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金(Gold)投資とは何なのか?

1.目的

この記事は、金(Gold)投資の概要を掴むことを目的として作成されています。

2.金投資の概要

(1)金投資とは

金投資とは、「金(Au)を安く買って、高く売る」ことにより、キャピタルゲインの獲得を目指すことをいいます。ポートフォリオの10%程度として組み込むことが一般的であるとされています。

(2)金の単位

金の価格は「1トロイオンスあたりxドル」と表示されます。1トロイオンス=31.1035グラムであり、米ドルで取引されます。
ただし、日本国内では、「1グラムあたりx円」と表示されますので、米ドルに表示された価格に為替レート(米ドル/円)を掛け合わせることになります。

3.なぜ金投資を行うのか

(1)世界のどこでも価値が認められるから

金投資は金という存在そのものに価値があると考えます。
金には黄金の輝きがあり、耐酸化性が高いためにその輝きは経年劣化や腐食によって失われることはありません。このような性質から、金は、古代より「特別な金属」や「高い価値がある金属」として取り扱われてきました。現代においても、世界のどこでも同じように資産価値が認められているため、世界中のどこでも換金できると考えられています。

(2)無価値になることがないから

金は自然の鉱物で、埋蔵量に限りがあります。この「自然の鉱物」であるとは、金を発行する機関がないということを意味します。そのため、”金を発行する機関”が金を発行しすぎたために、相対的に価値が減少したり、”金を発行する機関”がデフォルト(破産)したために、単なる金属として価値がなくなったりすることはありません。
これに対して、米ドルや日本円といった紙幣は国が発行をしています。そのため、国が紙幣を発行しすぎたために、相対的に価値が減少したり、国がデフォルト(破産)したために、単なる紙切れとして価値がなくなったりする可能性があります。
また、企業が発行をする株式も同様に、企業が倒産したために、単なる紙切れとして価値がなくなる可能性があります。

(3)インフレヘッジができるから

米ドルの価値が下落すると金の価値は上昇し、米ドルの価値が上昇すると金の価値は下落すると考えられています。これを逆相関の関係といいます。
不況時や地政学リスクが高まったとき(戦争やテロが起こったとき)は、米ドルを、世界のどこでも価値が認められ、かつ、無価値になることがない金に交換する傾向が見られます。このため、「有事の金」と言われています。
逆相関の関係があるために、インフレ時には、金の価値は緩やかに上昇していきます。このため、金はインフレに強いと言われています。

なお、この逆相関の関係を利用し、不況のときには、値上がりをする金を売却し現金を作り、値下がりした株式等を購入するという投資手法が用いられます。

(4)相場に一定の基準があり、投資が容易であるから

一般に金の相場には底値と上値の目安があると考えられているため、相場を掴みやすく、比較的投資が容易であると言われています。

4.金投資のリスク

(1)インカムゲインがないこと

金は、株式や債券のように配当や利息を生みません。
例えば、金利が上昇した場合には、インカムゲインが得られる投資対象の方が有利となるため、金の価格は下落すると考えられています。反対に、金利が下落した場合には、金の価格は上昇すると考えられています。

(2)為替変動リスク

「2.金投資の概要-(2)金の単位」記載の通り、金は米ドルで取引されるため、日本国内で売買を行う場合は、為替変動の影響を受けます。例えば、円安のときには日本国内の金価格は上昇するため、売却には有利、購入には不利となります。

5.金投資の種類

(1)現物(金地金・金貨)

金そのものを現物として所有する方法をいいます。
投資対象としては金地金と金貨があります。
(ア)金地金(きんじがね)
「金の延べ棒」や「インゴット」、「ゴールドバー」とも呼ばれます。
(イ)金貨
アメリカのイーグル金貨、オーストラリアのナゲット金貨、カナダのメープルリーフ金貨、南アフリカのクルーガーランド金貨などがあります。

①メリット
・換金性が高いといえます。
②デメリット
・盗難リスクがあります。
・売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。

(2)純金積立

金そのものを一定金額で買い付ける方法をいいます。

①メリット
・少額から購入ができます。
・現物での引き出しも可能です。
②デメリット
・入会金や年会費、保管手数料がかかる場合があり、購入手数料が投資信託やETFに比べて割高であるといえます。
・売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。

(3)投資信託

金の価格に連動する投資信託や、金鉱山を所有する企業を対象とする投資信託を購入する方法をいいます。

①メリット
・少額から購入ができます。
・分離課税が適用されるため、確定申告が不要となるように選択することができます。
②デメリット
・現物での引き出しはできません。
・信託報酬が、他のファンドと比較して割高であるといえます。
・金鉱山を所有する企業を対象とする投資信託に投資をする場合は、信用リスクが追加されます。

(4)ETF

金の現物価格や金鉱山を所有する企業の株価に連動する上場投資信託を購入する方法をいいます。

①メリット
・分離課税が適用されるため、確定申告が不要となるように選択することができます。
②デメリット
・現物での引き出しはできません。
・自動積立はできません。
・金鉱山を所有する企業の株価に連動する上場投資信託を購入をする場合は、信用リスクが追加されます。

6.まとめ

不況時や地政学リスクが高まったとき(戦争やテロが起こったとき)、さらにはインフレのとき、世界のどこでも価値が認められ、かつ、無価値になることがない金は、投資対象として選好されます。守りの資産として、ポートフォリオの10%程度として組み込むことも考えられます。その際には、インカムゲインがないことや為替変動リスクに十分注意をしましょう。

7.免責文言

本記事は記載内容の正確性・妥当性の確保に努めておりますが、記載内容の利用によって利用者等に何らかの損害が生じた場合にも、一切の責任を負うものではありません。


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