何歳になっても親子の会話は変わらない
来週、ひさびさに地元へ帰る。どれほど帰ってないだろうか。定年退職した両親は何故か会社を立ち上げて現役で働いていた時より忙しい。
「パソコンと体があればどこでだって仕事ができる」ってわりと僕が放つべきセリフを60歳を超えた親が言い放つ。昔から家族全員が自由に生きている。
子供達が「北海道いきたい!」というまで、親は結構京都まで遊びに来てくれていたので考えもしなかった。祖父が亡くなったのが2年前。仕事の合間をぬって一泊二日の弾丸で帰郷して以来となる。今年に入って実家の愛犬も天寿をまっとうし、祖父とともに天国あたりでお散歩しているので、家は少し寂しいくらいかもしれない。と思っていたが、黒猫の子猫が家族の仲間入りしなんだかんだ賑やかなことがたまにくるLINEでも伝わる。
たまに会うと、「こんな仕事してさ」とか「社員が増えてね」と、ついつい子供のように話してしまう。何歳になっても親と子の関係は変わらないのかもしれない。頑張ったことを褒めてもらいたい、そういう気持ちは何歳になっても同じなのだろう。
北海道でゆっくり過ごすために仕事を急ピッチで進めている。
とはいえ、コピーを書く仕事も、デザインチェックも、コンセプトをまとめる作業も、旅のカバンに詰め込んで向かうことになるだろう。なんというか、この仕事にはオンもオフも明確にはない。それが苦手な人もいると思うが、僕はわりと苦ではない。なぞなぞを与えられた気分で答え探しを暇を見つけては頭の中で考えている。
夏休みに入った息子が真剣な顔して宿題をする姿や、プールで楽しげに笑う娘の顔を眺めながら仕事をしている。京都は39度を記録した。
無駄な出社は控えるよう社員に連絡する。ガリガリ君だってあっという間に溶けてしまう京都の夏は、殺人的な猛暑で観光客を迎撃する。
クーラーをつけていても日差しが強くリビングは暑い。
僕は地下の作業デスクにこもってほどよく冷えた地中で仕事をする。
時折、猫たちも避難してきて僕のタイピングにパンチを浴びせては眠たそうな顔をして、ウトウトしだす。パソコンと僕の頭は大戦争の様相を呈しているが、ひとつ離れるとなんとも穏やかな夏休みの風景が広がる。
くわえタバコで見積りとにらめっこ。
ははは…うちの利益がないじゃないか。
北海道のことを考えながら、地下の個室で、タバコに火をつけて仰向けになる。どうしたものかねぇ〜とひとりごちると猫がにゃあとレスポンス。
仕事ってのは大変だ。お金を作るのも大変だ。
なのにどうしてか、この仕事は飽きないな。いつだってワクワクと、やってやろぜなんていう甲子園球児みたいな情熱と、夏のコンビニくらい涼しすぎるお金の算段がないまぜになっている。
やっと梅雨が過ぎ、真夏が訪れた。
溶けそうになりながら仕事をしている間に
あっという間に夏の終わりの風が吹くのだろう。
気張り過ぎず、マイペースに、なすべきことをなしていく夏。
各自水分補給を忘れずに。
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。