かつての君へ

今年は、生きてきた中で一番短く感じた一年だったかもしれない。

果たして成長を遂げれた1年だったか、まだ実感には至らないけれど
納会にわらわらとクライアントも、一緒に作った仲間も、新しいことやろうぜって盛り上がる同士も、浴びるほど酒を飲みまくった友人も、うちの会社の仲間も一つテーブル囲んで笑い合っている風景は、なんとも美しい光景でした。

2020年なんて未来のことだった。その未来に足を突っ込むのか。
とても不思議な感覚だ。車なんて空を飛んでいると思っていたし、子供の頃の自分からしたら、今こんな仕事をしてるなんて想像だにしていない。

この時期の北海道は深々と雪が降り積もって、ただただ空から降ってくる雪を部屋から眺めていた。やることなさすぎて、耳をすませて静かな住宅街の音を聞いていたくらいだ。想像して遊ぶことが自然と増えて、おじさんになった今でも暇になると想像して遊んでいた。それが結果仕事になっている。本当不思議だ。

ただ退屈を変えるために想像して、やってみる。
そしたら、なんとこんなところまで来れたよ、かつての自分よ。
小僧の想像が世界のアワードで金色のトロフィーがもらえたよ。運動会いらいだよね。想像を言葉にしたら、それが空間になったよ。そこで楽しく過ごす知らない人たちを見て何より嬉しかったよ。想像から目の前に大きな建物が立つだなんて平静を装って心の中で超ざわついてたよ。田舎に住んでいたあの頃の僕でも知っているような大きな大きな会社が、たった4人の小さなチームに真剣に相談してくれるんだよ。絵的にギャグに見えるけどマジなんだぜ。

何もない。何も持っていない。
たった一人の少年だった。敬語も使えない新人だった。
そこから15年近くたったけど、おかしいなまだ青二歳なんだよ。
知らないだろうなー昔の自分は。いつか達観する、完成すると思っていたもん。そんなもんなにもなかった。

アワードとっても、ホテルができても、すごい数を収容するイベントを実現できても、プロダクトが世の中に出ていっても、雑誌に載っても、聞いて驚くな何も変わらない。最初はそれにひどく躊躇したけど、すぐにわかったんだ。
そうか生きるって今と未来を見ることなんだって。

全てのことは今を通過して過去になっていく。
その当たり前なことになかなか気づけない。
36歳に至るまでいろんな物事を経験して分かったのは、不安な奴が過去にすがるってことだった。そこは本当僕は恵まれている。不安になっても隣に仲間がいる。あっちの方、超面白そうだぜってビール片手に誘ってくれる。最高だろ。
友達だけは大切にしろって親父が言ってたことは本当だったぞ。さすが親父だ。

振り返る余裕なんてないのが本当のところだ。
毎日、必死に生きてるよ。笑いながら走ってる感じ。気持ち悪いよなー。
でも、途中で気付いんだよね。他人にどう見られようがどうでもいい。
自分に正直じゃないことの方がよっぽど気持ち悪いってことに。

あと大学でモテたいからって始めたバンド活動は、人に何かを伝えるっていう人間の超根源的なところで僕にギフトを与えてくれたから、欲望に忠実に生きた方がいい。人前で歌い叫び暴れるってなかなかできない体験だぞ。そんなこと月に6回もライブしてたら、大人になって驚くよ、どこでだって、誰とだって話せるって。あと言葉に気持ちを乗せる行為は今も続けてるよ。それで飯まで食ってるよ、会社とかバンドみたいな感じだよ。

「お前は、何ができるんだ?」

って小豆島のじじいに急に聞かれてさ。
俺、何もできないなって20代後半で気付かされるから、そこでお前のというか俺の人生が大きく変わるから。そういう素晴らしい出会いが急に巻き起こるから。
無力だぞ一人は。孤独だ。それでも、一緒にいてくれる家族や、一緒にスクラム組んでくれる仲間がいる。それがマジで宝だから。あえて言えば仲間を集めるんのがお前の天職だと思うよ。

ワクワクすることを思いつくんだ。
誰よりも考えて、誰よりも常識のタガを外して、鳥肌立つような未来を思い描くんだ。そして、それを言葉に変えてニタニタして仲間に耳打ちすんだ。
おもしれーこと思いついたんだよって。

もうそれだけでいい。
それだけを繰り返したら、仲間と一緒にどこまでも行けるから。
だから20年前の松倉少年よ。もしくは若い魂たちよ。
退屈だなと思い気持ちはもうしっかり心に刻み込まれていると思うんだ。
そいつをひっくり返すのが君の人生だ。

他と一緒でいい、って思う時代かもしれない。
でも、それトレンドだから。流行りの音楽だけ聞いてるのと一緒。
松倉おじさんの若い時には、夢を持てとかそういう感じだった。これもトレンド。いま、だれも言わないでしょう。周りに流されんなよ。誰も君の不幸も苦悩もケツ拭いてくれないから。

人生はもっと長くつづくから、自分自身の感情や気持ちから目を逸らさないでいこう。退屈ってほとんどが自分のせいなんだよね。お前が・君がツマラナイから退屈なんだよね。残酷だけどね、そうなんだ。でも、もっとガキの頃にはさ、退屈だったら何して遊ぼうかって考え出してたはずなんだ。それと一緒。走りたければ走り出してたし、叫びたければ叫んでたじゃないか。

なので、松倉少年よ。
松倉中年は来年も突き進むよ。身体はだいぶ痛んで来たけど、今までで最高速度を出せるように必死に生きるわ。必死でダサいとか、そんなこと言ってらんないくらい面白いことが2020年に横たわってるんよ。想像していた未来ほど車は飛んでないけどね。でもあーそうか未来を作るのが仕事なんだなって思うよ。子供結構早めに出来るから驚くと思うけど、こいつらの生きる未来を作るんだって気付くから。

松倉少年よ、もしくはこれを読む誰かよ。
面白いことしようぜ。
思いついたこと、こっそり耳打ちするわ。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。