しいまちをつくりたい。そんな思いから、誰もが渋谷のまちづくりに参加できるオンラインサービス「shibuya good pass」はスタートしました。

みんなで困りごとやアイデアを持ち寄る。より良い地域の未来に向けて、みんなで議論する。私たちはそんな「民主的」なまちづくりのあり方を目指していますが、そもそも「民主主義」ってなんだろう?ということで、『民主主義とは何か』の著者であり政治学者の宇野重規先生にお話を伺いました。

「ふつうの人々が主人公の社会」
宇野先生によると「民主主義」という言葉が生まれたのは2500年前の古代ギリシャ。「民衆・大衆」と「権力・支配」を意味する二つの言葉の組み合わせで、「ふつうの人々が主人公の社会」を理想とする状態であると宇野先生は言います。

「哲学者のジョン・デューイは、“民主的社会とは、すべての個人に実験を許す社会”と言っています。正解が分からない時代において、これまで通りの“知性”は絶対的なものではありません。しかし、みんなの知を持ち寄り、つなげ、より良くしていくことはできる。

“こうしたらいいのではないか?”と一般的な市民が自身の課題意識やアイデアをもとに”実験”することは、社会全体をより良く改善することにつながるはず。そんな人々の多様なチャレンジを許し、励まし合う社会が民主主義社会として理想の姿なのではないでしょうか

ひとりひとりが自由にアイデアを発言し、試すことができる。そんな実験を持ち寄り、みんなで助け合い、さらに拡大していく。民主主義とは、個人と個人をつなぎ、みんなが社会に当事者意識を持つプロセスであり、環境づくりとも言えるのかもしれません。

「自分ごと」として社会づくりに関わる
みんなで集まり、みんなで議論をして物事を決める直接民主制で政治が行われていた古代ギリシャには、様々な人が行政職をランダムに経験する仕組みがあったそう。つまり、誰もが「いつか自分も社会の仕組みやルールに関する意思決定を経験するのではないか?」という意識を持って暮らしていたということ。

「”ここは自分の社会だ”と感じながら暮らす人の多い社会と、どうせ自分の声は届かないと諦めながら暮らす人の多い社会、どちらが豊かでしょうか。自分にとって本当に大切なことがどうにもならない。これほど人間の尊厳を傷つけるものはありません。居場所なんてどこにもない、責任を持ってコミットする場はどこにもない状態よりも、少しでも多くの人が参加と責任の意識を持ちながら社会に関わるのがいい社会ではないでしょうか?」と宇野先生は問いかけます。

さらに、「仮に自分の意に反した決定が行われたとしても、意思決定の場に参加していたり、透明性があり目に見える形で決定されることで責任が持てる」という宇野先生の言葉は、多様な価値観の人が参加する地域づくりの場においてもとても大切な視点に感じます。

shibuya good passでも、多様なチャレンジを促し、互いに励まし合う社会に向けた様々な実験を行なっています。

渋谷のまちづくりに関する様々なテーマやお題に対する思いを誰でも投稿できるオンラインディスカッションのためのプラットフォーム「good talk」。ササハタハツエリアの地域の皆さんとの共同プロジェクト。ダンサーFISHBOYさんとの渋谷の街を舞台にした実験イベント。

ひとりひとりの思いを発信する場づくりから、様々なプレイヤーのみなさんとの「実験」まで、今後もひとりひとりの思いに耳を澄ましていきたいと改めて感じた時間となりました。

まずは普段からもやもやと感じていること、いつかやってみたいと思っていたこと、是非実現したいアイデアまで、ぜひ「good talk」に投稿してみてくださいね!

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