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厚生労働省に要望書を届けてきました〔嘱託医問題〕

SBSK自然分娩推進協会では、ご希望の方にメルマガを配信しています。
今回は、メルマガ46号(2022.04.24)の配信内容です。

前回の記事でお知らせしていましたように「厚労大臣に再通知のお願い」に行ってきましたので詳しくお話しいたします。

「助産所、嘱託医師等並びに地域の病院及び診療所の間における連携についての要望書」

4月15日からの旭川説明行脚に続き、4月22日は厚生労働省の医政局地域医療計画課長「助産所、嘱託医師等並びに地域の病院及び診療所の間における連携についての要望書」を届け、説明とお願いをしてきました。

井上弁護士からの根回しもあり、課長さんは内容をよくご理解の上「早い時期に再発出したい」とお話しくださいました。

厚生労働省に「助産所、嘱託医師等並びに地域の病院及び診療所の間における連携についての要望書」を届けました。
〔左側 手前左から〕市川、松岡、井上、飛騨市役所のお二人、荒堀
〔右側 奥から〕鷲見課長、前中専門官(厚生労働省)

以下に詳細をお伝えします。

要望書の内容

助産所、嘱託医師等並びに地域の病院及び診療所の間における連携についての要望書・署名用紙
要望書および署名(画像クリックでPDFが開きます)

1)宛先

後藤 茂之 厚生労働大臣

2)要望元

「助産所・嘱託医師等並びに地域の病院及び診療所の間における連携のさらなる充実を目指す有志」として飛騨市と自然分娩推進協会。
署名用紙は1枚がSBSKの荒堀他3名の署名、もう1枚が岐阜県飛騨市の都竹(つづく)市長です。なぜ飛騨市長さんか?については近いうちに別便で説明しますのでご期待下さい。

3)主な要望内容

嘱託医療機関等に関するこれまでの厚労省通知と同一内容の通知を再度発出していただきたいこと、さらにその通知を都道府県の周産期協議会にも届けて頂きたいこと、です。

4)再通知の必要性

特に強調したのは次の2点です。

  1. 助産所は嘱託医を定めなければなりませんが、これは「実際の分娩時等の異常の際にも、必ず嘱託医等を経由しなければならない趣旨ではなく、母子の安全を第一義に、適宜適切な病院又は診療所による対応がなされるべき」との通知があるにもかかわらず、「嘱託医が搬送を判断しなければならない」といったローカル・ルールが現存し、これが緊急の搬送を妨げて助産所にも嘱託医師にも心的・時間的負担を負わせ、結果として母子にリスクが及んでいるため。

  2. また「嘱託を受けたことのみをもって嘱託医師等が新たな義務を負うことはないことにご留意頂きたい」との通知が知られていないため、責任感の強い多くの医師は嘱託を受けることを躊躇している現状があるため。

以上の具体例として旭川医大と岐阜県の実例をお伝えしました。

具体的には旭川医大の学長・病院長さんは緊急時の搬送に嘱託医の関与なく受けてよいことをご理解頂き、早速救命救急医療機関として受ける方向で検討に入ることを明言して頂いたこと、また岐阜県周産期医療協議会は妊婦救急搬送フローに「助産所の場合は嘱託医が判断する」としていたところを委員からの指摘で、「嘱託医を助産師と読み替える」 という単純かつ高等なテクニックで訂正したことです。(*1)

(*1) 詳しくは井上弁護士の寄稿文『Vol.22069 頑張れ助産院4―岐阜県周産期医療協議会でのローカル・ルールの改善策』(医療ガバナンス学会配信)を参照。

つまり通知が行きわたるだけで事態が改善された実例をお示しし、再々通知の必要性をお伝えしたわけです。また産婦人科医師の働き方改革への対応としても助産師・助産所の活用は大いに有効であることをお伝えしました。

5)他に要望書に添えた資料

  • 緊急搬送をスムーズに行うために、「日頃より助産所、嘱託医師等並びに地域の病院及び診療所間で妊産婦に関する情報共有を図るとともに、緊急時の対応を事前に協議し緊密な連携体制に努められたい」との通知。

  • 他に「平成29年6/6付けの参議院厚生労働委員会での付帯決議」も添えました。これは「妊産婦の異常時の対応については...助産師に過度の負担をかけることなく、医療機関との連携及び協力が行われるよう、適切な支援を行うこと、また周産期医療協議会に助産師を参加させるよう都道府県に周知を図るとともに...助産所も含めた周産期医療ネットワークの構築を図ること」、という国会議員の圧倒的多数での決議内容です。

課長さんの反応

「嘱託医問題に関する通知はこれまでも出しているので再通知については特段問題はない。旭川市の助産所消滅危機や岐阜県の実例を踏まえしっかり対応していきたい。また、産婦人科医師の減少する中で働き方を改善するという難題に直面しており、頂いたご意見を含めよく検討していきたい」
というものでした。
文字にすると官僚的な返答に見えるかもしれませんが、実に友好的にお話できたことをお伝えしておきます(おそらく橋本岳元厚労副大臣のバックアップは非常に大きいとは思いますが、SBSKの内容が必要にして的を得ていることがその最大の原因だろうことは間違いありません)。

今後の流れ

数か月以内に(恐らく1か月程度)3度目の通知が都道府県に発出されると思います。今後のことについてはまずは全国の助産師さんに、今回の流れや添付資料の内容をよく理解して頂くことが必要だと思います。

その上で、今後助産所問題を扱うであろう助産師グループの幹部の皆さん、特に助産師会や看護協会助産師部会の皆さんには、各地域でのローカル・ルールの解消に取り組んで頂きたいと思います。

SBSKとしても必要とあらば今回の流れから学んだスキームをお伝えしていきたいと思います。

なお、今回は準備の都合上、署名に加わって頂けませんでしたが、今後ご協力いただける自治体・団体もあります。
人口減少の時代の地方で、自然で望ましいお産を護るためには、多くの団体、多くの人々の連携・協力が必要となりますので、皆さんで力を合わせられるよう、よろしくお願い致します。

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