飲食物デザインの難しさ
思わぬ苦戦があるなと思う。SENREIドキュメント松倉サイド3回目。
デザイナーまえけんと今、進めているのはパッケージデザイン。
これまでも同じタッグでプロダクトデザインをやったことがあるが、僕にとって「飲食物」のパッケージデザインは初めてだなと気づく。
例えば、プロトタイプ01はこんなデザインだった。
同じ商品銘柄でもお茶にはグレードがある。
やはり一番茶は美味しいし、二番茶と連なっていく。
なんなら白茶だってある。テストされているものを飲んだがべらぼうにうまい。僕でもわかるうまさ。
飲めばわかる。
これが難しいのだ。茶葉を見るだけではわからない。みんな同じように見えるのがお茶初心者の僕の所感。同じ商品銘柄でありながら収穫された時期で味が変わる、つまりグレードが変わる。でも見た目はほぼ同じ。
これをデザインで表現しなければいけない。
しかし、「金・銀・銅」みたいなわかりやすい切り分けにしたくない。
恐らくだが、「私は二番茶が好き」なんていうことも多分にあるからだ。
人の容姿の好き嫌いがあるように味の好き嫌いにも寛容な振り幅がある。
なのでグレードの表現は控えめにしてみているテスト。カラーリングと「+」の表現でためしている。日本酒でいうと「純米大吟醸」とか「大吟醸」の違いを日本酒を飲み始めた人はわかってないのと同じで格式高い表現は遠い存在にしてしまうなとか思うのだ。
なんて苦悩をしつつ、野村さんにデザイン相談したら、斜め上な相談。
「透明パッケージきついっす!」
そのレスを見た時「たしかに!!」とおもった。ちなみにこんな感じ。
まえけんが色々テストしてくれた写真。
クリエイティブチームからすると「半透明と透明の切り返しもかわいいやん」とか普通に上機嫌である。
しかし、これは飲食物。太陽光にめっぽう弱い。
ものすごく当たり前で、なんなら日常的に陽の当たらない場所に食品とか置いてる暮らしをしてるのにデザインしてても気づかない。。。
こう日常使いを忘れてしまう時があって反省している。たしかにそうだよね。と新ななパッケージ素材の依頼をかけなおした。
ちなみにティーバッグ版も色々テストしている。
これも半透明につきリデザイン中。
お試しに買ってみようって気持ちを想定している。
ロゴの色味が変わっていて「種類/味違うんですか?」という問いが起きるようなイメージで全体を構成している。
SENREIの伝えたいことは「あわい」
収穫時期の違いや場所の違いでも味わいが変わる。
空の色が変わるように自然がそのまま移ろうあり方をプロダクトにも与えたいと思っている。
種類は同じですが、味は違います。
自然がうつろうように取れる時期・場所で
表情を変える味を楽しんでください。
こんな返答がすっと出てくる状況を目指している。
ちなみに絶賛検討中な(仮称)グラデーションパッケージ。
まだまだデザインは変わると思うが、SENREIのお茶全ての味の移ろいを楽しめるセットを考えている。もらった嬉しいやつ。あのハムのおじさんみたいなのを思い出して考えている。ハムこんな可能性あんねん。っていうのがお歳暮で届く箱を開けた先にある。ふざけたような例えをしてるが大真面目である。お茶こんな可能性あんねんって。すごい多様な表情がある。
本当はもっとゴリゴリこだわったパッケージデザインがしたい。
それは作れ手の願望であって、SENREIが7ヘクタール全部売り切ったらやれるかなと思っている。
例えば、通常のパッケージは郵送コストを最優先に考えた素材選びをしている。これがクリエイティブチームのわがままで少しゴツ目のパッケージになると郵送コストが大きく変わる。それがちりつもで大きな固定コストになってくる。デザインが直に経営に直結をする。
デザインがもたらす良いものと見落としてはいけないビジネスデザインの最小単位みたいなところも考えていく楽しさがある。今できることの最大限詰めきった状態を目指している最中。
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。