読書日記(2023.9.24) 行ってみたいお

梶井基次郎『橡の花』


Oはその前の日曜に鶴見の花月園というところへ親類の子供を連れて行ったと云いました。そして面白そうにその模様を話して聞かせました。花月園というのは京都にあったパラダイスというようなところらしいです。いろいろ面白かったがその中でも愉快だったのは備えつけてある大きなすべり台だと云いました。そしてそれをすべる面白さを力説しました。ほんとうに面白かったらしいのです。今もその愉快が身体のどこかに残っていると云った話振りなのです。とうとう私も「行って見たいなあ」と云わされました。変な云い方ですがこのなあのあはOの「すべり台面白いぞお」のおと釣合っています。

梶井基次郎『橡の花』

「すべり台おもしろいお」

「行ってみたいお」

「なあなあ」と「O」

殿方の毛づくろい。

(おわり)

お志有難うございます。