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呑兵衛の休日 〜鴨川湯編〜

月初のお試し全文フリー日記です。

疲れが溜まっていたのか、15時くらいまで爆睡した。
やばいと思ってガバッと起きてスマホを覗く。そうだ今日は土曜日だった。
土日、なんの予定がないのは今年初めてかもしれない。絶好の休日に惰眠を貪ることで半日を浪費した。

しかし、突然舞い降りた休日。とくにこれといってやりたいことがない。日頃どれだけ自分のやりたいことを仕事でできているかを痛感する。布団に埋もれながら実写版ワンピースを2話ほど見て「なんだこの時間!」と自分に突っ込んだ。

カバンに銭湯グッズをつっこみ家を出る。外はもう18時半。夕暮れ時。
夜の風が少しずつ秋めいて、散歩がギリギリできる気温。ゴルファーが風を読むように手を空にかざし、風を確認。歩き出す。

飲兵衛の休日は行き当たりばったりだ。
まずは歩いてスタジオのあるコンコンへいく。どの道で散歩するかを考える。コンコンのTARELは19時まで。ギリギリビール1杯くらいは飲めるだろう。クローズ作業をしつつ軽く飲んでるもっさんたちに混ざり1杯いただく。今日はどこへいくんだい?の質問に行き先をどうするか悩んでいたことをもい出す。復活した鴨川湯をゴールにまったり歩くことを決める。

歩きながらの1杯をもらい歩き出す。まずは御所に向かっててくてくと歩く。京都でビール瓶片手に歩いているのは大抵、僕だ。歩いていると友人らに遭遇する。今日はどこいくの?鴨川湯!みたいなやりとりを何度か終えて、御所につく。

夜の御所は格別で僕の大好きなスポットだ。日中にいく人がほとんどだけど、夜の御所は一味違う。しっかりと暗闇が隅々まで染み込み人より自然の方が多くなる。街中で一足踏み込みだけで摂理が元に戻る不思議な場所だ。
ぼーっと巨大な交差点でつったって、周りを見渡す。誰もいない。時代も時間も全てが消えた自分しかいない不思議な瞬間が味わえる。

御所東を抜けて、荒神口に出る。
友人が鴨川湯にいって飯を食おうと連絡をくれる。気が合うな。
夜の鴨川をてくてくと歩き、暗闇に揺れる水面とシルエットだけの人間たちを眺める。

遠くで花火の光が見える。そうか今日はとてもいい夜だね。
よく見ると中学生くらいの女の子4人。急にエモみが増してくる。そのうち、好きな人ができたり、彼氏彼女になったり、今日今その瞬間であることはもしかしたらなかなかないだろうと思うと、なんて美しい瞬間なんだろうと思う。いつか未来でこの夜のことを語ったりするのだろうな。

時間は人に共通に流れるが、時間の中にある質は、10代とか20代とか限られた年齢でしか訪れないものがある。ましてや世界のことや社会のことに詳しくなっていくにつれて、時間は均質化していくように思う。そして過去のあの時にしかなかった時間を美化していく。美化せざるを得ない、大人になればそのような時間を希少と思ってしまうから。何気ななく過ぎ去っていった日々の愛おしさは後になってからで無ければわからない。

なんてことを考えているとリニューアルした鴨川湯に到着した。
かつての風景をしっかり大切に今の時代にフィットする在り方にリニューアルされていた。なんていい仕事だ。常連も新しいお客さんも入り混じって湯船につかる。京都にあって最も良かったものは地蔵盆と銭湯だなと思う。

風呂上がり、友人らと近場の蕎麦屋で飯を食う。
一品物を少々とお蕎麦と日本酒。他愛もない、最近のこととかを話す。
このような時間も時を経て、愛おしく感じるのだろう。

蕎麦屋の冷麺(今年の松倉のマイブーム、全店違う工夫をしていることに気づいた)を啜りながら、あー大変だった夏も終わるのだなと思う。カレンダーを見ると9月。あっという間に秋が来て冬がくる。

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