見出し画像

第2章 微生物叢と妊娠合併症5

SBSK自然分娩推進協会では、ご希望の方にメルマガを配信しています。
今回は、メルマガ57号(2022.08.01)の配信内容です。

SECTION⒈ Pregnancy and fetal life
Chapter 2. The microbiome and pregnancy complications

前回はこちら↓↓↓

8. 細菌性膣症

すでに述べた様に、膣や子宮頸部の細菌は妊娠時の感染に関連しているが、これらの細菌はどこまで正常なのか異常なのか、その境界は曖昧だ。

健康な膣粘膜は、主にラクトバチルス属によって、乳酸を産生し、それによって病原性増殖を許さない低いpHを作り出す。しかし妊婦の27%はラクトバチルスに支配されておらず、この場合高いレベルで嫌気性菌が見られる。

もっとも、バクテロイデス属、グループB連鎖球菌(GBS)、ブドウ球菌、大腸菌、クレブシエラなどの感染性病原体のほとんどは、膣内微生物叢にも見出されるので、量が少なければ正常な膣内微生物叢の一部とみなしてよいようだ。

細菌性膣炎(以下BV)は、乳白色の帯下、膣液pH>4.5、膣分泌物への10%水酸化カリウムの添加による臭気の変化、および膣塗抹標本の顕微鏡検査によって見られる細菌で覆われた上皮細胞によって特徴付けられる。

BVは女性の20%〜50%に発生し早産や流産を含む有害なリスクの増加と関連している。BVでは、乳酸が減少し細菌の種類が増加する。しかし、BV女性の大半(最大85%)が無症状であるため、膣炎は一般的に認識されない。

BVの発症率には人種差があり、黒人女性は白人よりもBVと診断されることが多い。これは、黒人女性が乳酸菌に支配されていない細菌叢をより頻繁に持っているためである。

BVに罹患している女性は、グループB連鎖球菌(GBS)が増殖する可能性が3倍高いので注意。同様に、病原菌であるウレアプラズマ. urealyticumおよびマイコプラズマ. hominisは、健康な女性のわずか5.9%および8.9%で検出されたが、膣内細菌叢の異常(種類と数)を有する患者ではそれぞれ13.5%および26.8%に増加した。

このように膣炎は、妊娠転帰に関連する有害な細菌の増殖リスクと関連している。

問題を複雑にしているのは、妊娠が膣内微生物叢を変えるという事実。例えば早産の予防のために妊娠中に摂取された膣プロゲステロンは、GBSの低下と関連している。さらに、妊娠はウレアプラズマとマイコプラズマの有病率を低下させる。

まるで妊娠ホルモンが、有害な妊娠リスクを最小限に抑えるように設定されているかのよううだ。

興味深いことに、膣内微生物叢はまた、胎盤/胎児の感染とは無関係に妊娠合併症と関連している。GDM患者は、非GDM患者と比較して、感染性病原体が増加した。即ちバクテロイデス属、ヴェイロネラ属、クレブシエラ属、エシェリヒア・赤痢属、エンテロコッカス属およびエンテロバクター属の存在が増加し、Varibaculum属、Prevotella属、ポルフィロモナス属、およびエザキエラ属の存在が減少した。

しかしBVと子癇前症とは無関係であった。

続きはこちら↓↓↓


こちらもどうぞ。
SBSK自然分娩推進協会webサイト
メルマガ登録(メールアドレスだけで登録できます)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?