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小さきもの

テキーラを飲みすぎた。
どう家に帰ったのかは覚えてない。くしゃくしゃのレシートがあるのでタクシーに飛び乗ったのだろう。脳の記憶を司る機能が完全停止し楽しかった気配だけが残る。不思議と二日酔いはなく抜けきっていない酒を午前中いっぱいで抜いていく。

横でフワフワが寝ている。
本棚の上では黒いのが寝てる。
妻の足元で小さいのも寝ている。
小さきものの熟睡を眺めるのは幸せだ。
子供達の寝顔を眺めるのと同じなのだろう。こちらの心も凪いでいく。

ベランダでタバコを吸いながら、夏が来るなぁとのけぞる。暑いのが苦手だ。忙しいのも好きじゃない。その二つがいっぺんに来るわけだ。
タクシー運転手が「今年は梅雨が急ぎ足だったねぇ」といわれ、たしかにジメジメ時期が短かったことに気づく。カラッとただただ日差しを突き刺してくる日々が多い。

信号で止まり、タクシーの目の前をダックスフントが歩いてく。夜のお散歩だ。
「あいつ、なんであんなに長くなったんだろうね」と僕が思わず声に出すとタクシー運転手も「私もいつも思ってたんですよ」と嬉しそうに振り返る。同志。

なんかのメリットがあり、そうなったのか。空想で考察を交換する。
調べれば出てくる答えを調べず思考することは嗜好品だ。
正解が欲しいんじゃなくて空想を楽しみたいのだ。

アホみたいな考察を重ねて楽しく家路を辿る。
さて、週末。全力で休む。


いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。